「最初の3年は頭を横に置け」——JACリクルート...
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「専門店チャネル」への集中と、現場の心を動かした独自のサポートプログラム
越村 義雄 2026/07/09
日本市場において、健康な犬猫用の「サイエンス・ダイエット」を本格的に普及させていくにあたり、私は一つの大きな戦略的決断を下しました。それは、販売ルートを動物病院、ペット専門店(ペットショップやペットサロン)、そしてブリーダーという「専門店チャネル」に完全に限定することでした。
当時、多くのメーカーは売上を追い求めてホームセンターやスーパーといった量販店への流通を競っていましたが、私たちはそうした市場には一切製品を出さない方針を貫きました。この限定戦略は、一見すると販路を狭めるリスクのように思えるかもしれません。しかし実際には、「うちのお店を指名して大切にしてくれている、このブランドを一生懸命に売ろう」という、ペット専門店側の強いモチベーションと信頼を生み出す結果につながったのです。
私たちはただ販路を絞るだけでなく、専門店の皆様の商売を心から応援するための仕組みづくりにも投資しました。その象徴が「ペットステーションプログラム」です。これは、全国の協力店舗の店頭に「サイエンス・ダイエット」のロゴが入った鮮やかな電飾看板を設置してもらう取り組みで、専門店の皆様に対しての有益なセミナーを提供するプログラムで、最終的には全国で2,200店舗にまで拡大しました。街のペットショップにとって、外資系ブランドの電飾看板が掲げられることはステータスとなり、店舗の活性化や販売意欲の大幅な向上につながりました。
さらに、獣医師の先生方へ行ったのと同様に、専門店の方々を集めた地道な、かつ有益なセミナーも全国規模で開催しました。これらは単なる製品説明会ではありません。例えば、JAL(日本航空)出身の講師を招いた本格的な接客マナー講習と、ペットフードの栄養学講習をタイアップさせた、実践的なスクール形式のセミナーです。これまでにない最先端の学びの機会は、全国のショップやサロンのオーナー、スタッフの方々に非常に喜ばれました。
一方で、動物病院さんに対しては「AHT(アニマル・ヘルス・テクニシャン/現在の動物衛生看護師)・奥様セミナー」を展開しました。当時は、獣医師の先生と奥様が二人三脚で事務を切り盛りしているような個人病院も多かったため、「AHT・奥様セミナー」と称して企画したのです。それまで病院のスタッフや先生の奥様が、外に出て体系的な知識を学んだり、ホテルの交流会で美味しい食事を囲んで他の参加者と意見交換をしたりする機会はほとんどありませんでした。この取り組みは、総代理店をお引き受けいただいた元大日本製薬株式会社の動薬部の皆様と共に実施いたしました。非常に好評を博し、長年にわたって私たちの強固な基盤を支えてくれました。
こうしたプログラムは、アメリカの本社でもやっていない、私たちが日本で独自に考え出したものでした。私は昔から、人がやっていない新しい仕組みを企画することが何よりも好きな人間です。どうすれば現場の人々が本当に喜んでくれるか、その視点に立って徹底的に知恵を絞り、愚直に実行に移していきました。


