Diamond Visionary logo

8/30()

2025

SHARE

    なぜ人は直前で迷うのか?——ビジネスで活きる「解釈レベル理論」の実践法

    なぜ人は直前で迷うのか?——ビジネスで活きる「解釈レベル理論」の実践法

    新規事業のビジョンにはワクワクしたのに、進んでいくうちに「本当にやれるのか?」と悩みが増える。このような経験に心当たりはありませんか?
    実はこの現象、「解釈レベル理論」で説明できます。本記事では、ビジネスパーソンに向けてこの理論をわかりやすく解説し、仕事にどう活かすべきか、具体的なヒントと注意点をお伝えします。

    解釈レベル理論とは?

    心理的な距離が焦点を変える

    解釈レベル理論とは、心理的に遠いことは抽象的・本質的に捉え、近いことは具体的・細部に目が向くことを言います。
    これを分かりやすくするため、ひとつ例を挙げましょう。

    旅行の計画——「遠い」時は夢、「近い」時は現実

    半年前に「夏休みは海外旅行に行こう!」と決めた時は「どんな素敵な体験ができるか」「思い出を作りたい」などワクワクするイメージが頭にうかびます。

    一方、出発直前になると「パスポートの有効期限は?」「何を持っていく?」「現地の天気は?」と、細かい準備やリスクが気になり始めます。

    このように、心理的な距離が近くなるにつれて抽象的に捉えていたものを、具体的に捉えていくようになります。 記事内画像

    「距離」には4つの種類がある

    解釈レベル理論で言う「距離」には、主に次の4つがあります。

    • 時間的距離:近い将来と遠い将来(例:来週のToDoと1年後の計画)
    • 空間的距離:物理的な場所の遠近(例:本社と海外拠点)
    • 社会的距離:人との関係の近さ(例:同僚と見知らぬ業界人)
    • 仮説的距離:現実性・確実性(例:ほぼ確実な案件と、まだ不確実な話)
       

    これらの距離が「遠い」と思えば思うほど、私たちの思考は抽象化し、「Why(なぜやるのか)」という目的や価値を重視します。逆に「近い」と思えば思うほど、「How(どうやるか)」という手順や細部に意識が向きます。

    ビジネスでの活用——抽象と具体の切り替え

    1. 戦略と戦術——視点の切り替えでブレない経営を

    ビジネスの世界では、「長期的な戦略」と「短期的な戦術」の両立が不可欠です。解釈レベル理論は、このバランスを取るための強力なフレームワークとなります。

    事業計画の立て方

    • 5年後のビジョンを考える会議では、「自社の存在意義」「業界でどうありたいか」「社会にどんな価値を届けるか」といった抽象的・本質的なテーマ(高次レベル)に焦点を当てるべきです。

    戦略立案=抽象的に「Why」を考える

    • 一方、来月の売上目標や今期の施策を詰める場面では、「どの顧客をどう攻めるか」「どんな施策を何件やるか」といった具体的な行動(低次レベル)が重要となります。

    戦術実行=具体的に「How」を詰める

    2. マーケティング——顧客の距離感を想定せよ

    マーケティングの世界でも、解釈レベル理論は消費者心理を理解するカギとなります。

    新製品プロモーション

    • 発売半年前に顧客にアプローチするなら、「この製品がいかに生活を変えるか」「なぜ今この技術が必要か」といったコンセプト・ブランドパーパスを訴求するのが有効です。
    • 発売直前には、「操作性」「価格」「キャンペーン」「即納可」といった具体的なメリットや行動喚起が刺さります。また、SNSや口コミを活用し、ユーザーの生の声を集めることで、心理的距離が近い情報源として購買を後押しする効果も期待できます。

    3. リーダーシップ——部下との距離を意識した伝え方

    優れたリーダーほど、この理論を使いこなしています。たとえば、部下に対して

    • 遠い未来のビジョンを語るときは、「なぜこの目標が必要か」「会社としてどこに行きたいのか」といった抽象的方向性を強調します。
    • 目先のタスクを指示するときは、「今週までに何をやるか」「手順はどうするか」と具体的に落とし込みます。
       

    部下の心理的距離に応じて話し方を調整することで、納得度や実行力が大きく変わります。

    解釈レベル理論を活用する際の注意点

    1. 距離を見誤ると、コミュニケーションがすれ違う

    例えば、まだ関心が浅い顧客に対し、細かいスペックや手順ばかり説明しても、響きません。逆に、購入直前の顧客に「ブランドの志」ばかり語っても、決め手にはなりません。
    「心理的距離」を常に意識し、「今、何を伝えるべきか」を選びましょう。

    2. 抽象と具体を混同しない

    戦略会議で細部ばかりを議論したり、現場の施策で抽象的な理想論ばかり語ったりすると、現実とのギャップが生まれ、混乱や迷走の原因になります。
    「Why(なぜ)」で議論すべき場面か、「How(どうやって)」を詰めるべきかを明確に持つことが重要です。

    3. イノベーションの推進には両方の思考が不可欠

    新しいアイデアを生み出すには抽象的な思考が、実現・実装には具体的な思考が必要です。
    どちらかに偏り過ぎると、「夢物語」で終わったり、「目の前の改善」に留まったりします。

    まとめ

    ビジネスの現場では、「決めたはずなのに迷う」「進めていたはずが不安になる」といったことが起こりがちです。
    しかし、それらは「心理的距離」と「解釈レベル」の変化で説明ができます。
    解釈レベル理論を知識として身につけ、「自分や相手は遠くにいるのか近くにいるのか」を意識するだけで、コミュニケーションや意思決定の質が劇的に向上します。
    今日から意識して「解釈レベル理論」を取り入れてみてください。きっと、あなたの仕事に「新しい視点」と「迷いに強い自信」が生まれるはずです。

    #バイアス

    あわせて読みたい

    記事サムネイル

    相手に響く話し方「PREP法」を身につけよう

    記事サムネイル

    大人になっても成長できる──ビジネスマンのための...

    記事サムネイル

    「カッツモデル」──キャリアを飛躍させる“3つの...

    記事サムネイル

    成果主義の罠に陥っていませんか?――ビジネスマン...

    記事サムネイル

    「研修は“やった気”で終わっていませんか?」――...

    Diamond AI trial

    ピックアップ

    Diamond AI