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9/6(土)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/09/03
日本の自治体とアフリカの「ホームタウン認定」について、
「日本のまちが外国人に明け渡されるのでは?」
「移民が大量にやってくる制度なのでは?」
など、抗議や不安の電話・メールが殺到し、職員が対応に追われる事態となりました。
しかし、この「ホームタウン認定」本来の狙いは、移民政策とは大きく異なります。
ではなぜ、ここまで誤解が広がってしまったのでしょうか?
2025年8月、第9回アフリカ開発会議(TICAD9)において、JICA(国際協力機構)は新たな試みとして国内の4自治体を「ホームタウン」に認定しました。
これらの自治体は、アフリカ各国との交流や人材育成の「拠点」となることが期待されています。
「アフリカの発展と日本の地方創生を“ともに”目指す」ことがポイントです。
「日本のふるさとが明け渡される」「移民を定住させる制度だ」
こうした情報がSNSで爆発的に拡散し、ある投稿は500万回以上も閲覧されました。
一因は、ナイジェリア政府の公式サイトや現地メディアが「日本政府が移住と就労のための特別ビザを発行する」などと伝えたことでした。
こうした情報が日本語でも拡散され、「ホームタウン認定=移民受け入れ」という不安が増幅されました。
実際、木更津市や長井市では「なぜ移民を受け入れるのか?」という問い合わせが数百件単位で寄せられ、電話もメールも鳴りやみませんでした。
各市長や担当者は「移住・移民の受け入れや特別就労ビザの発給を要請した事実はありません」と、公式Webサイトで繰り返し説明を余儀なくされました。
JICAや外務省は明確にこう説明しています。
現地報道の誤りについては、JICAが訂正を申し入れている最中です。
日本の多くの地方都市は、人口減少や高齢化、産業の衰退に直面しています。一方、アフリカは今後大きな経済成長が見込まれ、新しい市場・技術協力のパートナーとして期待されています。例えば、今治市では、モザンビーク産の植物を船舶のバイオ燃料に活用する産業連携の話が進んでいます。三条市では、農業技術の交流を通じてガーナの農業支援と同時に、三条の産業活性化も狙っています。
「人材育成」「産業連携」「国際的な視野の拡大」
これらはすべて、“ともに学び合うパートナーシップ”の中で生まれる成果です。
今回の騒動は、情報が誤って伝わるリスクを改めて浮き彫りにしました。
たとえば木更津市では、市長自らホームページ上で「移住・移民の受け入れを要請した事実はありません」とコメントを発信。市民の不安を払拭するため、説明を続けています。
「ホームタウン認定」をめぐる今回の混乱は、グローバル化時代の「情報リテラシー」と「地域の未来デザイン」を考える大きなきっかけとなりました。
これが、今私たちに求められている姿勢ではないでしょうか。
ぜひ一度、正しい情報を手に取り、ホームタウン認定の“本当の狙い”を見つめ直してみてください。