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2026

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    春節とは何か?アジア最大の祝祭が日本にもたらす影響と魅力

    春節とは何か?アジア最大の祝祭が日本にもたらす影響と魅力

    中国や台湾、韓国、ベトナムなどにとって、春節は一年で最も盛大な祝祭です。最近では、日本でも「春節」という言葉が広く使われるようになり、観光地や百貨店では春節に合わせたセールも定着しつつあります。では、なぜ春節はこれほど大きな意味を持ち続けているのでしょうか。

    春節とは

    春節は「旧正月」とも言われ、旧暦に基づいた新年を祝う行事のことです。日本では明治時代にグレゴリオ暦(新暦)が採用されて以降、1月1日を正月とする文化が定着しましたが、それ以前は日本でも旧暦に沿って新年を迎えていました。現在も沖縄や横浜中華街など一部地域では、旧正月を祝う風習が受け継がれています。

    一方、アジア各国では今も旧暦に基づく春節が「本当の新年」として大切にされています。中国や台湾では「春節」、韓国では「ソルラル」、ベトナムでは「テト」などと呼ばれます。旧暦では新年の日付が毎年変動し、1月下旬から2月中旬のいずれかの日に春節が訪れます。このため、春節の連休は年によって異なるものの、概ね7日から9日にわたる大型休暇となります。

    春節の起源は古代中国にまで遡ります。紀元前1600年ごろ、殷の時代にはすでに年末年始に先祖や神々に祈る臘祭(ろうさい)が行われていたとされます。春節という呼び名には、冬の厳しさが終わり、春の訪れとともに新たな生命が芽吹くという自然への畏敬の念が込められています。これが単なる年越しではなく、豊作や家族の幸せを願う重要な節目として根付いてきたのです。

    春節の過ごし方――家族をつなぐ伝統と現代の融合

    春節期間中、中華圏の都市部は一変します。普段は都会で働く人々が一斉に故郷へ帰省し、家族や親戚と過ごす大きなイベントです。中国では「春運」と呼ばれる大規模な帰省ラッシュが社会現象になり、日本の年末年始とは比較にならない規模で、列車や航空券は数か月前から争奪戦となります。

    春節には家の玄関や室内に赤い紙でできた「春聯(しゅんれん)」や「福」の文字を飾る風習が根付いています。赤色は厄除けや幸運のシンボルとされ、家族の一年の無事や商売繁盛を願う思いが込められています。子どもたちの楽しみといえば「紅包(ホンバオ)」と呼ばれるお年玉の文化です。日本と同じように親や親戚から贈られ、春節の高揚感を一層高めます。

    かつては爆竹や花火を盛大に鳴らし、邪気を払うという風習もありましたが、近年は安全や環境への配慮から控えめになりつつあります。それでも、春節の夜空を彩る花火や、街を埋め尽くす赤い飾り付けに心弾む人は少なくありません。

    春節の食文化――食卓に込める願い

    春節といえば、ご馳走が並ぶ食卓抜きには語れません。日本のおせち料理にも似た「年夜飯(ニエンイエファン)」と呼ばれる春節の大晦日の晩餐は、家族全員が集まり、豊作や幸せを願いながら賑やかに行われます。

    象徴的なのは魚料理です。中国語で「魚(ユイ)」は「余裕」の「余」と発音が同じで、「ゆとりある一年になりますように」との願いが込められています。魚は切り身ではなく、頭付きが用いられ、生命力や家族の絆を象徴しています。

    また、もち米を使った「年糕(ニェンガオ)」は「年々高(ねんねんこう)」、すなわち年を重ねるごとに運が上向くという願いが込められています。日本のお餅と同じく、家族で作り、蒸したり炒めたりと地域ごとに多様なアレンジがあります。

    北部では水餃子が欠かせません。その形が古代中国の貨幣「元宝」に似ていることから、豊かさや金運を呼び込む縁起物とされています。中には一つだけ硬貨を入れておき、当たった人はその年の幸運を手にするといわれています。

    他にも、春を象徴する春巻きや、長寿の象徴である長麺(ちょうじゅめん)が食卓を彩ります。いずれの料理も「食べることで願いを叶える」という発想が息づいています。

    春節とグローバル経済――インバウンドと外交の舞台裏

    ここ数年、春節の時期になると日本の観光地や都市部は一気ににぎわいを見せてきました。中国や台湾、韓国、東南アジアからの観光客が大挙して訪れ、百貨店や家電量販店、温泉地が「春節特需」で活気づく――そんな光景はもはや春節の風物詩となりました。いわゆる「爆買い」という現象もこの春節から生まれたものです。

    しかし、2026年は国際情勢の影響を受け、中国からの訪日客数については慎重な見方も広がっています。インバウンド業界にとっては苦しい状況になることが予想されますが、個人旅行客や台湾・東南アジアからの訪日需要は依然として根強く、春節を日本で過ごすために早くからツアーを予約する人も多くいます。

    特に台湾から日本への旅行人気は圧倒的です。観光庁統計によれば、台湾の人口約2,300万人のうち、年間で600万人以上が日本を訪れています。春節期間には航空券が半年以上前に売り切れてしまうことも珍しくなく、地方空港への直行便や格安ツアーが増加するなど、その熱気は年々高まっています。冬の雪景色を楽しみに来日する台湾人観光客も多く、日本各地で春節に合わせた特別な催しやプロモーションが展開されています。

    一方、韓国や東南アジア諸国も春節需要を積極的に取り込んでいます。韓国ではデジタル決済や高付加価値の滞在型観光サービスを強化し、春節期間中はソウルや済州島の観光地が中国人観光客でにぎわいます。観光は単なる経済活動にとどまらず、国と国との関係を映す存在でもあります。

    春節から広がる未来

    春節は、新年を家族や仲間とともに迎えるという、きわめて生活に根ざした祝祭です。その姿は国や文化が違っても、多くの人にとって身近に映ります。今後もグローバル化が進む中で、日本社会にも新しい視点や価値観をもたらす存在として、ますます重要になっていくでしょう。

    春節の華やぎを体感することは、アジアの文化や価値観を理解する入り口にもなります。新しい年を祝うその熱気と温かさは、国境を越えて人々をつなぐ力を持っています。

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