
手づくり業界トップランナーの成り立ちに迫る——ジャパンクラフトHDの挑戦
ビジョナリー編集部 2025/04/09
5/10(土)
2025年
ビジョナリー編集部 2025/05/07
商業施設に入った瞬間に感じるワクワク感や、博物館の展示空間に足を踏み入れたときの感動。
施設や空間には、単なる機能としての存在に留まらず、「体験型メディア」として人の心を動かす力がある。
そうした空間づくりを70年以上にわたり手掛けるのが、総合ディスプレイ企業「丹青社」である。同社は「空間を通じてお客さま・社会の課題を解決する」ことをミッションとし、長きにわたり培ってきた企画力・デザイン力、高い演出技術とノウハウなどを活かして数多くの空間をプロデュースしている。
2025年3月、1月期の連結純利益が過去最高を記録したと発表された。関西・大阪万博関連のプロジェクトも追い風となっている。常に斬新でクリエイティブな空間づくりを発信してきた同社は、いかにして空間のもつ可能性を最大限引き出してきたのだろうか。
丹青社が手掛けるプロジェクトは年間6,000件以上。複合商業施設や国立博物館といった大型施設から、多店舗展開する専門店まで多岐にわたる。
数多くのプロジェクトの裏側で、常にクライアントが抱える課題や想いを捉えることを第一とし、事業を成立させるだけでなく環境への配慮やコンプライアンス遵守、安全・品質・コスト設計、そしてデザインに至るまで、クライアントに寄り添いトータルサポートしている。
グループ全体の社員数は約1,500人。そのうち289人のデザイナーとプランナー、531名の制作職をはじめ、各分野のプロフェッショナルが連携することで、洗練されたデザインと完成度の高い空間づくりを実現している。
※数字は2025年1月末時点
丹青社は、2046年の創業100周年に向けて新たな旗を掲げた。題して
「私たちの未来ビジョン2046」
このビジョン策定のために集まったのは、将来を担う若手社員を中心としたプロジェクトチーム。2022年から社内外のさまざまな年代・職種・ステークホルダーの声を幅広く取り入れて議論を重ね、策定に至った。
丹青社が目指し続ける「空間づくり」の本質。それは、
「まだこの世界に存在しないものをかたちにし、『こころ動く体験』を創造すること」。
よろこび、おどろき、安心、感動。そこに集う人々の生活や人生を、豊かなこころの動きで彩るために。そして、社会を「丹(あか)と青」の豊かな色で鮮やかに彩るために。多様な個性を活かした「こころを動かす空間づくり」を目指し、挑戦の歩みを止めることはない。
そもそも「丹青」とは、中国に由来する言葉で、赤(丹)と青という基本色を示し、「豊かな色彩」「芸術的創造」を意味する。創業者の故・渡辺正治氏は、中国・唐代の詩人杜甫の七言古詩の一節、
「丹青知らず、老いのまさに至らんとするを。富貴は我において浮雲のごとし」
(絵画制作に没頭して老いることすら忘れ、名誉や富に執着しない境地の意)
この表現を愛してやまなかったという。 この由来から、同社の企業ロゴには、理性や知性を象徴する青と、情熱と創造性を象徴する赤という二色が表現されている。
また、「丹青」には「丹精を込める」ことにも通じているという。一つ一つのプロジェクトにかける熱意、丁寧な仕事、独創性へのこだわり―。こうした社名の持つ意味合いを、社員一人ひとりが自覚し、挑戦を続けていってほしい。そのような創業者の想いが、同社の社名とロゴに込められているのだ。
※数字は2025年1月末時点