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2025

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    「自立」と「自律」の心で、新しい空間を創造する

    「自立」と「自律」の心で、新しい空間を創造する

     2022年、ある賃貸マンションのユニークな企画が話題を呼んだ。本棚が隠し扉となっており、棚の裏に隠された部屋の名は「裏アカ部屋」。これを仕掛けた伊藤忠系の総合不動産デベロッパー・伊藤忠都市開発は、オリジナリティに富んだ商品企画を次々と発表している。それは担当者の自由な提案を重んじ、若者にも裁量権を与える社風のなせる業。そのトップである松典男社長に、社員が一つのポジションでプロジェクトを自己完結できる組織作りの秘訣を聞いた。

    総合商社のDNAから受け継がれた強みとは

    貴社の概要をご紹介ください。

     伊藤忠都市開発は、伊藤忠グループの住宅開発を継承した総合不動産デベロッパーとして、幅広い分野で不動産開発事業を展開しています。「CREVIA(クレヴィア)」シリーズの分譲マンションをはじめ、賃貸マンション、学生ドミトリー、物流施設、オフィスビル、ホテル開発など、多岐にわたるプロジェクトを手掛けています。さらに、体験型エンターテインメント事業への参画を通じて、グループシナジーを発揮し、事業領域の拡大を目指しています。

    伊藤忠グループの住宅開発を継承したデベロッパーとのことですが、総合商社から受け継がれた伊藤忠都市開発ならではの特長や強みとはどういうところにあるとお考えでしょうか。

     当社の特長は、資金調達から不動産を完成して売却するまでのプロセスを自己完結する体制のもと、時代に合わせて行動や考えを柔軟に変え、創造性のある商品開発ができることです。プロジェクトを自己完結するということについては、総合商社の伊藤忠商事から引き継いだ強みでもあります。総合商社は自らの手でものをつくるわけではありませんが、創業以来160年以上にわたって培ってきた情報収集力や発想力、そしてプロフェッショナルとのコラボレーション力を活かし、事業を行っています。伊藤忠商事のDNAを持つ当社は、お客様の視点に立った新しい「価値」の創造とそれを最良の形で提供する「品質」に徹底してこだわってきました。
     発想力や異業種企業とのコラボレーションなどは、商社系デベロッパーである伊藤忠都市開発のものづくりにも受け継がれています。入居者のみなさまがいつまでも快適な暮らしを享受できる住まいに、ワーカーが気持ちよく仕事ができる環境を提供するオフィスビル、テナントの利益を追求した施設など、「誰が使うか」を常に想定したものづくりで、ハコモノありきではない「価値」の創造を図っています。2005年~2024年に、37件ものグッドデザイン賞を受賞できたことは、そうした思想で開発した物件や商品企画が評価されたものと考えております。

    唯一無二のアイディア商品を次々創造する、社員たちの「自立」と「自律」の心

    貴社の商品展開は時代の変化に敏感で、またユニークでアイディアに富んでいます。そういったものを組織として生み出すことができる秘訣は、どこにありますか。

     社会の変化を先取りし、お客様の視点に立ったものづくりを追求する中で私たちが重視しているのは、社員一人ひとりが「自立」と「自律」の心を持った存在として活躍することです。私たちは社員に大きな裁量権を与え、プロジェクトを自己完結できる環境を整えています。
     プロジェクトの担当者には当然のことサポートするメンバーも置きますし、会社としてフォローもします。しかし基本的に、ターゲット選定・コンセプト決定から引き渡しまでの事業全体の一連の企画・開発業務は分業することなく、担当者自らが旗を振ってプロジェクトを推進してもらいます。家事の効率化や収納力向上を高め今の時代に合った理想の洗面空間として提案させていただいた「MOTリネン」や、本棚の裏に設けた隠し扉を開けると隠し部屋「裏アカ部屋」が現れる住戸など、お客さまに好評でメディアの方々からも大きな反響をいただいたユニークな企画があります。「裏アカ部屋」を初めて見た時にはさすがに私もびっくりしましたが、それらはすべて担当者の自由な発想と提案から生まれました。「One Project, One challenge」という考えのもと、社員一人一人の想いやアイディアを商品に込めることにより、他には真似できない唯一無二の価値を創造していくことができるのです。
     私自身、根幹の経営コンセプトとして「基本的には自立した会社であるべきだ」という理念を置いています。社員の皆さんには自分たちで自分のことを考えて、自分を律して定めた目標に向かって頑張っていただく。そして私は、一人一人が活躍できるために必要なことを整備する。そうしたら会社は自然と良いものになる、というポリシーを私は抱いています。

    若い社員にも早い段階から裁量権を与える社風

    貴社が求める人材について、松社長はどのようにお考えでしょうか。

     私たちは採用においても、「自立」と「自律」の心を持った人材であるかどうかを重視しています。社員には早い段階から裁量権を与えて一つのポジションで自己完結できる環境を提供し、新たな商品分野の開拓などにチャレンジしてもらうのが私たちの仕事のやり方だからです。若い頃からたくさんの分野に携わってもらい、いろんな視点で物事を捉える力を養うことを目指しています。そのような気風が、入社1年目から自身のステップアップを望み、主体的に力を発揮できる環境かどうかを社員の雰囲気も含めて注視する今の若い人たちには魅力だと感じてもらえているようです。このような特徴は大手デベロッパーにはあまりないという理由で、当社を選んでくれた学生や求職者もこれまで多くいました。
     最終面接では直接私が会いますが、その前の段階ではプロジェクトの担当者がリクルーターとして面談に立つこともあります。彼らには情熱を込めて、自分が取り組んだ個性的なプロジェクトの話や、仕事の楽しさ、面白さなどを学生に伝えてもらっています。今後も社員の自律性を尊重する環境に魅力を感じ、自らの力を発揮して成長していくことを望む若い人たちに加わってほしいと考えています。

    最後に、改めて貴社の理念について伺えればと思います。

     伊藤忠都市開発は「時代の声に、道をつくる。」という企業理念を掲げ、お客さまの声を聞き、これまでになかった価値の創造を目指します。そのために当社が重視するのは、「自らが主役になる」という強い意志のもと、お客さまの視点に立って柔軟に発想をする社員の「自立」と「自律」を尊重することです。この信念こそが私たちの事業の基盤であり、社会の大きな変化の先を見据えたものづくりへ導くと、私たちは考えています。

    #伊藤忠都市開発#社長インタビュー#伊藤忠グループ#不動産デベロッパー#CREVIA

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