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2025

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    人生100年時代の新たな羅針盤。「グッドエイジャー賞」が示す、“かっこいい大人”の条件とは?

    人生100年時代の新たな羅針盤。「グッドエイジャー賞」が示す、“かっこいい大人”の条件とは?

    『今年の顔』を照らすアワード特集

    「団塊の世代」が75歳を迎え、日本は本格的な超高齢社会に突入した。しかし、かつての「リタイア世代」という言葉から連想されるイメージは、もはや過去のものとなりつつある。現代のシニア層は、これからの人生をより積極的に楽しもうという強い意思を持っている。

    そんな社会の変化に20年以上も前から注目し、「いきいき、たのしく、かっこよく。」をテーマに、魅力的な年の重ね方を実践する人々を顕彰してきたのが「グッドエイジャー賞」だ。

    主催する日本メンズファッション協会(MFU)は、この賞が単なる表彰イベントではなく、これからの日本社会を創る上での重要なメッセージを持つ社会貢献キャンペーンであると位置づけている。経済産業省も後援するこの活動は、一体何を社会に問いかけ、どのような未来を描こうとしているのだろうか。その意義と内容に迫る。

    「支えられる側」ではない。社会の“新たな核”となるシニア世代の台頭

    戦後の日本を牽引してきた「団塊の世代」。彼らが75歳を迎え、社会の高齢化がますます進む中で、主催者であるMFUは「これからの日本にとって、新しい時代を創るためには『高齢者』がもう一つの核になる」と断言する。 記事内画像 ▲「新しい時代には『高齢者』も一つの核になる」と語るMFU理事長・八木原保氏。

    その背景には、現代のシニア層が持つ意識の変化がある。ひと昔前のように社会の片隅で遠慮がちに生きるのではなく、これからの人生をよりアクティブに楽しもうとする意思が強く感じられるという。

    MFUはこうした社会の意識変化にいち早く共感し、20年以上前から「グッドエイジング」を実践する素敵な大人たちの顕彰を通じて、多くの人々への啓蒙を進めてきた。その活動は年々広がりを見せ、今後はさらに全国的な活動へと発展させることを目指している。

    なぜ今「グッドエイジング」なのか? 賞に込められた3つのメッセージ

    MFUは、「グッドエイジング」の活動を明確にするため、3つの基本テーマを定めている。それは、これからのシニア層が持つポテンシャルと、日本社会が向き合うべき課題を示唆している。

    1. 心身ともにかっこよく――市場を動かす、新たな消費の主役として

    中・高齢者は、日常的に多くのものを消費するわけではない。しかし、本当に良いと思ったものには、少々高額であっても出費を惜しまない「購買の底力のあるユーザー」だとMFUは分析する。健康や美を維持するための商品やサービス、時間、習慣へのニーズは高く、この層が市場を大きく動かす可能性を秘めているという。

    2. 自分に誇れる生き方を――「自己実現」を目指すライフスタイル

    人口の高齢化に伴い、医療費の増大は長年の社会問題となっている。しかし、会社をリタイアしたシニア層は、決して「支えられる側」になることを良しとはしない。同賞の根底には、自らの能力、技術、趣味を基盤に、生きがいと健康をテーマにした「自己実現型」の生活を送る人々をサポートしたいという考えがある。

    3. 世代を超えて助け合う心を――社会貢献への参画

    少子高齢化が進む現代において、老人介護は多くの人にとって身近な問題だ。MFUは、法整備だけでなく、人と人との交流や心のふれあいを深め、地域での仲間づくりなどを通じて生きがいを持てる活動も重要だと考えている。このキャンペーンは、シニア層が社会と繋がり、貢献していくことを促す社会貢献活動でもあるのだ。

    「かっこいい大人」の基準とは? 20年以上続くグッドエイジャー賞の横顔

    これらの理念を社会に広く伝える中核事業が、2003年から続く「グッドエイジャー賞」の発表授賞式だ。毎年、経済産業省の後援のもと、各界の著名人の中からグッドエイジングの実践者が選ばれる。

    その選考基準は、以下の3点に集約される。

    1. いい年を重ねて、独自の生き方を実践している魅力ある人間性を備えた人

    2. 時代的な話題性を備えた人

    3. いつか自分もこのようなカッコイイ大人になりたいと思わせてくれる人

    選考は、過去の受賞者やMFU会員、マスコミ各社へのアンケートなどを基準に、グッドエイジング委員会で最終決定される。単なる人気投票ではなく、その生き方や社会への影響力が多角的に評価されていることがうかがえる。

    年齢を重ねることを「老い」と捉えるのではなく、経験と成熟の証として「かっこよく」生きる。グッドエイジャー賞は、人生100年時代を迎えた私たちに、豊かで魅力的な未来の生き方を示してくれる、一つの羅針盤と言えるだろう。

     
    グッドエイジャー賞を主催するMFU理事長 八木原 保氏の半生を綴った連載記事「原石からダイヤへ」はこちら

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