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2025

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    「不具合の洗い出し」をするシステムテストはもう古い?「検証」から「品質設計」の時代へ──テスト自動化×DevOpsがもたらすQCD革命

    「不具合の洗い出し」をするシステムテストはもう古い?「検証」から「品質設計」の時代へ──テスト自動化×DevOpsがもたらすQCD革命

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    システム開発の現場において、「システムのテスト=不具合の洗い出し」であると考える人は、多いかもしれません。 しかし今、この常識を変えようとしているチームがあります。 独立系システムインテグレーター、デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社(以下DIT)は、業界でもいち早く、システムのテストを単なる「検証」から一歩先の“品質設計”と捉え、大きく方向転換をしています。本稿では同社の開発テスト部門、クオリティエンジニアリングカンパニー(QE)に迫り、自社システム刷新・自社サービス開発時の“品質改革”最前線をレポートします。 ぜひ、開発現場のヒントとしてご活用ください。 記事内画像

    QCDを変える、“品質設計”プロフェッショナル:QE

    同社の検証業務を担う部門『クオリティエンジニアリングカンパニー(QE)』は、カーナビシステムやドラレコなどの車載機器、電子レンジや冷蔵庫などの家電製品といった組込み機器からWebやモバイルアプリまで、多彩なシステムのテスト・検証を担うスペシャリスト集団。しかし彼らの真骨頂は、「正しく動けばOK」という“検証”作業にとどまりません。 QEが目指しているのは、 「品質(クオリティ)を設計(エンジニアリング)する」 というアプローチ。 かつて、テストは開発工程の最後に“正常に動くかどうか”をチェックするだけの後工程でした。そのため不具合の発見によって、手戻りやコストの増大、納期遅延が起こるのは珍しくありません。 また、お客様の声が開発中のシステムに十分反映されていない、という悩みもつきまとうことが常でした。

    そこで今、QEが重視するのは「どのように開発の早期段階から品質を“つくり込む”か」ということです。 たとえば、テストケースを設計する上流工程から「なぜこのシステムが必要なのか」「どんな使われ方をするのか」「ユーザー目線で本当に使いやすいのか」まで徹底して見据えます。“検証=問題を後から見つける”の発想を、 「問題を起きにくい設計」 へ転換するのです。

    この考え方は、

    • 不具合の早期発見・予防
    • 開発の手戻り削減
    • 納期短縮・コストダウン

     
    といったQCD(品質・コスト・納期)向上に直結し、顧客満足度にも良い影響をもたらしています。

    高品質を、"スピード"と"確実性"で届ける

    「製品に不具合があれば、ビジネスの信頼は一瞬で失われる──」

    この厳しい現実とどう向き合うか。企業が生き残るためには、ミスなく、速く、効率よく“品質保証”を実現することが至上命題です。

    QEは、

    • RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
    • AIを駆使したテスト自動化
    • 開発から運用までのプロセスの最適化

     
    など最新技術とノウハウを融合し、検証業務のスピードと正確性を飛躍的に高めてきました。 これにより「品質を損なわずに、納期を大幅短縮できる」という圧倒的な競争力を実現しています。

    さらに、ソフトウェア開発と運用を“組織の壁”を越えて連携させる「DevOps(デブオプス)」(Development+Operations)の思想を導入。 この中核にあるのが

    • CI/CD(継続的インテグレーション/デリバリー)

    と呼ばれる仕組みです。 これは、ソースコードに変更があるたび自動テストを走らせる仕組みで、不具合の早期検知&再発防止に役立っています。

    何よりも、こうした仕組みを動かすのが“人”であり、最も大切であると同社は語ります。 QEでは、全社員に国際資格「JSTQB認定テスト技術者資格」の取得を推奨しており、新卒社員も早い段階から研修や勉強会で、実践に役立つ知識を身につけています。 IT技術が日々進化する中、継続的なスキルアップとノウハウ共有で強固なチーム力を磨いていることが、こうした最先端の仕組みを支える礎となっているのがうかがえます。

    テスト自動化×RPAが実現した、圧倒的な短納期化

    記事内画像

    ここで、実際の製造業向けRPA活用事例をご紹介します。

    組込み機器製品のテスト工程を“人手”から“自動化”へ

    まず、製品ごとにシステム構成や細かな仕様を丁寧に分析。 過去の蓄積ノウハウを活かして最適なテスト自動化シナリオ(ワークフロー)を設計、RPAによる自動制御と自動判定を組み合わせました。 その“成果”は想像を超えています。

    • 検証作業のスピードアップ正確性向上
    • テストシナリオを「サブルーチン化」(ひとまとまりに)して効率的にメンテナンス
    • 次世代機種への展開もスムーズに

     
    結果、テストシナリオ作成の工数が 約280人日 → 約131人日へと、実に半分以下に短縮されました。 記事内画像 (図:テスト自動化のシステム構成図 )

    未来を見据えた“やさしいソフトウェア”の追求──人・社会・世界へ

    DITは「進歩を続けるデジタル社会(変化)をITの力(対応力)で支え、人々の生活を豊かに」という企業パーパスを掲げています。

    QEもその思いを引き継ぎ、
    「優しいソフトウェアを人へ、社会へ、未来へ」
    をビジョンに据え、“誰でも使いやすく・わかりやすい・安心安全な”ソフトウェアこそ、「未来社会への貢献」と考え、活動しているのです。QEは、品質を後からチェックするのではなく、開発の初期段階(上流工程)から品質を作り込むことを重要視しています。 AIなどの最先端技術を活用したテスト自動化導入も積極的に進めており、技術革新に伴う開発プロセスの変革に対応できる体制を構築。さらに、北米拠点DITA(DIT America, LLC.)と連携し、日本品質「Japan Quality」を全世界に広め、グローバルに展開する構想を描いています。

    会社概要

    業務系・組込み開発を安定基盤とする独立系IT企業で14期連続増収増益を達成。
    Web改ざんを瞬間検知・瞬間復旧するセキュリティ商品 WebARGUS「ウェブアルゴス」や、働き方改革を支援する業務自動化プラットフォーム商品 xoBlos「ゾブロス」といった独自商品で更なる成長を図る。

    社名:デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社
    上場市場:東証プライム(証券コード 3916)
    本社所在地:東京都中央区八丁堀 4-5-4 FORECAST桜橋5階
    代表者:代表取締役社長 市川 聡
    設立:2002年1月4日
    資本金:4億5千3百万円(2024年6月末時点)
    売上:198億8千万円(2024年6月期)
    URLhttps://www.ditgroup.jp/
    事業内容:ソフトウェア開発事業

    お問い合わせ先

    デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社
    担当者:IR部 榎本
    TEL:03-6311-6520
    E-mail:ir_info@ditgroup.jp

    「検証」の発想から、「設計」で品質をつくる時代へ──。
    あなたの現場を変えるヒントが、ここにあります。

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