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2026

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    「同じ茶葉でこれほど違うのか」——キリンの技と工業高校の技術が融合。地域ブランド「狭紅茶」

    「同じ茶葉でこれほど違うのか」——キリンの技と工業高校の技術が融合。地域ブランド「狭紅茶」

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    高校生とキリンが共創する「狭紅茶」ブランド化への軌跡

     埼玉県立狭山工業高等学校(以下、狭山工業高校)で、ある画期的なプロジェクトが注目を集めている。課題研究の一環として生徒たちが取り組んでいるのは、国産の和紅茶「狭紅茶(さこうちゃ)」づくりだ。

     この挑戦に、紅茶飲料売上本数No.1ブランド*「キリン 午後の紅茶」を擁するキリンビバレッジ株式会社(以下、キリンビバレッジ)首都圏統括本部が伴走。2022年から始まったこの支援は、単なる企業の社会貢献の枠を超え、次世代の「紅茶文化」を担う若者たちを育てるうねりとなっている。
    * インテージSRI+ 紅茶ドリンク市場 2025年1月~2025年12月 累計販売本数

    高校生の手で生まれた地域ブランド「狭紅茶」

     「狭紅茶」の歩みは、2017年に遡る。担当教諭の原嶌茂樹先生の指導のもと、電子機械科の課題研究としてスタートした。校章にお茶の葉をあしらい、校歌にも「茶の花」が登場する同校にとって、地域の特産である狭山茶は特別な存在。生徒たちの「地元の資源を活かして、学校の特色を世界へ発信したい」という熱意が、このプロジェクトの原動力だという。

     特筆すべきは、工業高校ならではの技術力だ。ロボット制御やプログラミングを学ぶ生徒たちは、紅茶づくりに欠かせない温度・湿度を自動管理する「発酵機」を自ら設計・製作。茶葉の手摘みから製造、パッケージデザインに至るまで、すべての工程を生徒たちが主体となって担っているのだ。

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     その成果は着実に現れており、2023年には「埼玉グローバル賞(世界へ挑戦部門)」、2024年には「日本茶Next Generation 準大賞」を受賞するなど、外部からも高い評価を獲得。地域に根ざした挑戦は、いまや全国区の注目を集めている。

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    プロの知見が刺激に。キリンビバレッジが注ぐ「紅茶への想い」

     狭山茶を用いた紅茶づくりに心血を注ぐ生徒たちの姿に、キリンビバレッジ首都圏統括本部が共鳴。「紅茶の楽しみ方をさらに広げたい」という共通の想いから、同社による技術的なサポートが始まった。

     揉捻(じゅうねん。製茶の工程の一つで、茶葉をよくもむこと)や抽出方法のレクチャーに加え、3年生を対象とした「紅茶セミナー」も実施されている。歴史やフードペアリングを通じて紅茶の奥深さを学ぶこの体験は、生徒たちの視野を大きく広げているようだ。また、同社の社員も研修として茶摘みに参加。生徒とともに汗を流すことで、手仕事の尊さを再確認しているという。 記事内画像

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     プロジェクトを率いる原嶌先生は、その支援の影響をこう語る。

     「『THE LEAFIES 2023 THE FUTURE OF TEA』を受賞できたのは、キリンビバレッジのおかげです。抽出方法のアドバイスをいただいた時は、同じ茶葉でありながら香りと味が別物になったことに衝撃を受けました。現在は 「茶ムリエ」 と呼ばれる生徒がイベントでおいしい紅茶の淹れ方を披露しています。本場スリランカの製法など、プロの指導を受けることで、商品販売に至るまでの広い視野とコミュニケーション能力が養われており、キャリア教育としても大きな価値を感じています」

    5校連携で広がる、「狭紅茶」プロジェクトの輪

     「狭紅茶」の輪は、いまや狭山工業高校一校にとどまらない。現在は、川越総合高校、所沢商業高校、入間わかくさ高等特別支援学校、狭山特別支援学校 狭山清陵分校を合わせた計5校が連携するビッグプロジェクトへと進化している。

     各校の強みを活かした「循環型モデル」の構築も進んでいる。例えば、イベントで発生した茶殻を川越総合高校のブランド鶏「タマシャモ」の飼料にし、その鶏糞を特別支援学校の畑で活用するといった試みだ。こうした革新的なアイディアは、2025年の「高校生ビジネスプラン・グランプリ ベスト100」にも選出されている。

    待望の量販店デビュー。キッチンカーも駆けつけた販売会

     2024年11月、ついに「狭紅茶」が初めて量販店(ヤオコー北入曽店)の店頭に並んだ。生徒自らが売り場に立ち、直接その魅力を顧客に伝えたという。用意された約400個のティーバッグやリーフ商品は、多くの地域住民の手に渡った。

     この記念すべき日には、「キリン 午後の紅茶」のキッチンカー 「The TEA LOVER」 も出店。アレンジティーを提供し、会場を盛り上げた。この取り組みは2025年にも同店で実施されており、地域に愛される恒例イベントとなりつつある。

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    紅茶の“おいしさ・たのしさ・ちから”を届ける、世界に1台のキッチンカー

     現場に彩りを添えた 「The TEA LOVER」 は、2024年6月から首都圏を巡っている世界に1台しかない「キリン 午後の紅茶」のキッチンカーだ。

     これまでに100カ所以上で展開され、訪れる場所に合わせて20種類以上のオリジナルアレンジティーを開発。季節のメニューやワッフルなどのフードを通じて、「紅茶の新しい楽しさ」を発信し続けている。

    記事内画像 ※「The TEA LOVER」の詳細は、以下を参照。 https://www.diamondv.jp/article/mcLcukxWAJdPDNRSY46JJn
    https://www.kirin.co.jp/area/kbcshutoken-tealover/

     生徒たちの熱い想いから生まれ、地域と企業が一体となって育んできた「狭紅茶」。キリンビバレッジは、これからも高校生たちの飽くなき挑戦に寄り添い、紅茶の魅力を広める旅を続けていくという。

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