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2026

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    捨てればゴミ、活かせば資源。サカタインクスが現場から広げる、印刷業界の循環モデル

    捨てればゴミ、活かせば資源。サカタインクスが現場から広げる、印刷業界の循環モデル

     印刷業界の現場では、製品をつくり、届ける過程で多様な廃棄物が発生する。これらはこれまで、産業廃棄物として処理されることが一般的だった。しかし、見方を変えれば、それは単なる「捨てるもの」ではなく、次の資源になり得る可能性を持っている。

     サカタインクスが進めているサーキュラーエコノミーの取り組みは、まさにこの発想を出発点に、現場で発生する廃棄物を資源として活かす仕組みに変えていこうとするものだ。

    環境対応を、事業戦略の一部へ

     この取り組みの背景には、同社グループが掲げるESG経営の考え方がある。社内で共有されているのは、「事業活動を通じて社会課題を解決することこそが当社グループのESG」であり、社会的価値を高め、変化に対応し、変化を起こす企業を目指すという考え方だ。同社のESG経営では、財務と非財務を切り離して考えるのではなく、統合して捉えることが重視されている。その中で、ESG戦略の一つとして「資源循環」が位置づけられ、「利益」と「社会貢献」の両立を目指す取り組みとして、サーキュラーエコノミーの実装が進められている。

     もっとも、理想を掲げることと、実際に循環の仕組みをつくることの間には大きなハードルがある。廃棄物の種類によって、回収方法も、処理方法も、再資源化した後の使い道も異なる。だからこそ同社は、まず自社の事業活動の中で発生している廃棄物に目を向け、「できることから始める」ことを重視している。

     重要なのは、この取り組みが単なる廃棄物削減活動ではないという点だ。廃棄物を「処理するもの」から「循環させる資源」へと位置づけ直し、素材ごとに実際に機能する仕組みを一つずつ積み上げる。そこに、同社が進めるサーキュラーエコノミーの本質がある。

    まず自社で実証する。そこから業界へ広げる

     サカタインクスの取り組みには、明確な順序がある。最初から業界全体に大きな構想を掲げるのではなく、まず自社の事業所で発生する廃棄物を対象に、再資源化の可能性を検証する。国内事業所で発生するインキ、溶剤、容器、フィルムなどの産業廃棄物について、素材ごとに適したパートナーを探し、回収・処理・再資源化のスキームを構築していく。同社は2024年の取り組みで得た知見をもとに、2025年以降は、印刷業界における循環型社会の実現に向けた次のステージへ取り組みを広げている。

     この進め方には、事業戦略上の意味がある。サーキュラーエコノミーは、理想だけでは実現しない。金属には金属の、インキにはインキの、フィルムにはフィルムの課題がある。だからこそ同社は、素材ごとに最適なパートナーと連携し、実証を重ねている。個別案件の積み上げにとどまらず、素材別に再資源化モデルをつくり、横展開できる知見へ変えていく取り組みである。 記事内画像

    6つの再資源化が示す、循環モデルの広がり

     現在、サカタインクスの取り組みは複数の領域に広がっている。

    金属スクラップのリサイクル

     金属スクラップでは、工場などで発生するドラム缶、石油缶、コンテナ、廃却設備などを対象に、金属リサイクルにおいて深い知見と広範なネットワークを持つパートナー企業と連携したリサイクルを進めている。分別・回収・再資源化の仕組みを整えることで、鉄鋼資源として再び活用することを目指している。 記事内画像

    廃インキのリサイクル

     廃インキでは、大阪工場で発生する廃グラビアインキを、難度の高い液状産業廃棄物のリサイクル技術を持つパートナー企業が回収し、エマルジョン化したうえで、セメント会社の製造設備用の石炭代替燃料として利用する実証を進めている。廃棄物削減に加え、化石燃料代替という観点からも可能性を検証している。 記事内画像

    PET廃材のリサイクル

     PET廃材では、グループ会社であるサカタラボステーション、サカタケムテック、そして梱包材料のリサイクル専門商社と協業し、サイン&ディスプレイの加工工程で発生するPET廃材の再利用化に取り組んでいる。製作・加工段階で発生する端材を回収し、再資源化することで、サイン&ディスプレイ領域における資源循環の輪を広げようとしている。 記事内画像

    木質バイオマスのリサイクル

     木質廃棄物では、滋賀工場で発生する不要となった木製パレットをパートナー企業が回収し、木材チップ化したうえで、紙製品や建築用ボード、木質バイオマス発電燃料として活用する実証を進めている。地域企業との連携により、資源循環と地域産業の活性化を同時に目指す取り組みでもある。 記事内画像

    オフィス什器のリサイクル

     オフィス什器では、大阪本社移転に伴って発生したデスク、椅子、パーテーション、OA機器、キャビネット、照明設備などを対象に、パートナー企業と連携して分別・回収・再資源化を進めた。印刷関連産業に限らず、オフィス移転時に発生する廃棄物の資源循環モデルとしても意味を持つ。 記事内画像

    グラビア印刷用シリンダーの再資源化

     パッケージなどを印刷する際に用いられる鉄製の印刷版「グラビア版シリンダー」のリサイクルにも取り組みが広がっている。グラビア印刷会社やコンバーターでは、印刷で不要となった鉄製シリンダーが廃棄できず、過剰在庫となる課題がある。サカタインクスはパートナー企業と連携し、廃シリンダーなどを鉄として再資源化し、最終目標としてはシリンダーとして再利用する取り組みを開始している。 記事内画像

     これらの取り組みに共通するのは、「廃棄物を減らす」だけではなく、「次の使い道を設計する」という考え方である。回収したものが、どのように処理され、どのような資源として再び使われるのか。その出口まで設計して初めて、循環は成立する。サカタインクスは、その循環の入口から出口までを、素材ごとに実証している。

    自社完結ではなく、業界共創へ

     この取り組みの次のステージは、自社内の実証にとどまらない。サカタインクスは、リサイクルパートナーや、活動の意義に賛同するパートナーを募集し、他の素材にも取り組みを拡大する方針を示している。同社が目指しているのは、単独で完結するリサイクル活動ではない。印刷会社、コンバーター、資源リサイクル企業、地域企業、グループ会社など、複数のプレーヤーが連携し、業界全体で資源を循環させる仕組みをつくることである。

     印刷業界は、食品、日用品、医薬品、広告、物流など、暮らしや産業のさまざまな領域を支えている。その産業が持続可能であり続けるためには、製品の環境配慮だけでなく、事業活動から生まれる廃棄物のあり方も変えていく必要がある。同社の取り組みは、その変化を自社の現場から始め、パートナーとともに業界へ広げようとするものだ。

    一歩ずつ、循環モデルを実装する

     企業活動には、製品をつくり、販売し、届ける流れがある。一方で、製造過程で発生するものを回収し、再び資源として循環させる流れも、これからの産業には欠かせない。サカタインクスは、印刷インキメーカーとして印刷・パッケージ産業のものづくりを支えてきた。今後はそこに加えて、廃棄物を資源へと戻す循環の仕組みづくりにも挑戦している。

     それは、同社の事業領域を単に広げるという意味ではない。印刷業界における環境負荷低減と、産業としての持続可能な成長を両立するために、事業活動の中で社会課題解決を具体化していく取り組みである。 必要なのは、一足飛びの変革ではない。現場で発生する廃棄物を一つひとつ見つめ直し、素材ごとにパートナーを探し、回収と再資源化の仕組みをつくり、実績を積み重ねていくことだ。

    「捨てればゴミ、活かせば資源。」
     この言葉は、単なる環境スローガンではない。サカタインクスにとって、それはESG経営の考え方を、現場の具体的な行動へと落とし込むためのメッセージである。自社で実証し、パートナーと共創し、業界へ広げる。廃棄物を“次の資源”へと変える循環モデルづくりは、まだ始まったばかりだ。しかし、その一歩一歩は、印刷業界が持続可能な形で成長していくための新しい基盤になろうとしている。

    サカタインクス株式会社について

    【コーポレートサイト】

    https://www.inx.co.jp/

    【取り組みの詳細】

    https://www.inx.co.jp/story/detail/20260709134501.html

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