
アルフレッド・マーシャルが切り拓いた科学的な経済...
9/1(月)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/08/26
景気が悪くなったとき、コストカットや新規事業開発、人材再配置など、さまざまな打ち手を考えることでしょう。このような「経済の流れを自分たちで変える」発想の考え方が、ジョン・メイナード・ケインズの経済学にあります。
「不況はじっと待っていれば解決する」──そのような古典派経済学の考え方が支配的だった時代に、ケインズは「それでは多くの人が犠牲になる」と真っ向から異を唱え、政府の介入の必要性を訴えました。
本記事では、ケインズがどのような人物だったのか、彼の経済思想がビジネスマンにどのようなヒントをもたらすのかを、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
ジョン・メイナード・ケインズは、1883年生まれのイギリスの経済学者です。彼が活躍した時代は、第一次世界大戦、1929年の世界恐慌、そして第二次世界大戦と、経済も社会も大きく揺れ動いた激動の時代でした。
1929年の世界恐慌は、失業者が街にあふれ、企業が次々に倒産し、社会全体が沈んでいく未曽有の危機でした。
それまでの「市場は自動的に均衡する」という信念は音を立てて崩れました。
この時代、ケインズが書き上げたのが『雇用、利子および貨幣の一般理論』。
この一冊が、経済学だけでなく、政府の政策、そして現代のビジネスの考え方にまで、革命的なインパクトを与えたのです。
ケインズが重視したのは「有効需要」という考え方です。
これは、「頭の中で欲しいと思っているだけでは経済は動かない。実際にお金を使って、初めて需要になる」というものです。
例えば、新しいビジネスバッグが欲しいと思っても、実際に購入しなければ、鞄メーカーの売上にはつながりません。
ケインズは、「政府の財政支出の派生効果により、何倍もの需要を生んで、有効需要を押し上げる」と説きました。これを「乗数効果」といいます。
例えば、政府が新しい道路を建設すると、工事会社や資材メーカーが潤い、彼らの従業員がさらに消費を増やす。それがまた別の会社の売上や雇用につながる──まさに経済のドミノ倒しのような現象です。
ケインズは、「現金を手元に置いておきたい」という心理(=流動性選好)が強まると、お金の流れが滞り、経済が冷え込むと指摘しました。現金を持とうとするのは、現金はすぐにものを購入することができ、このすぐに交換できる性質を流動性と言います。
金利が低ければ投資に回るお金が増え、経済が刺激され、逆に金利が高いと貯蓄が増え、経済は滞ります。
新商品や新サービスを開発するとき、「消費者が欲しがっているか」だけでなく、「どうすれば実際にお金を使ってもらえるか」を考えることが重要です。
一つの投資がどれだけ事業全体に波及するか──これを考えることは、まさに乗数効果そのものです。
ビジネスの意思決定でも、現金を溜め込んでしまい挑戦を先送りにしていませんか? 「流動性選好」が高まりすぎるとチャンスを逃します。
ケインズは、乗数効果を提唱しましたが、使い道によっては期待したほどの効果が得られない場合もあります。
例えば、受け取った資金がすぐに消費に回らず、貯蓄されてしまうと、経済全体への波及効果は限定的です。
ビジネスにおいても、設備投資や人材採用に踏み切ったものの、現場で活用されなければ、ただのコスト増に終わってしまいます。
ケインズ理論は、「国は景気が回復したら借金(債務)を返済する」という合理的な行動を前提にしていました。
しかし、現実には景気が回復しても、急に公共投資をやめたり増税したりしても反発を招きかねず、国は借金の返済ができませんでした。
企業においても、一度増やした固定費や人員を、状況が変わったら柔軟に見直す──この引き際の判断力が求められます。
ケインズの理論を意識することで、あなたの会社やキャリアも一歩先へ進めるはずです。
ケインズの教えを現代の経営や仕事に活かし、未来を自らの手で切り開きましょう。