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2026年

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    「唯一のミドルマン」として描く未来——共創が生み出す「第4のEC」とオープンイノベーション

    「唯一のミドルマン」として描く未来——共創が生み出す「第4のEC」とオープンイノベーション

     親会社であるプラスの製品を拡販する「メーカーの営業代行」から、お客様に必要なものを代わりに調達して届ける「お客様の購買代理人」へ——。この180度の発想の転換こそが、アスクルという未踏の流通インフラを誕生させた最大の原点でした。

     自らを購買代理人と定義した瞬間、私たちが追求すべき課題が次々と見えてきました。

     創業当初、私たちの本業はあくまで事務用品の販売であり、日用品は「ついで」の取り扱いに過ぎず、スーパーなどの価格からは乖離した価格設定で掲載していました。しかし、お客様の生の声から真に求めていたのは、主力の事務用品はもちろんのこと、オフィスで使う日用品を売ることも、自分たちの本業であると気づかされました。

     例えばトイレットペーパーは、配送において非常にかさばり、物流費用を圧迫する存在でした。そこで私たちは日本製紙(現・日本製紙クレシア)さんとタッグを組み、1ロールで3ロール分使える「3倍巻きトイレットペーパー」を共同開発しました。これによって物流費を大幅に圧縮できるだけでなく、お客様にとっても保管スペースが節約でき、交換の手間も減るという、全員がWin-Win-Win(ウィン・ウィン・ウィン)となる構造を作り上げたのです。

     飲料についても同様です。会議後に飲み残されたペットボトルの分別処分や、ラベルを剥がす際に指先やネイルが傷つくという女性社員のリアルな困りごとを知り、メーカー様と共に「ラベルレス」のボトルをいち早く商品化しました。さらに、来客用に出しても飲み残しが出ず、持ち帰りやすい小容量サイズを開発。ボトルの側面に型押し(エンボス加工)で8種類の異なるデザインを施し、会議で誰の飲み物か分からなくなる不便まで解消したのです。

     私たちは単なる中抜き業者ではありません。「作る人(メーカー)」と「使う人(お客様)」の間をつなぐ「唯一のミドルマン(媒介者)」なのです。お客様の生の声をメーカー様にフィードバックし、ECや通信販売というチャネルに最適化された新しい商品を共創していく。この「購買代理人」としての真摯な姿勢に共感してくださった多くのメーカー様が、アスクルの強力なパートナーとなってくださいました。

     さらにこの取り組みを極限まで進化させたのが、個人向けECサービス「LOHACO(ロハコ)」の立ち上げに伴い結成した「ECマーケティングラボ」でした。

     目指したのは、データと知恵を分かち合う『三方良し』のプラットフォームです。メーカーと流通が対立するのではなく、ビッグデータをオープン化し、イコールパートナーとして共に新しいECの未来を創造する環境を作りました。

     すべての人間の中に、誰かが優位に立ち、誰かがそれに従うような関係ではなく、誰もが対等な立場で知恵を出し合い協力し合う「イコールパートナー(対等な仲間)」の思想があります。この会社モデルに対する揺るぎない信念があったからこそ、このラボには日本を代表する名だたる消費財メーカーがこぞって集まってくれました。

     従来、自社の売上データや商品開発のノウハウ、ECにおける収益化の戦略などは、企業にとって最重要機密です。ライバル企業に情報が漏れることなど、各社の常識から言えば絶対にあり得ないことでした。最初にお声がけした際も、「競合他社に情報が伝わるのではないか」と警戒されるメーカー様がいらっしゃったのも当然のことです。

     しかし、「ECの健全な発展と、生活者の暮らしを豊かにするイノベーションを共に創ろう」という私たちの真剣な思いと理念を伝え、一社、また一社と参加が決まるにつれて、潮目が完全に変わりました。

     グランドハイアットなどの会場で開催したトップ参加の会合には、アサヒ、味の素、エステー、ネスレ、花王、キリン、コカ・コーラ、サントリー、ミツカン、ロート製薬、ロレアル、ユニ・チャーム、ユニリーバ、さらにはP&Gといった皆様、約150社からトップ経営者や熱心な研究員など延べ500名以上が一堂に会しました(※順不同・敬称略)。本来であれば市場で激しく凌ぎを削るライバル同士の経営陣やマーケターが集まったのです。それだけではありません。当時のFacebook役員の登壇やアリババCEOのビデオメッセージなど、プラットフォーマーの方々にも応援いただく流れができていきました。ヤフー代表取締役社長(当時)の宮坂学さんにご登壇いただいたことも、印象に残っている出来事です。

     そこで繰り広げられたのは、従来の流通説明会のような一方的な発表ではなく、真剣で熱気あふれる共同研究と議論でした。たとえばP&Gが、ライバルであるライオンやユニ・チャーム、花王の目の前で「こうすればECでしっかりと利益を出せる」というノウハウを開示・共有する。各社がビッグデータをオープンにし、研究員を出し合って「第4のEC」の可能性をオープンに探求し合いました。

     このフラットで自由な共創の場から、次々と革新的なプロダクトが誕生しました。ECで購入された商品は、店頭で目立たせるための派手なパッケージである必要はありません。直接お客様の家庭に届くからこそ、生活空間に自然と馴染むデザインが求められます。花王は消臭剤「リセッシュ」で暮らしに溶け込むスタイリッシュなEC限定デザインを開発し、通常品の11倍という凄まじい売上を記録しました。ミツカンも食卓にそのまま出せるおしゃれなパッケージの調味料を提案し、キリンは社内デザイナーが描いた多様なデザインで楽しむお茶「moogy(ムーギー)」をロハコでデビューさせました。

     自社単独のクローズな戦略ではなく、ビッグデータを共有し、ライバルの垣根を越えて学び合うオープンイノベーション。無駄を極限まで削ぎ落とした最先端のビジネスモデルと、社内外の誰もが対等なパートナーとして尊重し合える誠実な会社モデル。この二つを両輪として回し続けることこそが、時代を超えて社会に必要とされ、愛され続ける企業のあり方なのだと確信しています。

     メーカーと流通が対立するのではなく、お客様とメーカーを直接つなぎ、双方に新しい付加価値を提供する「支え手」となること。互いをリスペクトし合える対等な関係が生み出したこのラボの熱気は、日本のEC市場に新たな風を吹き込み、共創によるビジネスの無限の可能性を証明することとなったのです。

    #岩田彰一郎#アスクル創業者#アスクル#ふんわり頑固#コンシューマー・イズ・キング#はじめに意志ありき#三面鏡経営#岩田ワクチン会

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