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2026

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    「全自動の生命保険」で業界の常識を覆す——ライフネット生命 横澤社長が語る、変革のDNAと100年後の未来

    「全自動の生命保険」で業界の常識を覆す——ライフネット生命 横澤社長が語る、変革のDNAと100年後の未来

     「正直に、わかりやすく、安くて、便利に」。創業時から掲げるマニフェストを武器に、業界に新しい風を吹き込み続けてきたライフネット生命。2025年、同社の代表取締役社長に就任した横澤淳平氏は、システムエンジニアとして創業期の0から1を生み出す挑戦に参画し、現場と経営の両面から成長を支えてきた。ネットでの保険加入が市場全体から見れば数パーセントにとどまるなか、テクノロジーの進化とパートナーシップ戦略でいかにネットでの保険選びを「当たり前の選択肢」へと昇華させるのか。透明性を貫く組織づくりの真髄から、マイナンバーを活用した「全自動の生命保険」という未来の構想まで、変革者のDNAを受け継ぐリーダーの信念に迫る。

    ブログとの偶然の出会いから始まったゼロイチへの挑戦。システムエンジニアからの転換点

    システムエンジニアとして現場を経験された後、どのような経緯で現在のキャリアに至ったのでしょうか。

     もともと私は大学時代に英語に苦手意識をもっており、新卒でシステム会社に入社した際、将来への危機感から改めて英語を身につけようと決意しました。環境を強制的に変えるためにワーキングホリデーに行く目標を立て、社会人1年目から毎年100万円を貯めて、4年で退職し海外へ渡りました。その情報収集の過程で、偶然にも弊社の創業メンバーである岩瀬(大輔氏)のブログに出会ったのです。帰国後、ネット生保を立ち上げるという記事を読み、「金融機関のゼロイチのシステム構築をやってみたい」という思いですぐに応募しました。帰国直後で東京に家もない状態でしたが、面接その日に内定をいただき、実家の群馬からボストンバッグ一つで上京したのが私の原点です。

     入社後、システムエンジニアとして5年間ライフネット生命のシステム構築に携わり、大きな転機となったのは33歳の時に経営企画部へ異動したこと です。システムエンジニアのエースから一転、右も左もわからない中で最初は自分で仕事を作らなければならない環境に挫折も味わいました。しかし、そこで 「システムエンジニアの横澤」から、「ライフネット生命の課題を解決する一人のプレイヤーとしての横澤」へとマインドチェンジ できたことが、現在の価値観の基盤となっています。とにかく一番課題があるところに自ら飛び込み、目の前の人の幸せや反応をダイレクトに感じながら課題解決に取り組むうちに、気がつけば現在に至っていました。

    譲れない「マニフェスト」の精神。透明性が生み出すデジタル時代の信頼

    デジタルプラットフォームにおいて、お客様に安心や信頼を感じていただくために意識されていることは何でしょうか。

     私たちは、当社の価値観や考え方をまとめた「ライフネットの生命保険マニフェスト」に則り事業活動を展開しており、これは経営の拠り所も担っています。2006年に生命保険業界で発覚した保険金・給付金の不払い問題に代表されるように、生命保険は、複雑な仕組みゆえにお客さまと提供側との間に「情報の非対称性」が生じやすい構造があります。ライフネット生命は、そうした従来のあり方へのアンチテーゼとして、徹底的に透明性を高め、消費者と生命保険のより良い関係を築くために生まれた会社です。

     創業期は経営者のトップセールスによって信頼を得てきましたが、現在は正直さをはじめとした透明性を、戦略やアーキテクチャも含めて世の中にオープンに発信していくこと を重視しています。逆説的かもしれませんが、オープンな環境でユーザーが集まり、「みんなが使っている」という状態ができることが、副次的に次の信頼を生み出していくと考えています。

     2026年6月より、一部商品で80歳まで加入できるよう年齢の枠を広げましたが、私たちは「ネットで保険に入りたいすべての人」がお客さまと捉えており、年齢で区切る必要はないと考えています。実際に70代の方でもデジタルを当たり前に使いこなす方は多くいらっしゃいます。1人でも多くの方に保険を届けられるよう、年齢の枠を80歳まで広げ、お客さまの選択肢を残すこと も私たちの姿勢の表れです。ライフネット生命は常に変革者であり続けたい。「普通の生命保険会社」になってしまっては、私たちが存在する意義はなくなってしまうと強く思っています。

    なぜ巨大プラットフォーマーから選ばれるのか。10年の実績が支えるパートナーシップ戦略

    KDDIなど強力な外部パートナーとの連携は、お客様の体験にどのような変容をもたらすとお考えですか。

     私たちは独立系の生命保険会社のため自社独自の巨大な顧客基盤は持っていません。しかし、KDDI様や三井住友カード様、JAL様といったパートナーには、すでに数千万規模の顧客基盤があり、お客さまが日常的にサービスを利用する環境が整っています。

     パートナーのブランドや世界観を崩すことなく、そのアプリやサイトの中で生命保険の加入手続きをストレスなく完結させる。そして、保険に入ることでお客さまが普段使っているサービスでメリットを得られる。そういったテクノロジーを活用したシームレスな保険体験を作ること が、私たちの特性を生かしたパートナーシップ戦略の要です。

     実は、2016年のKDDI様との立ち上げの際、私は出向という形でプロジェクトの責任者を務め、SEで築いたプロジェクトマネジメントの経験を活かすことができました。過去10年間にわたりオンラインでの保険販売をテクノロジーで実現してきた実績があるからこそ、強力なパートナーから期待され、選ばれている のだと自負しています。

    直感とデータを掛け合わせる経営判断。多様な人材が躍動する組織づくり

    データドリブンな意思決定と、経営者としての直感や思いは、どのようにバランスを取られているのでしょうか。

     まず前提として、私たちは広告などを経由してサイトを訪れていただいてからしかデータが取得できません。そのため、データが先にあるのではなく、ある程度の仮説を立て、それをデータで検証して肉付けしていく というアプローチをとっています。

     「データがないから新しいことに挑戦できない」というのは間違いです。失敗しても良いので、筋が良いと思ったら直感を信じて挑戦し、データを活用して高速でPDCAを回す体制が重要です。また、データのみに頼ると即効性のある施策ばかりに偏ってしまうため、中長期的なブランド形成とのバランスにも常に気をつけています。

     組織づくりにおいても、私たちの強みは「マニフェスト」という共通の軸があることです。多様なバックグラウンドを持つ人材が集まっていますが、「マニフェストを実現するためにはどうすべきか」に立ち返ることで、自律的な意思決定が可能になります。 私自身のリーダー観としては、前職時代に苦手な細かい部分を叱るのではなく「限られたリソースは、得意な領域のアウトプットを最大化するために割くべきだ」と言ってくれた上司の教えが基盤にあります。能力の有無ではなく、個人の能力と環境の組み合わせを見極めるのがリーダーの役割です。また、2024年、ライフネット生命で働くすべての人に大切にしてほしい価値観を「Lifenetter Values」としてまとめました。リモートワークが中心となり、オフィスでの何気ないやり取りから自然に会社のカルチャーに触れる機会が減った結果、私たちが大切にしているカルチャーや気概がそのままでは受け継がれるのが難しいと気づいたことがきっかけです。経営陣から一方的に言葉を伝達するのではなく全社員参加のワークショップから始めたことで、会社から与えられたルールではなく、社員一人ひとりがこうありたいと願う姿を体現するものになったと思います。

     私自身、現在は子育ての真っ最中で、可能な限りの時間を家族のために使っていることもあり、社員とコミュニケーションをとる時間が限られています。だからこそ、日中の限られた時間の中で少しでも社員との距離を近く保てるよう、社長室を作らず、私が担当役員を務めるパートナービジネス事業部やシステム部門のメンバーと同じフロアに席を置いています。トップ自らが柔軟な働き方を体現することで、社員が志を持って健全に働ける環境を作っていきたいですね。

    100年後の契約を守り抜く。マイナンバー活用で見据える「全自動の生命保険」

    人生100年時代において、将来、どのような存在でありたいとお考えでしょうか。

     生命保険というビジネスは、例えば100歳まで生きるとして20歳で終身型の保険に加入していただいた場合、そこから80年間、お客さまの契約を守り続けなければならない非常に責任の重い事業です。だからこそ、100年後を見据えたときに「あの時、ライフネット生命に預けて良かった」と思っていただける存在であり続けなければなりません。そのためには、時代に取り残されることなく、常に変化し続ける会社であること が不可欠です。

     私が将来的に実現したいと考えている構想の一つが 「全自動の生命保険」 です。現在、お客さまが病気になった際、自ら給付金を請求しなければならないというプロセスは、非常にお客さま任せになっていると感じています。テクノロジー、とりわけマイナンバーやAIの社会基盤が整いつつある今、 手続きを極小化し、変化を自動検知して案内し、「病気になったらスマートフォンにマイナンバーをかざすだけで、自動で給付金が受け取れる」 といったストレスのない世界を実現したいのです。

     私が社員に求めているのは「最高の保険体験を届ける」ことです。これはマニフェストにある「友人や家族に自信を持って勧められる商品・サービスだけを届ける」という精神そのものです。「ネット生保だからできること」を追求し、生命保険業界にイノベーションを起こし続ける。そのワクワクするような挑戦を、これからも全社一丸となって体現していきます。

    #ライフネット生命#横澤淳平#生命保険#経営者インタビュー#イノベーション

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