WBC日本代表の核心――監督とスター選手に見る“...
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なぜ米国は本気になったのか──WBCアメリカ代表を支える4人の象徴
ビジョナリー編集部 2026/02/20
開催目前のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)。かつては“エキシビション”と揶揄されたこの大会に、いまアメリカは本気で向き合おうとしています。王者奪還を掲げる代表には、MLBを代表するスターが顔をそろえ、“ドリームチーム”と呼ぶにふさわしい陣容が整いました。
その中核を担うのが、アーロン・ジャッジ、タリック・スクーバル、ポール・スキーンズ、そしてカル・ローリーの4人です。彼らの歩みと実績をたどることで、アメリカ野球の現在地が見えてきます。
なぜアメリカは本気になったのか
かつてWBCは、アメリカにとって必ずしも最優先の舞台ではありませんでした。シーズン開幕を目前に控えた調整期間にあたり、怪我のリスクも伴うことから、トップ選手が参加を見送るケースも珍しくなかったのです。
しかし、状況は大きく変わりました。前回大会の決勝で日本に敗れたことは、単なる一敗以上の意味を持ちました。MLBが世界最高峰であるという前提に、静かな揺らぎが生まれたとも言えるでしょう。
さらに、若い世代にとってWBCは、幼少期から見てきた“憧れの舞台”でもあります。ポール・スキーンズらは、まさにその世代の象徴です。国の名を背負うことへの価値観は、確実に変化しています。
今回のロースターは、そうした時代の変化を映し出す結果と言えるのではないでしょうか。
アーロン・ジャッジ──キャプテンの重みと進化
その変化を最も象徴する存在が、アーロン・ジャッジです。ロースター発表時、ひときわ大きな話題を呼んだのが、彼の主将就任でした。身長201cm・体重128kgという体格、ヤンキースのフランチャイズ・プレイヤーとして、MLB史上に名を刻む本塁打記録を打ち立ててきたジャッジですが、その歩みは決して順風満帆ではありませんでした。
ジャッジの野球人生は、カリフォルニア州の小さな町リンデンから始まりました。幼い頃から野球、アメリカンフットボール、バスケットボールに親しみ、複数の大学からフットボール選手としての誘いを受けながらも、「一番好きな野球の道」を選びました。大学時代には「Freshmen All-American Baseball Team」に選出されるほどの実力を示しましたが、プロ入り当初は三振の多さが課題とされ、決してエリート街道を歩んだわけではありません。
しかし、ヤンキースでのデビューを果たすと、持ち前のパワーと努力で一気にスターダムを駆け上がります。2022年には、ロジャー・マリスのアメリカン・リーグ最多本塁打記録を61年ぶりに塗り替える62本塁打を放ち、全米から称賛を浴びました。
2024年、2025年と続けて圧倒的な打撃成績を残し、2年連続のシーズン50本塁打、そして自身初となる首位打者も獲得。WBC代表主将という“アメリカ野球の顔”として世界の頂点に挑もうとしています。
タリック・スクーバル──“投手三冠”のサウスポーがもたらす新たな風
投手陣の柱として、注目を集めているのがデトロイト・タイガースのタリック・スクーバルです。
シアトル大学時代にトミー・ジョン手術を経験し、一度はドラフト下位指名も辞退。再び挑戦を決意し、2018年にタイガースから9巡目指名でプロ入りしたという、苦労人の一面を持っています。
しかし、そこからの躍進は目を見張るものがあります。マイナー時代に急成長を遂げると、2020年にメジャーデビュー。最速102.6マイル(約165km/h)の速球を武器に、スライダーやチェンジアップ、シンカーを駆使する多彩な投球でMLB屈指の左腕へと成長しました。
2023年は故障明けにもかかわらず、復帰後の9月に圧巻の成績で月間最優秀投手賞を獲得。そして2024年には、開幕投手を務めるとともに、シーズン通して18勝・防御率2.39・228奪三振の“投手三冠”を達成。満票でサイ・ヤング賞を獲得し、オールMLBチームにも選ばれるなど、一躍リーグを代表するエースとなりました。
2025年も勢いは止まらず、2年連続のサイ・ヤング賞、2年連続で防御率タイトルを獲得。まさに“真のエース”としての地位を確立しました。WBC代表では、アメリカ投手陣の中核を担うことが期待されています。
ポール・スキーンズ──“怪物右腕”、若き新星が放つ衝撃
次に紹介したいのが、“新時代の怪物”と称されるポール・スキーンズです。
高校卒業後は空軍士官学校という異色の進路を選び、そこで投打二刀流の才能を開花させました。その後、ルイジアナ州立大学へ転校し、全米大学野球の舞台で圧倒的な活躍。160キロ超えの速球を武器に、2023年にはカレッジ・ワールドシリーズ優勝・最優秀選手賞の栄誉を手にします。
プロ入り後も、その勢いは止まりませんでした。2023年のMLBドラフトで全体1位指名を受け、契約金は史上最高額。2024年にはAAAで7試合に先発し、防御率0.99・45奪三振という驚異的な成績を記録してからメジャーの舞台へ。そのデビュー戦では100マイル超の速球を17球も投げ、MLBの度肝を抜きました。
さらに、初勝利、オールスター先発、23試合で防御率1.96・170奪三振・11勝3敗という新人離れした成績で新人王を獲得。2025年はサイ・ヤング賞まで手にし、一気にメジャー最強右腕の一人に成長したのです。
彼の憧れは、二刀流の大谷翔平。その背中を追いかけてきたスキーンズは、WBCでも世界を驚かせる存在になるでしょう。速球の威力はもちろん、精神面のタフさと勝負強さも特筆すべき点です。アメリカの新たな象徴として、世界の強打者と真っ向勝負する姿が大いに期待されています。
カル・ローリー──捕手の常識を覆すパワーヒッター
最後に紹介するのは、シアトル・マリナーズのカル・ローリーです。彼は、現代野球における「捕手像」を大きく塗り替えた存在と言えるでしょう。
野球一家に生まれ、幼少期からバットを握っていたローリーは、父親の情熱に後押しされてキャリアをスタートさせました。大学進学後はすぐに捕手として頭角を現し、プロ入り後も順調にステップアップ。2022年には正捕手の座をつかみ、27本塁打でチーム21年ぶりのプレーオフ進出に貢献しました。
2023年以降、本塁打数、打点、守備力とすべての面で進化を重ね、2025年にはMLB捕手史上初のシーズン60本塁打を達成。スイッチヒッターとしても歴代最多本塁打記録を更新し、本塁打王と打点王の二冠を獲得しました。「攻守にフル出場しながら本塁打量産」という新時代のスタイルを確立しました。
特筆すべきは、そのスタミナとリーダーシップです。ほぼ全試合をマスクをかぶりながら、疲れを見せずにフルスイングを続ける姿は、多くの若手捕手に夢と希望を与えています。守備面でも、マリナーズ投手陣の防御率向上に大きく寄与し、ゴールドグラブ賞やプラチナグラブ賞も手にしました。
愛称の「ビッグ・ダンパー」は、親しみとパワフルさの象徴。ファンからも仲間からも愛される理由がそこに集約されています。WBCでも、彼の長打力とリーダーシップは間違いなくアメリカ代表の武器となるでしょう。
“夢の共演”がもたらす化学反応──アメリカ代表の未来を占う
WBCアメリカ代表は、まさしくドリームチームと言えるでしょう。アーロン・ジャッジという絶対的主将とスラッガーの存在。タリック・スクーバル、ポール・スキーンズという新世代エースたちの台頭。そしてカル・ローリーが示した捕手の新しい価値。
それぞれの歩みは異なりますが、彼らに共通するのは、困難を乗り越えながら進化を続けてきた姿勢です。そして今回のロースターは、アメリカ野球がWBCという舞台に本気で向き合う意思の表れでもあります。
WBCはもはや“余興”ではありません。MLB最高峰の選手たちが国家の名を背負うとき、そこには単なる大会を超えた意味が生まれます。今回のアメリカ代表が示す姿勢は、国際野球の新たな基準となるのかもしれません。
第6回WBCのアメリカ代表選手一覧
ここまで主軸となる4人を見てきましたが、アメリカ代表もまた、多層的な戦力で構成されています。スター選手だけでなく、各ポジションに実力者が揃うことで、チームとしての完成度が高まっています。以下が第6回WBCアメリカ代表の登録メンバーです。
| 背番号 | ポジション | 名前 |
|---|---|---|
| 19 | 投手 | メイソン・ミラー |
| 22 | 投手 | クレイトン・カーショウ |
| 26 | 投手 | ノーラン・マクリーン |
| 27 | 投手 | タリック・スクーバル |
| 30 | 投手 | ポール・スキーンズ |
| 31 | 投手 | マシュー・ボイド |
| 35 | 投手 | クレイ・ホームズ |
| 40 | 投手 | ブラッド・ケラー |
| 41 | 投手 | ジョー・ライアン |
| 48 | 投手 | グリフィン・ジャックス |
| 52 | 投手 | マイケル・ワカ |
| 53 | 投手 | デビッド・ベッドナー |
| 55 | 投手 | ゲイブ・スパイアー |
| 59 | 投手 | ギャレット・ウィットロック |
| 60 | 投手 | ギャレット・クレービンジャー |
| 62 | 投手 | ローガン・ウェブ |
| 16 | 捕手 | ウィル・スミス |
| 29 | 捕手 | カル・ローリー |
| 2 | 内野手 | アレックス・ブレグマン |
| 5 | 内野手 | アーニー・クレメント |
| 7 | 内野手 | ボビー・ウィット・ジュニア |
| 11 | 内野手 | ガナー・ヘンダーソン |
| 13 | 内野手 | ブライス・トゥラング |
| 24 | 内野手 | ブライス・ハーパー |
| 43 | 内野手 | ポール・ゴールドシュミット |
| 1 | 外野手 | コービン・キャロル |
| 4 | 外野手 | ピート・クロウ=アームストロング |
| 25 | 外野手 | バイロン・バクストン |
| 99 | 外野手 | アーロン・ジャッジ |
| 12 | 指名打者 | カイル・シュワーバー |


