ネット生保の第一人者・ライフネット生命が「サポー...
SHARE
「資金なし、人手なし」から生まれた最強のプロダクト思想——ヒューマンテクノロジーズとデジジャパンが16年間培った「伴走型サポート」と信頼の絆
ビジョナリー編集部 2026/09/14
出会いから16年以上。両社はOEMブランド『Touch On Time(タッチオンタイム)』などを通じてクラウド勤怠管理市場を牽引し、圧倒的なシェアと絶大な信頼関係を築き上げてきた。なぜ、多くの顧客から「勤怠管理ならこれを選べば間違いない」と言わしめるプロダクトが生まれたのか。
資金も人手もなかった創業初期の泥臭い舞台裏から、顧客のカスタマイズ要望を安易に落とし込まない一貫した開発姿勢、そして営業・開発・サポートが対等に高め合う独自の組織文化まで。ヒューマンテクノロジーズ代表取締役社長の家﨑晃一氏と、デジジャパンソリューション営業部部長の小林豊樹氏が、16年の歩みとクラウドDXの本質を語り尽くす。
「勤怠システムはこんなにも難しい」——知っていたからこそ分かった『KING OF TIME』の凄み
デジジャパン様がヒューマンテクノロジーズ様とのお取引を始められたきっかけについて教えてください。
デジジャパン 小林氏: 当時(2010年頃)、弊社デジジャパンは寺岡精工グループとして、飲食店や小売店向けの店舗管理システムを展開していました。店舗の正確な損益を把握するには人件費の算出が不可欠であり、お客様の間に強い勤怠管理のニーズがあることは明確でした。当時の先代社長(現・寺岡精工常務取締役の三宅良昇氏)は、勤怠管理システムを提供するにあたり、「自社開発するか」「他社とアライアンスを組むか」の2択を模索していました。
そこで市場にある多数のシステムを比較検討した結果、最も優れていたのがヒューマンテクノロジーズの『KING OF TIME』でした。最終的に弊社のOEMブランド『Touch On Time』として展開することを決断したのが最初のきっかけです。
実は、取り組みの最初のお披露目は九州で開催された寺岡精工の個展(単独展示会)でした。当時、入社したばかりだった私と、同じく入社したばかりだったヒューマンテクノロジーズの家﨑さんがタッグを組み、家﨑さんが商品説明を行い、その補佐を私が担当したのが原点ですね。
当時、さまざまなシステムがある中で、なぜそこまで『KING OF TIME』を高く評価されたのでしょうか。
デジジャパン 小林氏: 実は、自社システムのオプションとして簡易的な勤怠管理機能を持っていたのですが、お客様から「こういう集計はできないか」と聞かれても、ほとんど対応できなかったんです。一旦データをCSVで取り出して加工し、再度取り込むといった強引な運用を案内せざるを得ず、「勤怠管理というのはこれほど難しいものなのか」と痛感していました。
勤怠管理は、企業ごとの独自の就業ルールの塊です。一般的な会計や給与計算システムと異なり、パッケージシステムで各社の異なるルールに対応するのは至難の業です。しかし、展示会で家﨑さんの説明を聞いていると、お客様の複雑な要望に対して「それはできます」「こう設定すれば対応できます」と次々に答えていた。既存システムの限界を知っていたからこそ、手を加えずに多様なルールに対応できる『KING OF TIME』の汎用性の高さに心底驚かされました。
営業や大口顧客の声にもブレない。「顧客ニーズの本質を見極める」開発哲学
他の勤怠管理システムと比べて、『KING OF TIME』が圧倒的な支持を得ている最大の強みはどこにあるとお考えですか。
デジジャパン 小林氏: 少しマニアックな視点になりますが、ソフトウェアとして安易なカスタマイズに応じず、徹底的に汎用性を追求する姿勢 を貫いている点です。
通常、システム開発においては「この機能をつければ売れる」「大口顧客がこう言っている」という営業や顧客の声に押され、安易なカスタマイズを繰り返してシステムが複雑化・迷走してしまいがちです。しかし、ヒューマンテクノロジーズ様は違いました。顧客や営業からの要望を受け止めつつも、それが本当に汎用性があり、全ユーザーの役に立つもの(Aランクの要望)なのか、それとも特定一社だけの特殊な要望(Eランクの要望)なのかを自分たちの軸で厳格に判断していました。
たとえ大口顧客からの要望であっても、汎用性がないと判断した開発は頑ななまでに作らない。この信念を貫いたからこそ、『KING OF TIME』はブレずに完成度の高い製品であり続けられたのだと感じます。
家﨑社長は開発や製品づくりにおいて、当時どのような想いがあったのでしょうか。
ヒューマンテクノロジーズ 家﨑氏: 当時、営業や顧客の言う通りに安易にカスタマイズを行っていたら、システムは絶対にぐちゃぐちゃになって破綻していた と思います。
うちの開発陣は非常に誇り高く、「『KING OF TIME』をどう良くするか」ということだけを真剣に考えていました。顧客から要望が来た際も、安易にプログラムを書き換えるのではなく、「今の仕様と機能をどう組み合わせれば、顧客のやりたいことを実現できるか」という変化球の提案を全力で考え抜いてくれた。営業、サポート、開発が上下関係なくフラットな立場で議論できたからこそ、現在の『KING OF TIME』の強固な基盤が作られたのだと思っています。
デジジャパン 小林氏: 昔、ある特注案件の納期調整で、ダメもとで家﨑さんに「もし特注費用を倍払ったら納期が早まる選択肢なんてありますか?」と聞いたことがあったんです。そうしたら即答で「それはないですね」と言われました(笑)。顧客の都合に流されず、製品の品質と開発体制を守る姿勢を見て、「この会社のプロダクト思想は本物だ」と確信しましたね。
「お金も人もない」から始まった、フラットな組織と先進的カスタマーサクセス
お話をお聞きしていると、創業初期の苦労や泥臭いエピソードがうかがえます。当時はどのような体制だったのでしょうか。
ヒューマンテクノロジーズ 家﨑氏: 当時は本当にお金も人もありませんでした 。大きな展示会に出展する予算もなかったので、デジジャパン様のようなパートナー企業の個展に同行させていただき、ブースの片隅でひたすら商品説明をしていました。
また、人手が足りないからこそ、営業が契約から導入・運用まで一人で抱え込む一般的な手法は不可能です。そこで、導入初期のトライアル支援から運用立ち上げまでをサポートチームが主導する体制を構築しました。
デジジャパン 小林氏: ヒューマンテクノロジーズ様の画期的だった点は、サポート部門が受電対応の「受け身」ではなく、事業を推進するプロデューサー として機能していたことです。1カ月の無料トライアル期間中、サポート担当者が自らお客様に電話をかけ、就業ルールをヒアリングして設定を一緒に組み上げていく。トライアルが終わる頃には、営業以上に顧客の運用を理解しており、そのままスムーズに本契約へ繋げていく(*1)。今で言う「サクセス型の組織」を、当時から自然発生的に実践されていました。
当時としては珍しい「訪問しないオンラインサポート」を徹底されていたのも、資金や人手不足が背景にあったのでしょうか。
ヒューマンテクノロジーズ 家﨑氏: その通りです。全国のお客様のもとへ訪問で駆けつける人手も資金もなかったため、電話や遠隔操作で手厚くサポートする手法を追求するしかなかった のです。当時は顧客や親会社から「なぜ直接訪問して説明に来ないんだ」と叱られることも多々ありましたが、「訪問しないからこそ、月額おひとり300円という低価格で高品質なシステムを提供できる」という信念がありました。
結果として、その仕組みが北は北海道から南は沖縄まで、全国の中小企業へスピーディに普及する最大の武器になりました。
(*1)電話対応は、当時のサポート内容の一つです。現在のサポートの内容はこちら。https://www.kingoftime.jp/support/
「公認のスパイ」を受け入れ、完全に自立したパートナーへ
デジジャパン様がOEMブランド『Touch On Time』を立ち上げる際、サポート品質を維持するためにどのような取り組みをされたのですか。
デジジャパン 小林氏:実は、弊社で採用したサポート担当者を、ヒューマンテクノロジーズ様のオフィスに派遣し、サポートチームの隣に座らせていただいて実際の電話対応や設定ノウハウを徹底的に学ばせてもらったんです。 いわば「公認のスパイ」を送り込んでいたようなものです(笑)。自社で採用した社員なのに、一定期間ヒューマンテクノロジーズ様に派遣して修業させていただきました。その節は本当にお世話になりました。
勤怠管理システムは、どんなに優れた機能を備えていても、顧客の就業ルールを聞き取って瞬時に設定へ落とし込める「ノウハウを持ったサポート」がいなければただの箱になってしまいます。ヒューマンテクノロジーズ様のもとでプロフェッショナルとして育った社員がデジジャパンに戻り、自立したサポートセンターを構築できたからこそ、『Touch On Time』は独自の強みを持って急増するユーザーに対応し続けることができたのです。
単なる集計ツールから管理システムへ。最後に行き着く真の差別化は「人(サポート)」
近年の働き方改革やDX推進に伴い、勤怠管理に対する企業のニーズにはどのような変化が見られますか。
デジジャパン 小林氏: 働き方改革以前、勤怠管理システムはタイムカードの集計時間を削減するための単なる「集計自動化ツール(お役立ちツール)」として買われていました。当時は中小企業へ提案すると、「正確な出退勤記録が残ると(ごまかせなくて)困る」といったモラル面での拒絶反応すらありました。
しかし、働き方改革以降はその意識が激変しました。残業時間の超過アラート、36協定の遵守、年5日の有給休暇取得の義務化など、法令遵守のための「チェック・管理システム」としてのニーズが急増しました。現在では、十数人規模の小さな会社であっても、抵抗なくクラウドシステムを導入する時代になっています。
工場や派遣業界など、現場特有の課題に対してデジジャパン様ならではの強みを発揮された事例はありますか。
デジジャパン 小林氏: 例えば、派遣元と派遣先の双方がクラウド上で残業状況をリアルタイムにチェックしたいというニーズが増えています。ただ、工場などの現場では「セキュリティ上、スマホやPCなどの情報機器を持ち込めない」という課題がありました。
そこで弊社では、独自の専用打刻端末『Touch On Timeレコーダー』を自社開発し供給しています。「クラウド型勤怠管理×専用ハードウェア×手厚い電話サポート」という3つの強みを掛け合わせることで、他社では導入が難しい現場のDX化を実現しています。
最後に、勤怠管理の導入やDXに悩む企業へのメッセージと、今後の展望をお聞かせください。
デジジャパン 小林氏: 勤怠管理のDX化で迷われている企業様があれば、自信を持ってお伝えしたいです。『KING OF TIME』、そして弊社の『Touch On Time』を選んでいただければ、価格面でも機能面でも選択を誤ることは絶対にないと思います。長年、現場でこのシステムを扱い続けてきた私が、自信を持ってお勧めします。
ヒューマンテクノロジーズ 家﨑氏: システムの機能や仕様というものは、時代とともに他社に追いつかれ、均一化していく側面があります。では、最後にどこで差別化するのかと言えば、絶対に真似できない「サポート(人)の質と知見」です。
多様な業種・規模のお客様と長年向き合ってきた経験とノウハウこそが、私たちの最大の財産です。これからもデジジャパン様という最高のパートナーとともに、システムとサポートの両輪で、働くすべての人々の現場を支え続けていきます。
カリスマの「背中」から、言葉で紡ぐ「組織」へ
まだ「クラウド」という言葉すら珍しかった時代に始まったヒューマンテクノロジーズとデジジャパンの挑戦。
お金も人手もなかった創業期の逆境は、安易な特注に逃げず製品全体の汎用性と完成度を追求する強固な開発思想を生み出し、営業・開発・サポートが対等にリスペクトし合う斬新なフラット組織を結実させた。
「訪問による対面説明に頼らずとも、電話と画面越しでどこよりも手厚くお客様に寄り添いサポートする」——お客様先に訪問するのが当たり前の時代に先駆けすぎて叱られたその手法は、今やクラウドSaaSにおける「カスタマーサクセス」の最適解として証明されている。泥臭い現場で培われた圧倒的なノウハウと熱い信頼関係がある限り、両社が紡ぐ勤怠DXの未来は、これからも多くの企業を力強く照らし続けていくはずだ。


