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創業200年の老舗・伊勢半が仕掛ける「遊び心」。社員の人生初を支援する「My 1st Challenge」の真意
ビジョナリー編集部 2026/04/03
老舗のプライドと革新。社員200人の「はじめて」を後押しする理由
2025年に創業200周年という記念すべき節目を迎えた伊勢半グループ。この長い歴史を持つ老舗企業がいま、社員一人ひとりの「個人的な挑戦」を支援するユニークな取り組みを行っているといいます。
その名も「My 1st Challenge」。新しく制定されたパーパス「The 1st Cosmetics. 伊勢半 いちばんほしいを、いちばんに」を社内に浸透させるための施策です。驚くべきは、その内容。社員が未経験のことに挑戦する際、会社が上限2万円まで費用を補助するというものです。
「200年の歴史がある老舗というと保守的なイメージを持たれがちですが、私たちは伝統と同じくらい革新を大切にしています」と語るのは、同企画を推進したグループ事業管理部の山﨑栞氏。パーパスにある「驚きとワクワクを真っ先に生み出す」という姿勢を体現するため、まずは社員自身が自分の世界を広げる経験をしてほしい、という狙いがあったといいます。
▲株式会社伊勢半ホールディングス コーポレート企画本部 グループ事業管理部 山﨑 栞氏
▲株式会社伊勢半 営業本部 中部支店 野口 紗矢香氏
【News Release】社員のチャレンジを応援する企画はじめての挑戦を後押しする「My 1st チャレンジ」
バンジージャンプから着付けまで、多様な「挑戦」が社内に変化を生む
この企画には、200周年にちなんで200名の社員が参加。その内容は「パーソナルカラー診断」といった美容関連から、「高所恐怖症克服のためのバンジージャンプ」「富士登山」まで、実に多岐にわたったといいます。
▲2025年、伊勢半グループ創業200周年を機にパーパスを制定
事務局の山﨑氏自身も、この機会に「人生初の着付けと日本舞踊」に挑戦しました。
叔母の影響で抱いていた「いつかやってみたい」という想いを形にしたのです。
▲山﨑氏は人生初の「着物の着付けと日本舞踊」にチャレンジ。厳しくも丁寧に指導してくれたという師範(中央)とともに。
「小さな積み重ねが信頼につながる」という師範の言葉は、山﨑氏の仕事への向き合い方にも大きな影響を与えたといいます。企画を通じ、社員からは「挑戦することがマインドチェンジにつながった」という声が多く寄せられました。
▲着付けや日本舞踊を通じ、日本文化を理解することの大切さを実感したという。
中部支店の野口紗矢香氏は、この企画が発表された際、伊勢半らしい「小粋な遊び心」を感じたといいます。「プライベートなことでも、真剣な挑戦なら後押ししてくれる。そんなおおらかな社風に感謝しています」と語る彼女が選んだのは、かつて諦めた夢への再挑戦でした。
封印していた「音楽への情熱」。人生初のピアノリサイタルへの挑戦
野口氏の挑戦は、社内でもひときわ注目を集める「人生初のピアノリサイタル」でした。6歳から始め、一時は音大を目指すほど打ち込んでいたピアノ。しかし就職を機に教室をやめ、人前で弾く機会を失っていたといいます。
▲長らく胸に秘めていた「人生初のピアノリサイタル」を実現させた野口氏
「自分は演奏を聴いてもらうことがモチベーションだったのだと、やめてから気づきました」と語る野口氏。仕事との両立に悩みながらも、「たとえ5分でも毎日弾く」と決めて練習に励みました。さらに、かつての後輩に譜めくりを頼み、取引先の人をフルート奏者としてゲストに招くなど、周囲を巻き込んで準備を進めていったといいます。
▲プログラムも自身で作成。演奏以外にも多忙な準備期間を過ごした
本番前のプレッシャーや不安に対しても、「失敗しても気持ちを切り替える」と心に決め、自分と向き合い続けた野口氏。迎えた当日は、会場のピアノの音色に感動し、自分でも驚くほどの集中力で演奏できたと振り返ります。
▲音楽を通じて意気投合した取引先の方とフルートアンサンブルを披露
▲会場には支店の仲間や取引先の人の姿も。野口氏の人望がうかがえる
「無我夢中で演奏する姿に泣きそうになった」――。来場した取引先の人からの言葉や、笑顔で帰っていく観客の姿に、野口氏の心は満たされました。
「できない」が「できる」に変わる。挑戦の経験が仕事の質を変えていく
この一大チャレンジを終えた野口氏は、大きな達成感とともに、仕事に対する新たな視点を得たといいます。
「演奏動画を見返して改善するプロセスは、仕事の振り返りと同じ。商談での言動や資料、タイムマネジメントなどを客観的に捉え、次へ活かす重要性を再認識しました。現状に満足せず、相手の期待を上回る仕事をしたい」と、その表情は晴れやかです。
▲仲間を巻き込んだチャレンジの成功は、仕事への向き合い方にも好影響を与えた。
事務局の山﨑氏も、「『できない』と思っていることも、きっかけがあれば『できる』に変わる。この経験が、社員にとって柔軟な発想で仕事に取り組むきっかけになってほしい」と期待を寄せます。
社員の「はじめて」の一歩を支えることが、結果として顧客への価値提供や組織の成長へと繋がっていく。伊勢半グループが仕掛けたこの小さな挑戦の連鎖は、200年の歴史を持つ老舗企業を、より強く、よりしなやかに進化させていく原動力となっているようです。


