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「AIを使っている」と意識しない未来へ――ラクス中村社長が語る、労働力減少時代の“解”と「ゲームをクリアする」組織論(前編)
ビジョナリー編集部 2026/02/17
「楽楽精算」をはじめとするバックオフィス支援SaaSで、日本企業のDXを牽引してきた株式会社ラクス。創業当初から、急成長を遂げてきた同社を率いる中村崇則(なかむら たかのり)社長は、来るべき人口減少社会とAIの進化をどう見据えているのか。
「SaaS is Dead」という議論を一蹴し、AIが空気のように溶け込む未来を予見する中村氏。創業の原点から、独自のアナログ重視な営業戦略まで、その冷静かつ情熱的な経営哲学に迫る。
「人間がやるべきこと」に時間を。NTT時代に痛感した中小企業のリアル
創業当初から中小企業(SMB)をメインターゲットにされています。その原点と市場への勝算はどこにあったのでしょうか。
原点は、私が起業前にNTTでアカウントマネージャーとして働いていた時代の経験にあります。当時は90年代後半、Windows 95が出てインターネットがようやく普及し始めた頃でしたが、多くの中小企業ではまだインターネットすら使われていませんでした。
中小企業には、大企業のような潤沢な資金もなければ、ITに精通した人材も不足しています。そうした現場を目の当たりにし、「コストが低く、誰でも簡単に使えるITサービス」こそが、日本の99%を占める中小企業の効率化に不可欠だ と確信しました。これがラクスの創業の原点です。
「ラクス(働く人を「楽!」にする)」という社名には、単なる効率化以上の想いを感じます。
これからの日本は、間違いなく労働人口が減少し、人手不足が深刻化します。単純作業や煩雑なバックオフィス業務に、貴重な人間の時間を費やしている余裕はありません。
私たちの使命は、コンピューターやインターネット、そしてAIの力を使って、そうした業務を徹底的に「楽にする」ことです。そうすることで、人間は人間にしかできない付加価値の高い仕事に時間を使えるようになる。 システムを提供する真の目的は、そこにあると考えています。
「SaaS is Dead」は本質ではない。AIは“空気”のように業務に溶け込む
昨今、「SaaS is Dead(SaaSの時代は終わった)」という議論もありますが、AI時代のSaaSのあり方をどうお考えですか。
その議論にはあまり興味がありませんし、本質的ではないと感じています。かつてASP(Application Service Provider)と呼ばれていたものがSaaS(Software as a Service)と呼ばれるようになったように、呼び方が変わるだけのことでしょう。
重要なのは、インターネットとコンピューター、そしてAIを使って「お客様に便利なサービスを提供する」という本質です。先日、ラスベガスの展示会(CES)にも行きましたが、そこで感じたのは、今後AIは「AIであること」を意識せずに使うものになっていく という未来です。今、「インターネットを使っています」と意識して言う人がいないように、数年後には「AIを使っています」とは言わなくなるでしょう。私たちのサービスを使っていれば、裏側でAIが動き、自然と業務が効率化されている。そんな「AIが溶け込んだ状態」こそが、あるべき姿だと考えています。
AIによって労働時間は減少するのでしょうか。
それは難しいでしょう。労働人口自体が減っていくため、一人当たりの生産性を上げなければ社会が回りません。物流や建設業界の現状を見ても分かる通り、労働時間を制限すれば人手不足が加速します。これからは、「働く時間を減らす」のではなく、「空いた時間でさらに生産性を高める」方向へシフトせざるを得ません。 機械に任せられることは任せ、人間はより高度な課題解決に挑む。AIはそのための強力なパートナーになるはずです。


