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なぜ「ラブブ」はここまで人気に?—ブラインドボックスとSNSが生む熱狂
ビジョナリー編集部 2025/10/17
カバンにふわふわした耳のぬいぐるみを付けている人を見かけたことはありませんか?「ラブブ(LABUBU)」という国内外で入手困難なキャラクターとして爆発的な人気を誇っています。
「なんでこんなに流行っているの?」「どんなキャラクター?」そんな疑問を解き明かすべく、ラブブの全貌を紐解いていきます。
ラブブとは何か?
ラブブは、香港在住のアーティスト、カシン・ルン(Kasing Lung)氏が生み出したキャラクターです。うさぎのような長い耳、ギザギザの歯、いたずらっぽい表情。「かわいい」と「ちょっと不気味」の絶妙なバランスが特徴です。
この見た目に加え、ラブブは「心優しいのに、なぜか裏目に出てしまう」というユニークなストーリーを持っています。原作の絵本『The Monsters』シリーズでは、北欧神話を思わせる妖精の女の子として描かれ、多様な共感を呼んでいます。
ラブブを世界に広めたのが、中国発の玩具メーカー「POP MART(ポップマート)」です。同社はアーティストと組み、ラブブをはじめとする独自IPキャラクターを次々と展開。日本でも原宿や渋谷PARCOなどに直営店を構えています。
なぜここまで人気?
可愛さ×毒気
ラブブの最大の魅力は、単なる「かわいい」では収まらない独特の存在感です。「いたずら好き」「不思議」「ちょっとダーク」このギャップが、若者を中心に共感や拡散欲求を生み出します。
たとえば、日本では「キモカワ」や「ブサカワ」といった可愛さの価値観が定着しつつあります。ラブブは、そうした時代感覚とマッチしています。
ブラインドボックスと限定性
ラブブが爆発的に売れている背景には、「ブラインドボックス」という販売方式が挙げられます。これは、箱を開けるまでどのラブブが入っているかわからない仕組みです。トレーディングカードやカプセルトイのような“運試し”の要素が加わり、購入者はドキドキ感を味わえます。
さらに、POP MARTは限定品やコラボモデル、店舗・イベント限定ラブブも頻繁に展開しています。これが「今買わないと二度と手に入らないかもしれない」という希少性につながり、コレクター欲も加速。SNSでは「開封動画」や「レアキャラ自慢」が拡散し、その熱気がまた新たなファンを呼び込む循環が生まれています。
SNSバイラルとセレブの後押し
ラブブ人気の火付け役は、K-POPスター・BLACKPINKのリサさんでした。彼女がSNSで「お気に入りキャラクター」としてラブブを紹介したことから、世界中のファンやインフルエンサーがこぞってバッグにラブブをつけて投稿。その結果、「ラブブ=トレンドの最先端」「持っているだけでおしゃれ」という新しいステータスシンボルになりました。
日本では、かつての“たまごっち”ブームのような現象とも重なり、若年層の「みんなが持っている」「手に入らないからこそ欲しい」という心理を強烈に刺激しています。
ラブブ人気を支えるビジネス戦略
「ブラインドボックス」形式の徹底
POP MARTは、かつては有名IPのライセンス商品を中心に展開していましたが、2015年以降は自社開発キャラクターにシフト。ラブブもその象徴です。「中身が見えない」というブラインドボックスの販売形式は、若い世代の「ガチャ熱」「射幸心」を巧みに捕らえ、開封そのものがエンタメ化しています。
直営店と“体験型”店舗運営
POP MARTは、代理店に頼らず直営店を世界中に展開。中国国内400店以上、海外でも120店以上を誇ります。店舗はSNS映えする内装で、来店自体が一つの“イベント体験”に。日本でも原宿や渋谷など、若者が集まるエリアに出店しています。
ソーシャルメディア戦略
インスタグラムやTikTokなど、SNSでの「#Labubu」投稿や開封動画がバイラル化。POP MART自身もオンラインイベントや限定販売を活用しています。SNS経由でラブブを知ったという若者も非常に多く、リアルとデジタルを横断する巧みな仕掛けが、熱狂的なファン層を生み出しています。
その人気が生み出す“光と影”
現在、ラブブは正規店や公式オンラインショップでもほぼ“即完売”。抽選入場制・購入点数制限などの対策が取られていますが、需要の高まりに供給が追い付かず、メルカリやBUYMAなど二次流通では定価の数倍、限定モデルに至っては数十万円、さらには海外で1000万円超の取引事例まで現れています。
また、人気の裏で、偽物や非公式ポップアップストア、過剰な転売も社会問題になっています。「当選確率を上げるために“ラブブを持つと不幸になる”というデマを流す」という現象まで起きています。子どもが偽物をつかまされ親が嘆くケースも増えており、POP MARTも公式サイトで「正規ルート購入」を強く呼びかけています。
日本と世界の“ぬい活”文化
日本では、90年代に流行した「バッグにぬいぐるみを大量につける」文化が“Y2K”ファッションとともに復活中。ラブブも「ぬい活」(ぬいぐるみ活動)の中心的存在となり、一緒に旅をしたり、写真を撮ったりと、ぬいぐるみを通じた自己表現やコミュニティ形成が進んでいます。
ラブブのコレクター同士が情報交換したり、「推しラブブ」を自慢したり。単なる消費者を超えて、自らブランドやキャラクターを語り、広める“ファンコミュニティ”が形成されています。この現象は、たまごっちやSupreme、さらにはポケモンカードなど過去の社会現象とも共通点があり、「希少性」「見せびらかしたくなるデザイン」「語り合いたい仲間」が流行の本質だと言えるでしょう。
ラブブの未来
ラブブ人気を支えるPOP MARTも、かつて主力だった「モリー」というキャラクターが流行の波に乗れず、売上が急減した過去を持ちます。IPビジネスの宿命とも言える「飽きられる」リスク。ラブブもまた、いずれは新たなキャラクターに取って代わられる日が来るかもしれません。
しかし、創業者のワン・ニン氏は「慌てず、芸術性の高いキャラクターづくりを追求する」と語り、単なる流行で終わらせない姿勢を示しています。今後もPOP MARTは次なるスターIPの開発や、ファンとの新しい関わり方を模索し続けるでしょう。
まとめ
- 「かわいい」だけではなく、ひとクセある“毒気”が共感を呼ぶ
- ブラインドボックスや限定性による“希少価値”が熱狂を生む
- SNSとセレブの発信が、消費行動を加速させる
- コミュニティ形成がブランドの持続力につながる
- 人気の裏で、転売や偽物などの社会課題も浮上
ラブブは、現代の消費文化やSNS時代における流行の法則を体現したキャラクターです。欲しくても手に入らない、そんな状況こそが、大きなモチベーションになるのかもしれません。


