「挑戦者の事業成長パートナーへ」――マクアケ社長...
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「目標」と「アクション」の間にある、『日本企業に欠けているもの』
浅見 隆 2025/11/11
経営のトップとして、リーダーシップがすべての土台となることは言うまでもありません。世の中にはリーダーシップに関する分厚い本があふれていますが、私が考えるリーダーシップの定義は、煎じ詰めれば2つしかありません。
1つは、「変革ができる」こと。現状をうまく管理するだけなら、それは「管理者」であり、リーダーではありません。リーダーとは、現状維持ではなく、イノベーション(変革)を起こし、それを会社の成長につなげられる、あるいはそういった環境を作れる人物のことです。
もう1つは、「フォロワーを作れる」こと。100人の会社なら99人、1,000人の会社なら999人の部下がいます。彼らが自分の考えに賛同してくれなければ、リーダーは機能しません。
ジョンソン・エンド・ジョンソン時代から多くの研修やワークショップを経験してきましたが、私の最終的な結論は、この「変革」と「フォロワー」という二言に尽きます。
そして、リーダーが変革を起こすために不可欠なのが、「戦略」です。以前、経営の中核として「OGSM」(ビジョン、目標、戦略、戦術などを管理する手法)が重要だと述べましたが、その中でも、今の日本企業に最も欠けているのが、この「戦略」の部分だと感じています。
先日も顧問先の会社で話していたのですが、多くの人は「目標」を語ると、すぐに「アクション」の話に飛び移ってしまうのです。たとえば、「今期の売上目標1億に対し、我々はAとBとC店に行き、こういうプロモーションをすべきだ」といった具合です。しかし、それは単なる「アクション」に過ぎません。目標とアクションの間には、必ず「戦略」と「戦術」がなければなりません。
レブロンの例で言えば、目標は「2,400店舗の売上を来期10%アップさせる」ことでした。これに対し、いきなり「A店とB店を訪問する」というアクションプランを立てるのではありません。
その前に、「2,400店舗すべてをカバーするのは不可能だ。したがって、我々の戦略は、業界のリーダーである80店舗のソニープラザだけに焦点を当てる」という「戦略」を立てるのです。その戦略が決定して初めて、「では、その戦略に基づき、80店舗のソニープラザをどう攻略するか」という具体的な「アクション」——訪問スケジュールや販売交渉——が決まります。
日本の会社は、この「戦略」の部分が極めて弱い。だからこそ、私はここを最も強調したいのです。こうした戦略的な思考を持つリーダーには、4つの能力が絶対的に必要だと考えています。
まずは、すべての核となる「人間力」。人としての魅力や信頼感です。こればかりは簡単に磨けるものではありませんが、すべての土台となります。
そして、その人間力を核として、さらに3つの力が必要です。1つ目は「基軸力」。先ほど述べたOGSMのように、ビジョンや戦略を明快に設定できる力です。
2つ目は「実現力」。ああでもないこうでもないと言うだけで、実績(売上や利益)を証明できなければ、リーダーとして意味がありません。
3つ目は「構想力」。今日明日のことだけでなく、2年後、3年後の成長シナリオを描ける力です。
これらすべてを完璧に備えるのは難しいかもしれません。しかし、私がかつて指導してきた部長たちにも、常にこの4つの能力を持つリーダーを目指すべきだ、と伝えてきました。
そして、これらの理論を「絵に描いた餅」で終わらせないのが、外資系の管理手法です。OGSMのシートには、アクションプランと同時に「タイムテーブル」が具体的に記されます。「8月の第1週に渋谷店の誰々さんと交渉する」といったレベルで、すべてが「5W1H」で管理されるのです。
この「SMARTの原則」(具体的=Specific、測定可能=Measurable、達成可能=Achievable、関連性=Relevant、期限付き=Time-bound)が徹底されているため、会議で曖昧な議論は発生しません。私がレブロンで会議を開いていたときも、各部長からの報告は「社長、OGSMに記載の通り、予定通り実行しています。問題ありません」「8月1週のアクションが事情でずれ込み、9月前半に実行します」といった、極めて明快なものでした。
経営手法が明快であれば、モヤモヤとした議論や、「結局、結論は何だったのか」といった曖昧な会議は、自ずと淘汰されていくのです。


