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2026

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    パイロット断念と「娑婆」への旅立ち——失われた夢、株で知った現実社会の仕組み

    パイロット断念と「娑婆」への旅立ち——失われた夢、株で知った現実社会の仕組み

     幼少期から追い求めてきた「戦闘機パイロット」になるという夢。しかし、15歳で航空自衛隊に入隊してわずか3カ月後、先輩から「俺たちは通信兵だから戦闘機には乗れない」という衝撃の事実を告げられました。教官の「最新鋭機に乗れる」という言葉を信じて極限の訓練に耐えてきただけに、一時は激しい落胆に襲われました。夏休みの帰省時には「もう戻らない」と一度は決意したものの、地元での温かい大歓迎や母の喜ぶ姿を前に本当の理由を言い出せず、同じように思い悩む同期たちと籠原駅で合流し、トボトボと寮へ戻る道を選びました。

     「絶望して立ち止まり、不平不満を言っても何も変わらない。じゃあ、夢を叶えるために今自分は何をすべきか」

     私は気持ちを即座に切り替えました。高校の通信制課程を待つのではなく、最短でパイロットへの受検資格を得るため、大学入学資格検定(大検)の猛勉強を開始したのです。任務と過酷な訓練の合間を縫い、生徒隊の修学旅行も諦めて2年半で競争率30倍の難関・大検に合格。その後の試験にも合格して、操縦学生の資格を得たはずでした。

     しかし、「前例がないから1年待て」と命じられ、防空指揮管制を行うバッジシステム運用部署に配置されることになります。チャンスが訪れるのを信じ、毎日10キロのランニングと厳しい自己鍛錬を欠かしませんでした。

     運命の事故が起きたのは、三重県津市の笠取山分屯基地に任官していた入隊4年目のことです。日課である山頂のレーダーサイトへのランニング中、カーブの山道ですれ違ったトラックの荷台から鉄の配管が崩れ落ち、頭部を負傷してしまったのです。

     一週間の入院後、頭部の傷は癒えたものの、自衛隊中央病院での精密検査で冷徹な現実を突きつけられました。頭部負傷の影響で眼球の「調節力」にわずかな低下が見られたのです。

     戦闘機のパイロットには単なる視力だけでなく、驚異的な眼球の調節力が求められます。自分の指紋と100メートル先にある松の枝に一分間で20~30回も焦点を交互に合わせられるような、超人的な機能でなければなりません。昼間でも空に輝く星を見分け、高速で接近する敵機や弾丸をまるで「止まっているかのように捉える」ための絶対的な能力です。医務官からは「ヘリや旅客機ならいいが、極度のG圧がかかる戦闘機は無理だ」と告げられました。

     3歳のときに父の葬儀の空に見上げた「真っ赤なセイバー」以来、幾多の苦難を乗り越えて追い続けた夢が、完全に潰(つい)えた瞬間でした。ヘリコプターへの転科も提案されましたが、戦闘機に情熱を注いできた私には到底受け入れられませんでした。このまま地上勤務で残るか。自衛隊を去るか。葛藤の末、私は「娑婆(しゃば)に出て、ゼロから自分の情熱をぶつけられる新しい夢を探そう」と決意し、5年9カ月の自衛隊生活に別れを告げました。

     退官時の蓄えは、給料と利息を合わせたわずか68万円。知り合いもツテもない社会へ飛び出した私が真っ先に向かったのは、手持ちの資金を少しでも増やそうと訪れた証券会社でした。

     目星をつけた1株680円の銘柄を「68万円分買いたい」と申し出ると、窓口の担当者は懸念を示し、「この会社はお勧めできません。お昼時だから一緒にラーメンでも食べましょう」と私にごちそうしてくれました。しかし、昼食を終えて支店へ戻ると、株価は710円へ値上がりしていました。すると担当者は手のひらを返して「よく勉強していますね」と称賛し、予定より少ない株数を購入することになったのです。その株は2カ月後に2,750円まで暴騰し、売却によって手元の資金は一気に250万円を超えました。

     自衛隊では1,000回の腕立て伏せを命じられ、できなければ全員が連帯責任を負う厳しい世界にいました。しかし「娑婆」では、なけなしの資金を持ってきた客の意思を一度は否定し、それが裏目に出ても誰も責任を取らず、結果が出れば手のひらを返す——。

     「そうか、これが『娑婆』という世界なのか」

     世の中の冷徹なリアルと商売の理不尽さを肌で学びながら、私は20代半ば、新たな人生の再スタートを切ることになったのです。

    #木村清#すしざんまい#喜代村#創業者#マグロ大王#フロンティアスピリッツ

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