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2025

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    元警察官が仕掛ける「開発革命」。AIは日本企業の“外注依存”を断ち切る救世主となるか

    元警察官が仕掛ける「開発革命」。AIは日本企業の“外注依存”を断ち切る救世主となるか

    経営者必見!日本の未来を創る、新興成長企業特集

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    元警察官が挑む開発革命。AI活用「バイブコーディング」は日本企業の"外注依存"を断ち切れるか

    システム開発の外注依存が常態化する日本企業。その構造に、AIの力で変革をもたらそうとする企業がある。元警察官チームが中核を担うという異色の経歴を持つ、LandBridge株式会社だ。同社が提唱する「バイブコーディング」は、POCやMVP開発を驚異的なスピードで実現し、企業の競争力を内部から強化するという。外注コストの削減にとどまらず、組織の自立と持続的成長を促すという新たな開発手法の可能性を探る。

    外注依存が生む脆弱性に警鐘を鳴らす

    「もう外注に頼るのは脆弱になっている」
    LandBridge株式会社の代表取締役、三森一輝氏は、業界の現状に率直な危機感を示す。システム開発の外注が当たり前となった結果、多くの日本企業がAI時代の変化のスピードに対応しきれず、競争力を失いつつあるというのだ。

    同社は、元警察官が中心となって設立された異色のIT企業。ベトナムでのオフショア開発から事業をスタートさせ、現在はAIを活用した独自の手法「バイブコーディング」で、業界に革新を起こそうとしている。
    「私たちは開発会社として外注を受ける側でもありますが、同時に企業が自立できる支援もしたい。それが本当の価値提供だと考えています」 と三森氏は語る。

    「バイブコーディング」と「AIコーチング」による内製化支援

    同社が今、最も力を注いでいるのが 「バイブコーディングとAIコーチング」 事業だ。これは、AIを活用した高速コーディング手法を企業に直接指導し、社内で開発を完結できる体制、すなわち「内製化」を構築する画期的なサービスだという。

    バイブコーディング

    バイブコーディングは、AIを駆使したコーディング手法だ。従来であれば半年を要したシステム開発が、わずか1ヶ月で完了することも可能になるという。コスト面でも、1,000万円規模だった開発が100万円程度で実現できるケースもあるなど、圧倒的なスピードとコスト削減効果をもたらすポテンシャルを秘めている。

    「バイブコーディングを使えば、POC(概念実証)やMVP(実用最小限の製品)の開発は明らかに速く、効率的です。この技術を企業内部に根付かせることで、外注に頼らない開発体制を実現できます」 (三森氏)

    その効果は、自社で証明済みだ。LandBridge株式会社のホームページは、AI未経験の社員がバイブコーディングを用いて、わずか2週間で構築したという。さらに、この手法で開発されたLPやウェブアプリをまとめたポートフォリオサイトも公開されており、その実力の一端を垣間見ることができる。

    これらの事例は、特別なスキルがなくとも短期間で実用的なシステムを構築できる可能性を示している。技術を企業内部に定着させ、外注に依存しない自立した開発体制を築く。それがバイブコーディングの目指す姿だ。

    AIコーチング

    一方、AIという強力なツールを真に活かすためには、人材育成が不可欠だ。AIコーチングでは、社内でAIを自在に扱える人材を育成すること を目的としている。AIを使いこなせるかどうかで生産性には大きな差が生まれ、その効率差は5倍以上 になることもあるという。

    同社のインターン生は、実際にAIを駆使して複数の業務を同時にこなしており、その成果がAI活用の有効性を裏付けているそうだ。

    実践的な指導内容

    コーチングでは、単なる知識の提供にとどまらない、実践的なノウハウが指導される。

    • AIを使った効率的なコード生成手法
    • プロンプトエンジニアリングの基礎と応用
    • 仕様策定から実装までの高速開発プロセス
    • 品質管理とテスト自動化の仕組み化

     
    「単なるツールの使い方ではなく、実際に社内でバイブコーディングが機能する環境を構築することが重要です。最終的には、外注ゼロでシステムを開発できる組織を目指しています」 と三森氏は力を込める。

    プロンプトマーケットプレイスという新たな挑戦

    さらに同社は、バイブコーディングのエコシステムを構築するという、次なる挑戦に着手している。現在開発中なのが、優れたプロンプトを保存・共有・販売できるプラットフォームだ。

    「優れたプロンプトは開発の生産性を飛躍的に向上させます。これを企業間で共有・売買できるマーケットプレイスを構築することで、日本全体の開発力を底上げしたい」

    このプラットフォームでは、ECサイト構築用、在庫管理システム用、顧客管理システム用など、業界や用途別に最適化されたプロンプトが流通する未来を描いているという。

    「プロンプトという新しい資産が生まれています。これを適切に流通させることで、開発のノウハウが民主化され、多くのイノベーションが生まれるはずです」

    自社プロダクト開発で実証する効果

    LandBridge自身も、バイブコーディングを駆使して複数の自社プロダクト開発を進行中だ。前述のプロンプト関連プラットフォームのほかにも、様々なSaaSサービスを驚異的なスピードで立ち上げている。

    「従来なら半年かかるようなプロダクトを、1ヶ月で完成させています。これがバイブコーディングの威力です」

    実際の開発現場では、仕様決定から実装までがリアルタイムで進行する。クライアントやチームと密に連携し、その場でシステムを構築していくため、手戻りが少なく、品質も担保できるという。

    日本と世界をつなぐ架け橋として

    「LandBridgeという社名には、『開発の世界と日本をつなぐ架け橋』という意味を込めています」 と三森氏は語る。
    ベトナムオフィスでのオフショア開発の経験と、バイブコーディングという最新技術。この二つを掛け合わせ、グローバルな視点と日本企業のニーズを深く理解した上で、最適なソリューションを提供する。

    「オフショア開発のメリットを活かしながら、同時に企業の自立も支援する。一見矛盾するようですが、これが私たちの考える真の価値提供です」

    テクノロジーの民主化がもたらす未来

    三森氏は、新しいテクノロジーの普及こそが、日本の競争力を回復させる鍵だと考えている。 「バイブコーディングのような新技術を普及させることで、誰もが簡単にシステムを作れる世の中になってきています。この流れを加速させ、多くのイノベーションを生み出したい」 特に、システム開発の内製化は中小企業にとって大きな武器となりうる。外注コストの削減だけでなく、ビジネスの変化に即応できるスピーディーな意思決定と実装が可能になるからだ。

    「大企業だけでなく、スタートアップや中小企業も、自社でシステムを作れる時代。その実現を全力で支援します」

    元警察官だからこその使命感

    元警察官という三森氏の異色の経歴は、現在の事業哲学にも色濃く反映されている。 「警察官は社会の安全を守る仕事。今は、企業のデジタル競争力を守り、強化する仕事だと思っています」

    問題解決能力、論理的思考、そして何より 「正しく価値を提供したい」 という強い使命感。それらが、LandBridgeの原動力となっているようだ。

    今後の展望

    LandBridgeは今後、バイブコーディング・コーチングの対象をさらに拡大していく方針だ。現在は中堅・中小企業が中心だが、大企業の開発部門や、地方自治体のDX推進部門への展開も計画している。

    プロンプトマーケットプレイスは2025年内のローンチを目指して開発を加速させており、将来的にはグローバル展開も視野に入れているという。

    「5年後には、日本企業の半分以上が何らかの形でバイブコーディングを活用している状態を作りたい。そして、『外注依存から自立へ』という流れを確立させたい」

    三森氏の目には、確固たる信念と情熱が宿っていた。

    システム開発の常識を覆すLandBridgeの挑戦は、日本企業のデジタル変革に「AIと共に自走する」という第三の道を提示している。

    この記事で取り上げた企業

    社名:LandBridge株式会社
    代表取締役:三森一輝
    事業内容:システム開発、バイブコーディング・コーチング、プロンプトマーケットプレイス運営
    ミッション:開発の世界と日本をつなぎ、企業の自立的なシステム開発を支援
    現在の取り組み:バイブコーディングによる内製化支援、プロンプトマーケットプレイス構築中

    この記事で紹介された企業

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