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2025

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    「オタフクお好みソース」の甘さの秘密は砂糖じゃなかった? 50年前から使われる“ある果実”の正体

    「オタフクお好みソース」の甘さの秘密は砂糖じゃなかった? 50年前から使われる“ある果実”の正体

    「オタフクお好みソース」とデーツの意外な関係

    広島の食卓に欠かせない「オタフクお好みソース」。その独特のコク深い甘みを支える原材料の一つに、近年スーパーフードとしても注目を集める果実「デーツ」が使われていることは、あまり知られていないかもしれない。

    お好み焼きソースなどを製造・販売するオタフクソース株式会社(所在地:広島県広島市、代表取締役社長:佐々木孝富)が、なつめやしの実であるデーツの普及に本格的に乗り出している。2025年には、3月に家庭用、6月に業務用の「デーツシロップ」を相次いで発売した。

    同社とデーツの関係は、今から約50年前の1975年にまで遡るという。看板商品である「オタフクお好みソース」の原材料として、デーツを使い始めたのがきっかけだ。

    はじまりは、オイルショック下の英国視察

    その前年の1974年、同社の担当者がウスターソース発祥の地であるイギリス・ウースター市を視察した際、現地のソース工場で初めてデーツの存在を知った。なつめやしの実を乾燥させたデーツは、ドライフルーツとして食べられるだけでなく、ソースの原材料としても使われているという。

    帰国後、さっそく研究を開始すると、デーツにはコク深い甘みだけでなく、食物繊維やミネラルといった栄養素が含まれていることが判明した。当時、日本は第一次オイルショックの真っ只中で、あらゆる物価が高騰。ソースの原材料も例外ではなかった。そこで1975年、砂糖の代替としてデーツの使用に踏み切ったのだそうだ。

    「自然の美味しさと安全・安心を追求する」という同社の理念にも合致したデーツ。その後、砂糖の価格が落ち着いてからも、その独特の風味と栄養価から、お好みソースに欠かせない原材料として使い続けられているという。 記事内画像

    〔▲デーツは食物繊維が豊富で、カリウムなどのミネラルも含まれている〕

    魅力あふれる「天然の甘み」を、日本の食卓へ

    世界では定番の果実

    日本ではまだ馴染みの薄いデーツだが、世界に目を向けると、レーズンと並ぶほどの生産量を誇る、定番のドライフルーツなのだという。主な生産地は中東や北アフリカで、近年ではアメリカなどでも栽培されている。

    砂漠の過酷な環境でも力強く育つことから、旧約聖書に登場する「生命の樹」のモデルともいわれ、古くから砂漠の民の貴重な栄養源として親しまれてきたそうだ。ドライフルーツとしてそのまま食されるほか、菓子やドリンク、酒の原材料としても広く活用されている。 記事内画像

    〔▲さまざまな品種があるデーツ〕

    50年の節目に挑む、さらなるデーツ市場の創造

    コク深い甘みと栄養価。そんなデーツの魅力に早くから着目し、ソースづくりに活かしてきたオタフクソース。デーツとお好みソース、双方の価値をさらに伝えていきたいとの思いから、2020年3月、ドライフルーツ「デーツ なつめやしの実」を全国で発売した。 さらに2025年9月には、より日常的に取り入れやすいよう、種を抜いた商品にリニューアル。品種にもこだわり、中東などでは贈答用にも使われる大粒で肉厚な「マジョール」というグレードの高い実を使用し続けているという。

    こうした取り組みが実を結び、国内のドライフルーツ市場におけるデーツの販売金額は、2020年の販売開始から着実に拡大。2024年には、2019年比で約60倍(※)にまで成長し、今後もさらなる市場の広がりが期待される。

    そして、お好みソースにデーツを使い始めて50年の節目となる2025年。デーツの魅力をより手軽に楽しめる「デーツシロップ」を家庭用(3月)、業務用(6月)に相次いで発売した。

    同社の商品企画担当者は、「天然甘味料の市場は世界的に伸びており、健康志向の高まりを受けてさらに注目されることが想定されます。また、国内のデザートソース市場も伸長傾向で、デーツの実やシロップも、国内で身近なものになり得ると考えています」と期待を込める。
    (※)インテージSRI+拡大推計値 つまみ類(SM+Drug)

    取り入れ方に合わせて選べるデーツ商品

    • しっとりした食感、コクのある甘さが好評な「デーツなつめやしの実」
      【内容量】
      68g、140g、705g
      【特徴】
    • 樹上で完熟したデーツから、グレードの高い実だけを選別。「マジョール」はやわらかいため、手作業で種を抜き、実を確認しながら加工する。さらに国内で丁寧に検品し、品質管理を徹底
    • 大粒な「マジョール」は、ひと粒で満足できる食べ応えがあり、黒糖や干し柿のような上品な甘さ

    記事内画像

    • 砂糖に代わる甘みにも使える「デーツシロップ」(家庭用)
      【内容量】
      13g×5個
      【特徴】
    • 濃縮デーツ果汁100%。シロップならではのフルーティーな酸味とデーツ由来の軽い甘さ。トーストやヨーグルトなどに、手軽に自然な甘さを“ちょい足し”して贅沢なひと時を味わえる
    • 使い切りサイズで、デーツを初めて食べる方にもおすすめなポーション容器

    記事内画像

    • メニューの幅を広げる多用途な「デーツシロップ」(業務用)
      【内容量】
      500g
      【特徴】
    • 濃縮デーツ果汁100%。デーツ本来の黒糖やキャラメルのようなコク深い味わい
    • ホットケーキなどにそのままかけても、コーヒーや牛乳などドリンクに混ぜて甘みづけしても、砂糖代わりとしてお菓子や料理に使っても。スイーツ、ドリンク、料理などに幅広く活用できる

    記事内画像

    「デーツくん」も活躍、文化の浸透目指す

    デーツの普及活動の中で、「デーツくん」というオリジナルキャラクターも誕生した。SNSなどを通じて、日々デーツの魅力を発信しているという。お好み焼文化を日本、そして世界へと広めてきたように、デーツが日本の食卓に根付く日に向け、地道な活動は続く。

    • デーツくん インスタグラムアカウント @dates.kun
    • デーツくん Xアカウント @dates_kun
      記事内画像 オタフクソース株式会社

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