
エイブラハム・リンカーン——苦悩と挑戦を乗り越え...
9/15(月)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/09/12
突然トイレの水が止まらなくなった、キッチンの蛇口から水が漏れ出した、玄関のカギが壊れて開かない。こうした“暮らしのピンチ”は、誰にでも起こりうるものです。しかし、その焦りや不安につけ込み、「○○円から」や「即日対応」といった魅力的な広告で集客し、不当に高額請求を行う業者による被害が急増しています。
実際に、ネット広告を見て依頼した結果、修理後に数十万円もの請求を受けたという相談が、全国の消費生活センターに相次いでいます。なぜこのようなトラブルが後を絶たないのでしょうか。
国民生活センターのデータによると、水回りやカギ、害虫駆除などの「暮らしのレスキューサービス」を巡る高額請求トラブルは、2023年度には7,000件を超え、過去10年で4倍以上に膨れ上がっています。
実際に「390円から」と謳う広告を見て依頼した女性が、最終的に55万円もの請求を受けたケースも報告されています。これほどまでに被害が拡大している背景には、ネット広告の巧妙化と、消費者の“焦り”や“知識の格差”を突く悪質な手口があるのです。
Aさんは、浴室の水圧低下に悩み、ネットで見つけた水道業者に依頼。到着した作業員は「蛇口全体の交換が必要」と説明し、58,000円を提示しました。しかし、不審に感じて断り、水道局に紹介された業者に見積もりを依頼したところ、パッキン交換のみ(8,000円)で解決。もし最初の業者に任せていたら、不要な工事で高額請求を受けていたことになります。
Bさんは蛇口の水漏れでチラシの業者に連絡。商品代42,000円、工賃30,000円、処分費3,000円の合計75,000円を請求されました。しかし、ネットで調べたその蛇口の定価は19,800円。後日、指定工事業者に依頼したところ、合計37,000円で済みました。
このようなトラブルの共通点は、「その場で即決を迫られる」「価格の説明が曖昧」「相場より明らかに高額」などです。
「1,480円~」「即日対応」などと安さを強調する広告につい目が行きがちです。しかし、実際の請求金額は数十万円に膨れ上がるケースが多発しています。トイレや水漏れなどの緊急事態では、冷静な判断が難しくなり、「とにかく早く直してほしい」と焦ってしまいがちです。
消費者は水道や設備の専門知識が乏しいため、「特殊な作業が必要」「このままでは家全体が水浸しになる」などと不安を煽られると言われるがままに追加作業を了承しやすくなります。
高額請求に納得できない場合でも、「現金で今すぐ払ってください」「同意欄にサインを」と強く迫られ、断りきれずに支払ってしまうケースが目立ちます。現金払い後は返金交渉が難しくなるため、特に注意が必要です。
ここからは、読者の皆様が被害に遭わないために実践できる具体的な対策をご紹介します。
「○○円から」と書かれていても、実際には基本料金のみで、出張費、作業費、部品代などが別途発生するケースがほとんどです。安さだけで即決しないようにしましょう。
可能な限り2社以上から見積もりを取ることが大切です。少なくとも電話で最低~最高金額の目安を確認し、「現場を見ないと分からない」と濁す業者は避けましょう。
作業前に必ず内容と金額の説明を受け、納得できるまで質問しましょう。不明点があれば「写真や動画を撮っても良いですか?」と記録を残すのも効果的です。納得できない場合は、作業開始やサインを断る勇気を持ちましょう。
ネットの口コミや評判も参考になりますが、サクラや自作自演も多いのが現状です。信頼できる身近な人の体験談や、評判の悪い業者を避ける視点が重要です。
万が一、納得できない高額請求を受けてしまった場合、以下のステップで冷静に対処しましょう。
金額や作業内容に納得できない場合は、現金払いは拒否しましょう。また、契約書や同意欄へのサインも保留してください。
広告のスクリーンショット、業者とのLINEやメール、請求書、現場の写真など、証拠を集めておきましょう。トラブル解決時に有力な材料になります。
消費者ホットライン「188」に電話すれば、最寄りの消費生活センターを案内してもらえます。専門の相談員が具体的なアドバイスや、必要に応じて業者との交渉も行ってくれます。
訪問販売や電話勧誘の場合、一定期間内であればクーリングオフが可能です。また、返金交渉や少額訴訟(60万円以下の請求に対応)、通常訴訟などの法的措置を検討しましょう。
生活のトラブルは、“いつ自分の身に降りかかるか分からない”ものです。しかし、安さや「今すぐ対応」などの売り文句に飛びついた結果、かえって高額な請求に苦しむケースが後を絶ちません。
大切なのは、「ひと呼吸おく」冷静さと、「複数業者の比較」「信頼できる窓口の確認」「証拠の保存」といった基本的な防衛策を徹底することです。
さらに、万が一トラブルに遭った場合でも、消費生活センターや専門家へすぐに相談し、決して泣き寝入りしないことが自分の権利を守る第一歩となります。