
「なぜ?」から始まるビジネスの突破口――アブダク...
8/2(土)
2025年
SHARE
ビジョナリー編集部 2025/07/31
「最近、やたらと同じ車種を見かける」「新しいビジネスワードを一度聞いたら、あちこちで耳に入るようになった」──。
ビジネスの現場でも、こうした経験がある方は多いでしょう。しかし、それは本当に偶然なのでしょうか。
実は、こうした現象には脳の仕組みに基づく明確な理由があります。そのカギとなるのが「注目バイアス(カラーバス効果)」です。
この効果を知り、意識的に活用することで、情報収集や企画・意思決定、さらには人間関係まで、ビジネスのあらゆる場面で大きな武器となります。
注目バイアス(カラーバス効果)とは、「一度気になりだした対象が、急に頻繁に目に入るようになる」脳の認知現象のことです。
たとえば、朝のニュースで「今日のラッキーカラーは青」と聞いたとたん、青い服や小物がやたらと目につくようになった。あるいは、英語学習を始めた途端に、街の英語表記や広告が急に気になる。
この現象は、私たちの脳が膨大な情報の中から「自分が関心を持つもの」を優先的に拾い上げるフィルター機能によって生まれます。
ここからは、注目バイアスを仕事で活用する具体的な方法と、その際に重要な考え方を解説します。
「まず得たいものをはっきりさせること」。これは単なる精神論ではなく、脳科学的にも正しい戦略です。
「この業界で新規事業を起こしたい」「今年は英語力を伸ばしたい」「営業で成果を出したい」──。
このように自分が求めているものを明確にすると、注目バイアスが働き出し、関連する情報や人脈が自然と目に入りやすくなります。
「AI×ヘルスケア分野で企画を考えよう」と決めた直後から、社内外でAI医療関連のニュースが目につき出し、展示会で有力なベンチャー企業と出会えた。
目標はできるだけ具体的に。「何となく成果を上げたい」より、「◯◯業界で新規案件を獲得したい」と言語化することで、脳のフィルターが働きます。
「どうしてもアイデアが出ない」「発想がワンパターンになりがち」──そんなときにも注目バイアスは強力な味方です。
新商品開発や企画立案の場面で、特定のキーワードや課題を「意識のアンテナ」として立てておくと、日常のニュースや会話、移動中の広告などからもヒントを拾いやすくなります。
「環境にやさしい包装」を常に意識していたら、出張先のカフェで斬新なリサイクル容器を発見。そのアイデアを自社商品に応用できた。 「顧客の『小さな不満』に注目しよう」と決めてから、営業現場で得られる何気ない顧客の一言が大きな改善アイデアにつながった。
どんなに些細な情報でも切り捨てずに一旦受け止めることで、思わぬブレイクスルーを生みます。
注目バイアスはプラスに働けば情報収集やアイデア創出の味方ですが、時に思い込みを強化し、人間関係をこじらせてしまうリスクもあります。
膨大な情報があふれる現代、ビジネスパーソンにとって「何に注目するか」が大切な時代です。
注目バイアスの仕組みを知り、目標や意識の軸を明確にすることで、必要な情報や人脈、アイデアが自然と集まる「引き寄せ体質」に変わることができます。一方で、思い込みや先入観にとらわれず、幅広い視点を持つことも忘れてはいけません。
「自分は今、何に注目しているか?」
この問いを日々自分に投げかけ、意識のフィルターを賢く使いこなすことが、これからの時代を生き抜くビジネスパーソンの必須スキルと言えるでしょう。