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2026

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    年賀状は本当に終わるのか――発行部数6分の1時代に進む、年始コミュニケーションの再定義

    年賀状は本当に終わるのか――発行部数6分の1時代に進む、年始コミュニケーションの再定義

     「今年こそ、年賀状は出さなくてもいいかもしれない」
    そう感じたことがある人は、もはや少数派ではありません。

     スマートフォン一つで年始のあいさつが完結する現在、年賀状は急速に存在感を失っています。実際、数字を見ればその変化は明確です。一方で、文面の変化や企業の判断、日本郵便の新たな取り組みを追っていくと、年賀状は単に衰退しているのではなく、役割を変えながら再編されている文化であることが見えてきます。

     本記事では、年賀状の発行部数や企業の動向といった最新データをもとに、年賀状文化がいまどのように変化し、どこへ向かおうとしているのかを読み解きます。

    発行部数はピーク時の6分の1まで減少している

     年賀状の現状を最も端的に示すのが、発行(販売)枚数の推移です。

     日本郵便の発表によると、年賀はがきの発行枚数は2003年に約44億6000万枚とピークを迎えました。その後は減少が続き、2025年用は約10億8000万枚まで落ち込んでいます。

     さらに2026年用については、約7億5000万枚程度まで減少する見通しが示されており、前年からも約3割減、ピーク時のおよそ6分の1に相当します(日本郵便公表)。

     ここまで数字が縮小した背景は単純ではありませんが、要因は以下のようなことが挙げられています。

    • SNSやメッセージアプリによる年始あいさつが定着したこと
    • 人間関係の簡素化が進み、義務的な慣習への違和感が強まったこと
    • 2024年に郵便料金が63円から85円へ値上げされたこと
       

     このような背景から、年賀状は「出すのが当たり前」の存在ではなくなりました。

    企業の「年賀状じまい」は多数派に

     年賀状離れは、個人よりも企業間で顕著に出ています。

     東京商工リサーチの調査によると、「年賀状を送らない」と回答した企業は全体の約63%にのぼりました。一方で、「送る」と答えた企業は約36%にとどまっています(東京商工リサーチ調査、主要ビジネスメディア各社が報道)。

     注目すべきなのは、「これまで送っていたが、今年からやめた」とする企業が少なくない点です。理由として挙げられるのは、コスト削減や業務効率化だけではありません。環境配慮や、形式的慣習を見直す企業姿勢の表明として「年賀状じまい」を選ぶケースも増えています。

     企業にとって年賀状は、やるか、やらないかではなく、なぜやるのかを説明できるかが問われる存在に変わりました。

    年賀状に書かれる「ある一言」が示す日本的な配慮

     年賀状の減少と並行して、文面にもはっきりとした変化が見られます。

     近年、多くの年賀状に書かれるようになったのが、いわゆる「年賀状じまい」の一文です。

     「勝手ながら、本年をもちまして年賀状でのご挨拶を控えさせていただきます」

     この一言は、単なる終了宣言ではありません。ある日本のニュース番組では、この表現について、関係を断つためではなく、失礼にならない形で関係を整理する日本独特の配慮が表れていると伝えています。

     実際には、多くの場合、「今後は別の形でご挨拶できれば幸いです」といった一文が続きます。

     年賀状じまいは、関係を切るための行為ではなく、関係性の形を整え直すための儀式として機能しています。

    AIで年賀状を作る時代へ――日本郵便もその動きを後押し

     一方で、日本郵便は年賀状文化を単に縮小させるのではなく、新しい技術と結びつけることで再定義しようとしています。

     2025年、日本郵便は生成AIを活用した年賀状作成の取り組みを開始しました。報道によると、画像生成AIを使い以下のような仕組みが導入されています。

    • 写真をイラスト調・浮世絵風に変換する
    • 干支モチーフのデザインを自動生成する
    • デザインの知識がなくても個性的な年賀状を作れる
       

     これは単なる利便性向上ではありません。「自分では作れないからやめる」層を引き戻すための環境整備と言えます。

     日本郵便がこの分野に関与している点は象徴的です。年賀状を守るのではなく、作り方そのものを更新する方向へ舵を切ったと見ることができます。

    年賀状の今後――3Dフィギュアとの融合

     では、年賀状は今後どのような形に進化していくのでしょうか。

     一つの可能性として注目されているのが、立体表現との融合です。写真をもとに人物やペットを3Dデータ化し、フィギュアとして残すサービスはすでに一般化しつつあります。

     この技術を年賀状と組み合わせれば、

    • QRコードを読み取ると立体映像が表示される
    • 家族や子どもの成長を“立体の年始あいさつ”として届ける
    • 紙とデジタルが連動する体験型年賀状になる
       

     といった使い方も十分に現実的です。

     AR(拡張現実)や動画埋め込みはすでに実用段階にあり、年賀状が「紙一枚のあいさつ」から体験型メディアへと進化する余地は大きいと言えます。

    まとめ――年賀状は「減った」のではなく、「選ばれるもの」になった

     年賀状の発行部数は、ピーク時の6分の1まで減少しました。企業の6割以上が年賀状を送らない選択をしています。

     しかし、これらの数字は年賀状の終焉を示しているわけではありません。

     年賀状は現在、「出すべきもの」から「出したい相手に、意味を込めて送るもの」へと変化しています。

     AIやデジタル技術の導入によって、表現の幅はむしろ広がっています。
    年賀状は完全に終わる文化ではありません。
    人との距離感を丁寧に調整する、日本的コミュニケーションを再設計する試みが、いま静かに進んでいるのです。

     あなた自身は、年賀状を「出す」「出さない」ではなく、どんな形で気持ちを伝えたいでしょうか。

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