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2026年

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    売上ではなく『体験した人数』を追え。アルビオン流・ファンを生む経営術

    売上ではなく『体験した人数』を追え。アルビオン流・ファンを生む経営術

     創立70周年を迎えた高級化粧品メーカー、アルビオン。外資系ブランドがひしめく化粧品業界において、独自の対面販売と唯一無二の商品力で確固たる地位を築いている。デジタル化やECが台頭する現代にあって、同社が最も大切にしているのは徹底した「店頭におけるお肌での実感体験」だ。

     効率化が求められる時代に、なぜ画一的な接客マニュアルに頼らず、売上数字よりも「体験した人数」にこだわるのか。次の100周年に向けた未来への挑戦まで、同社の小林勇介副社長が大切にする「アルビオンらしさ」の神髄に迫る。

    価格ではなく「体験」こそがブランドの価値。マニュアルを超えた接客の理由

    アルビオンとして一番大事にされているポイントや、高級化粧品メーカーとしての価値観をお聞かせください。

     私たちが考える「高級品」とは、決して価格が高いことではありません。良い商品をつくるのは当然ですが、接客やカウンセリング、そして空間も含めて、お客様に本当に幸せな気持ちになってお帰りいただく体験を提供すること こそが、高級品として最も大切なことだと考えています。

     外資系メーカーの方から「アルビオンの教育マニュアルを買いたい」と言われたこともあるのですが、教育マニュアルだけでは当社の接客を習得することはできません。なぜなら、お客様お一人おひとりの肌質も望んでいることも全く違うため、マニュアル通りにはお応えできないからです。

     一番大切なのは、お一人おひとりのお客様の気持ちにいかに寄り添うか というマインドや姿勢です。日頃の何気ない会話をしっかりと行い、販売するスタッフ自身が商品の良さを心から実感し、モチベーションを高めていく。そのような日々のコミュニケーションを通じて、お客様と信頼関係を築いていくことを教育の基本にしています。

    ECの時代だからこその「原点回帰」。リアル店舗にしか提供できない価値

    今年度からECも開始されましたが、リアル店舗との位置づけや今後のビジョンはどうお考えでしょうか。

     ブランド認知向上や、なかなか店舗に足を運べないお客様のために、今年からECを含めたデジタル戦略を強化し始めました。しかし、化粧品はネットだけでは完全にご満足していただくのが難しい商材です。創立70周年を迎えた今、会社としてこれからどう進むべきかと問われれば、今こそ原点回帰であり、店頭での体験を充実させることが何よりも重要 だと考えています。

     全国各地を回っていると、厳しい商業環境の中でも、不思議なほど多くのお客様が集まっているお店があります。それは、提供する空間や得られる満足度、スタッフとのコミュニケーションといった要素が、お客様に「ここに来ると安心する」「楽しい」と感じていただけているからです。情報や商品が溢れ、ネットで何を選べばいいか分からない時代だからこそ、実際に試して、相談して、本当に自分に合うものを選んでいくという時代がこれから来る と信じています。そこがアルビオンの最大の強みであり、今後も店舗との両輪で生かしていきたい部分です。

    守りに入れば個性を失う。万人にウケるより「とんがった」商品づくりを

    スキコンなど長く愛されるロングセラー商品がありますが、今後の商品開発に向けたこだわりを教えてください。

     おかげさまで化粧品専門店の皆様はアルビオンを深く愛してくださっており、お話を伺うと、商品へのリクエストやアイデアが溢れるように出てきます。そうした生の声を一つひとつすくい上げ、お客様にとって本当に良いものを商品化していくことも、大切だと考えています。
     商品開発において非常にこだわっているのは、使ったときの効果実感や感触、香りです。何度も何度も肌でテストを繰り返し、絶対に妥協しません。

     また、最初から「万人にウケる商品」をつくろうとすると、面白みのないものができてしまいます 。だからこそ、アルビオンにしかできない唯一無二のものづくりに徹することによって、面白いものが生まれ、結果的に多くの方に受け入れられるのだと思います。
     時には時代を先取りしすぎて市場に受け入れられなかった商品もありますが、守りに入ってものづくりをしていては、本当に良いものはできません。高級化粧品に特化した当社が最大のパワーを出すためには、他にはない個性的な商品力と人の力が不可欠 であり、この軸がブレることは絶対にありません。

    完成まで3年。海外ブランドとのコラボに秘められた妥協なき情熱

    海外ブランドとのライセンス契約もされていますが、現地のデザイナーとのコラボレーションで印象的なエピソードはありますか。

     私たちは、ブランド名だけでビジネスをすることはありません。ブランドの個性やデザイナーのクリエイティビティと、私たちの商品開発力が最大限に発揮できるパートナーと取り組むようにしています。
     以前携わっていた「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ(Les Merveilleuses LADURÉE)」というブランドでは、パリの店舗で色鮮やかに並ぶマカロンを見て、「こんなコスメがあったらいいな」と直感しました。すぐに意気投合し、ライセンス契約に至ったのですが、ブランドを象徴するバラの花びらの形をしたチークカラーを完成させるまでには、なんと3年もの歳月がかかりました 。
     また、香りに関してもフランス側のトップと激しく意見がぶつかりました。「この香りでは日本人には強すぎる」と何度も提案したのですが、全く譲ってもらえませんでした。最終的には相手のプロフェッショナリズムを信じてそのままの香りで発売したところ、結果的に日本のお客様から「香りが素晴らしい」と大絶賛されたのです。
     妥協せずに苦労して生み出した商品にはドラマがあり、それがロングセラー商品へと成長していく のだと、この経験を通じて改めて実感しました。

    売上よりも「体験した人数」。年単位の我慢が揺るぎない信頼に変わる

    化粧品専門店とのパートナーシップや、販売においてこだわっていることは何でしょうか。

     私は日頃の営業メンバーとの会議を通じて、「売上金額よりも、商品を体験していただいた人数にこだわれ」 と徹底的に伝えています。どれだけのお客様に体験していただけたか、その人数を増やしていけば、必ず売上という結果に結びつきます。目先の売上に走りすぎると、店頭での体験がおろそかになり、長期的な成長を見失ってしまいます。

     化粧品専門店の皆様には、「お客様をアルビオンのファンにする前に、お店のファンとして育てていただきたい」とお伝えしています。そのためには、お店ごとの個性を生かした店舗づくりが大切だと思っています。お客様が「店頭に行きたい」と思っていただけることや、肌トラブルなどの際にすぐに相談できる環境を作ることが、長い目で見たときに最も重要だからです。
     店頭での接客は、その場ですぐに売れるとは限りません。まずはお客様のご希望やお悩みをお聞きし、商品をご紹介して、サンプルをお試ししていただくことが基本です。これを繰り返し、初めて購入につながることも少なくありません。しかし、一度そこでお買い上げいただければ、強固な信頼関係に変わるのです 。これはネットショッピングでは生み出せない、リアル店舗ならではの圧倒的な価値だと思っています。

    100周年に向けて。日本での圧倒的な熱量が、世界での強みになる

    創立70周年から、さらに100周年に向けて大事にしていきたい価値観や戦略をお聞かせください。

     海外戦略について聞かれることも多いですが、私たちが世界一の高級化粧品メーカーになるためには、まずは日本市場でフルパワーを出し切り、最高の店頭空間を提供することが何よりの近道 だと考えています。
     海外のお客様は、日本で圧倒的に支持されているアルビオンの姿を見て、注目してくださいます。私たちの強みである圧倒的な個性やアルビオンらしさを、日本から世界へ発信していくことが重要だと思います。 記事内画像

     次の100周年に向けての課題は、スキコンでお馴染みの「薬用スキンコンディショナー エッセンシャル N」やエレガンスの「ラ プードル」に続くような、新たなロングセラー商品を生み出すことです。ロングセラー商品は、決してメーカーだけでつくれるものではありません。化粧品専門店の皆様が商品を愛し、お客様にご紹介し続けていただく熱量の中から生まれるものです。

     今後は時代に合わせた新しい情報発信を取り入れつつも、私たちがずっとこだわってきた 唯一無二の「ものづくりと接客」 をさらに磨き上げ、次の時代へとつないでいきたいと考えています。

    #アルビオン#化粧品#高級化粧品#ブランド戦略#経営#マーケティング#商品開発#接客#顧客体験#DX

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