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2025

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    ふるさと納税の「裏方」から「共創者」へ――さとふる青木副社長が語る、地域の課題解決と広がる可能性

    ふるさと納税の「裏方」から「共創者」へ――さとふる青木副社長が語る、地域の課題解決と広がる可能性

    良い制度なのに広がらない。自治体の「手が回らない」課題を解決する仕組みを構築

    まず、さとふるを立ち上げられたきっかけについて教えてください。

    立ち上げ当時、自治体と話をする中で「ふるさと納税をうまく活用できていない」という声がありました。自治体や事業者の方々がふるさと納税に参画しづらい背景があるのではないかと仮説を立て、ヒアリングを重ねました。すると、自治体の方は住民サービスが第一で、寄付の受付からお礼品の発送、寄付者からの問い合わせ対応など、ふるさと納税の業務にまで手が回らない 状況でした。地域の事業者の方も「これ以上仕事は増やせない」という声が多かったです。

    そこで、ふるさと納税の情報を掲載するポータルサイトとしての役割にとどまらず、自治体や事業者の方にはお礼品情報を登録いただき、お礼品の手配から寄付者対応までを当社が一括で代行する仕組み を考えました。自治体の方には集まった寄付をどのように政策に活かすかに専念していただき、事業者の方には、通常業務の負担にならない形でふるさと納税に参加していただけるようにしています。

    寄付者の方々にとっても、当時は手続きが分かりづらい部分がありました。そこで、今では当たり前になったマイページ機能をいち早く導入し、自分の寄付履歴を確認できるようにしました。寄付の流れが理解しやすく、手軽にふるさと納税に参加していただけるようなユーザー体験を目指してサービスを設計してきました。

    「ふるさと納税で人生が変わった」――地域の声が原動力。日本の国力向上に繋げたい

    実際に事業を始めて、地域からの反響はいかがでしたか。

    思った以上に「さとふると一緒にやってみよう」と言ってくれる自治体や事業者の方が多くいらっしゃいました。

    地域に行くと、ふるさと納税に参加してくれた事業者の方から「さとふるでふるさと納税に参加して本当に良かった」という声をいただきます。例えば、一人で生産していた方が、ふるさと納税を通じてお客様の声を直接聞けるようになり、やりがいを感じるようになった り、注文が増えたことで地域の方を雇用できるようになったり。その結果、ご自身は生産だけでなく、東京や海外へ販路拡大にも取り組めるようになったという話も伺います。

    ふるさと納税をきっかけに地域が活性化し、商品や魅せ方が改善され、人々の知見や可能性が広がることで、地域の底上げにつながっている のを目の当たりにしてきました。これは将来的には日本の国力向上にもつながる と考えています。私たちに期待してくださる多くの方々の期待に応えたい、その思いが原動力です。

    物流代行から写真撮影会まで。「EC ノウハウ」を提供し、地域の自走を支援

    自治体のリソース不足といった課題に対し、特に注力しているサポートは何でしょうか。

    立ち上げ当初から課題であった地域のリソース不足、例えば「生産はできても出荷や保管ができない」といった問題に対応するため、当社で倉庫を用意し、そこにお礼品をまとめて送っていただければ、その後の細かい発送作業などのオペレーションを一括代行する サービスに力を入れています。

    また、EC のノウハウがない事業者さんのために、お礼品のキャッチコピーの書き方や検索されやすいお礼品名の工夫などをサポートしています。プロのカメラマンを地域に派遣し、お礼品の撮影会 も定期的に開催しています。事業者の方にはイベントとして楽しんでいただきつつ、自社でポップを作る際の参考にもしていただける取り組みです。

    こうしたサポートを通じて、事業者さんに EC のノウハウが蓄積され、ふるさと納税以外の販路が広がっていくといいなと思っています。実際に、ふるさと納税を通して得た知見を活かして、一度閉じた自社 EC サイトを再開したところ、固定客がついたというお話も伺っています。

    きっかけはお礼品でもいい。災害支援や地域課題解決にもつながる「可能性を秘めた制度」

    お礼品だけでなく、災害支援寄付など社会貢献活動にも積極的に取り組まれていますね。

    きっかけはお礼品でもいい のかなと私は思っています。美味しいな、素敵だなというところから入って、「これってどこで作ってるんだろう」とその地域に関心を持つ。体験型のお礼品も増えており、現地を訪れる「交流人口」を増やしたいという自治体のニーズにも応えています。

    また、災害支援にも力を入れています。最初のきっかけは熊本地震でした。契約先の南阿蘇村に支援物資を届けようと現地へ向かう途中、2 回目の本震が発生したのです。「人命最優先なので民間の人は来ないでください」という状況になり、これは支援物資どころではないなと思いました。

    そこで、私たちにできることは、ふるさと納税を通じた寄付金を集め、いち早くお届けすることだと考え、その日の夜に東京へ戻り、募金サイトを立ち上げました。国からの支援金は着金まで時間がかかりますが、ふるさと納税は翌月にお渡しできるため、「すぐ使えるお金は本当にありがたかった 」と感謝の声をいただきました。災害寄付は決済手数料などもすべて当社が負担し、寄付額がそのまま自治体に届く ようにしています。

    他にもフードロス削減の呼びかけや、棚田の担い手不足といった地域課題の解決策としても、ふるさと納税には大きな可能性があると感じています。

    ポイント廃止は「地域に興味を持ってもらうチャンス」。お礼品の魅力とユーザー体験で勝負する

    今年(2025 年)10 月の制度改正でポイント付与がなくなりましたが、これをどう捉えていますか。

    ポイントはふるさと納税に参加する人を増やすという意味で、裾野を広げる一定の効果はあったと思います。ただ、ふるさと納税制度が一般的になってきた今考えると、中長期的に制度を安定させるために必要な措置だったと理解しています。

    当社にとっては、ポイントという要素がなくなったことで、お礼品そのものの魅力や、「誰がどのように作っているのか」という点に目を向けていただきやすくなり 、地域に興味を持っていただく余地が増えるというプラス面があると考えています。

    今後は、自治体・事業者の方々と連携し魅力的なお礼品の拡充を進めるのはもちろん、アプリで控除手続きが完結する簡便さや、配送予定がわかるカレンダー機能など、寄付からお礼品の受け取りまで一連のユーザー体験 を磨いていきます。私たちが物流オペレーションを担っている強みも活かし、「使いやすさ」で選ばれるサービスへと強化してまいります。

    ふるさと納税の枠を超え、AI も活用。「地域活性化を共に実現できる存在」へ

    最後に、御社が目指す姿、社会に与えていきたい影響について教えてください。

    ふるさと納税に限らず、地域の発展や地域活性化につながる取り組みを一緒に進めていきたいと考えています。

    例えば、当社の倉庫をふるさと納税以外の商品出荷にも活用していただくことや、最初はふるさと納税向けに開発した商品を、他の販路でも展開できるようにしていくなどです。今後は、業務効率化の一つとして AI の活用も視野に入れ、その効果を自治体や地域に還元していきたいと考えています。

    「さとふるがいるからできる」「さとふると一緒ならできる」 と地域の方に思っていただけるように、さまざまな実現手段を提供していきたい。まちづくりや地域の価値創造を一緒に進めていく、地域活性化を共に実現できる存在 になりたいと考えています。

    #トップインタビュー#青木大介#ふるさと納税#地域活性化#地域創生#株式会社さとふる#情報通信業#ビジネス#経営戦略

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