「AIを使っている」と意識しない未来へ――ラクス...
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「伴走型DXコンサル」で挑む経営管理の革新――「愛」と「心理的安全性」が育む、真に豊かな組織への探求
ビジョナリー編集部 2026/02/17
労働人口の減少や生成AIの台頭など、ビジネス環境が激変する中で、企業はどうあるべきか。財務・会計システムのリーディングカンパニーとして知られるミロク情報サービス(MJS)が掲げるのは、単なるシステムの提供にとどまらない 「伴走型DXコンサル」 の推進だ。
代表取締役社長の是枝 周樹(これえだ ひろき)氏は、組織の透明性を高めるためのユニークな社内ポッドキャストの運用や、無から有を生み出す「芸術」に通じるものづくりの哲学を語る。社員一人ひとりが自分の人生と向き合い、仕事を通じて人格を磨く先に、どのような未来を描いているのか。その根底にあるのは、数字だけでは測れない「愛」と「心理的安全性」を重視した、真に豊かな組織への探求だった。
現場の声を経営に直結させる全社員向け「社内ポッドキャスト番組」の衝撃
組織の透明性を高め、エンゲージメントを向上させるために、普段どのような対話を意識されていますか。
2022年から、全社員向けの「社内ポッドキャスト番組」 の配信を続けています。MJSとは関係のない第三者の立場としてプロのDJを番組進行役として招き、毎月1回、現場から届く無記名の質問や悩みに、私が直接本音で答えるというものです。
始めたきっかけは、2022年に実施したエンゲージメントサーベイの中で、「経営層と社員のコミュニケーションが不足している」という意見があがったことです。
イントラネットに載る「通達」はどこか冷たく、情緒に欠ける。そこに社長自身の言葉で補足や想いを添える場所が必要だと感じ、経営層と社員との双方向のコミュニケーションの場の一つとして、社内ポッドキャスト番組を制作し、配信するに至りました。
社内ポッドキャスト番組には、普段なかなか聞くことのできない切実な現場の声が寄せられます。例えば、「長らく規定が変わっていない」といった制度の歪みや、育休に関するリアルな悩みなどです。実際、番組に寄せられた意見・要望をきっかけに、「育児時短勤務対象期間の延長」や、「休業取得者の評価適用の見直し」など社内規定の変更・改善に至ったものもあります。
「社長、それは答えに困るでしょう」という突っ込んだ質問もありますが、その場で期限をコミット(約束)して答えます。管理職を介さず、現場と直接つながるこの「情緒的なメディア」を通じて、会社に関わる全ての人々が立場や年齢、性別を超え互いの本音をしっかり聴き対話することで「風通しの良い社内風土」と社内の心理的安全性 を強化しています。
「人生の半分は仕事」。だからこそ、自分をブラッシュアップする場として会社を活用してほしい
経営者として最も大切にされている価値観や信念を教えてください。
一言で言えば、「顧客ロイヤリティの構築」と「人を育てること」です。お客様とは何でも相談し合える間柄になりたい。単なる業務効率化にとどまらず、お客様が本当に実現したい経営改革を支援するパートナーでありたいと考えます。
また、社員には「自分の人生」を真剣に考えてほしいと伝えています。通勤や睡眠時間を除けば、自由に使える時間は1日に数時間しかありません。人生の大部分を占める仕事の時間を、単なる作業として過ごすのか、自分をブラッシュアップする時間にするのか。
「自分の人生を大切に思い、その大半を占める仕事にも真剣に向き合いたい」 。そう思える環境を作ることが私のミッションです。安心して働ける心理的安全性をベースに、仕事を通じて「社会的人格」を磨き、私生活も豊かにしていく。会社を、自分の人生を高めるための最高の舞台にしてほしいのです。
無から有を生む「音楽」の感性が、革新的な製品開発の源泉
これまでのキャリアの中で、ご自身の経営哲学に影響を与えた出来事はありますか。
意外に思われるかもしれませんが、「音楽」をやっていたこと が私の原点にあります。芸術というのは、この世にない「無」から「有」を作り出す行為です。私の頭の中にあるコンセプトを可視化し、曲として構成していくプロセスは、実は今のものづくりや経営と全く同じです。
プログラミングも、優れたエンジニアは芸術に近い領域にいます。何もないところからシステムを組み上げ、新しい価値を創造する。私の中に流れるチャレンジャーとしての感性や、既存の概念を壊して新しいSaaSのモデルを構想する力は、この 創造的破壊の精神 から来ているのかもしれません。
古典的なプラットフォームを守りつつ、その中でいかに自分を表現し、革新を起こすか。伝統工芸の世界とも通ずる、 「守るべきものを守りながら、新しさを追求する」 という姿勢を大切にしています。
「愛」がセクショナリズムを打破し、チームを伸ばす
判断に迷った時、最後に立ち返る「軸」は何でしょうか。
かつてオンプレミス(自社導入型)が主流の時代、システムにバグが出れば現場へ行って修復し、対応に多大なコストがかかることもありました。その経験から、 「高品質な商品を出すこと」 は絶対的な基本です。手戻りのコストは数倍に膨らみ、お客様の信頼も損ないます。だからこそ、経営の意思が反映される「設計書」の段階でのロジックには徹底的にこだわります。
また、組織運営においては、どうしても生じがちな「セクショナリズム」をどう排除するかを常に考えています。隣の部署が何をしているか分からない、という状態では組織は伸びません。
これらを解決する最後の鍵は、結局のところ 「愛」 だと思うのです。自分の部署だけでなく、他部署や後輩に対しても、いかに愛を持って接することができるか。透明性を高め、「誰かが助けてくれる」という信頼関係があるチームは、必ず伸びていきます。 「企業理念に基づき、愛を持って行動する」 。これが、迷った時の私の究極のルールブックです。


