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2025

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    “ミドリムシクッキー”で子どもを笑顔に——「ユーグレナGENKIプログラム」の挑戦

    “ミドリムシクッキー”で子どもを笑顔に——「ユーグレナGENKIプログラム」の挑戦

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    ユーグレナがもたらす“サステナビリティ”への挑戦

    微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の研究・開発を通じて、健康食品や化粧品、バイオ燃料、アグリテックなどの分野で事業を展開する株式会社ユーグレナ。彼らが掲げる「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」という理念は、単なる企業スローガンにとどまらない。目指す先にあるのは、持続可能な社会の実現だ。その象徴的な取り組みが、バングラデシュの子どもたちの栄養改善を目指して続けてきた「ユーグレナGENKIプログラム」である。

    「創業の原点」はバングラデシュに

    ユーグレナGENKIプログラムの発端には、ユーグレナ社の創業者・出雲充氏の学生時代の原体験があったとされる。出雲氏が初めてバングラデシュを訪れた際、栄養不足に苦しむ子どもたちの姿を目の当たりにし、「なんとかしたい」との強い想いが芽生えたことが、事業構想の原点となったそうだ。

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    「バングラデシュの子どもたちに栄養を届ける」——そう固く決意した出雲氏が注目したのは、当時東京大学で研究されていた微細藻類「ユーグレナ」だった。栄養価の高さに可能性を感じた出雲氏は、培養技術を研究しながら2005年に株式会社ユーグレナを創業。その後、事業と支援を両立させる仕組みの構築に取り組み、2014年には「ユーグレナGENKIプログラム」をスタートさせた。

    日用品が海を越え「クッキー」という栄養になる仕組みとは?

    では一体、「ユーグレナGENKIプログラム」とはどんな支援活動なのか。実は非常にユニークな仕組みが導入されている。

    それは、日本国内で私たち消費者がごく普通に購入する日用品や食品、化粧品、一枚のクレジットカードなどが、バングラデシュの子どもたちの栄養支援に直結する仕掛けなのだ。対象製品の売上の一部が協賛金や寄付金となり、現地の工場で「ユーグレナ入りクッキー」という栄養豊富な食品を製造。栄養が特に不足している地域の学校などに無償で届けられる仕組みである。

    2025年3月時点で、提供されたクッキーは累計約2,000万食以上に達した。現地でクッキーを製造することで、雇用も生まれ、支援の持続可能性がさらに高まっているという。

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    具体的に、日本にいる私たちが参加できる方法は次の通りだ。

    • プログラム対象製品の購入
      ユーグレナ社およびユーグレナ・グループ各社の全商品(食品・化粧品など)やパートナー企業の指定商品を購入すると、その売上の一部が協賛金としてプログラムに充てられる。
      プログラム詳細はこちら

    • 法人向け寄付プログラム「GENKI-YELL(エール)」
      企業のCSRや福利厚生の一環として、寄付を通じた支援参加が可能。導入企業も徐々に増えているという。
      GENKI-YELLについてはこちら

    • クレジットカード「ユーグレナカード」
      エポスカードと提携した「ユーグレナカード」は、日常の買い物でのカード利用額に応じて支援金が寄付される仕組み。入会時にも一定額が寄付されるようになっている。
      ユーグレナカードについてはこちら

    一歩踏み込んだ「質」の追求を目指して

    また同社では、この活動が実際に子どもたちの健康にどれだけ貢献しているか、効果検証にも取り組んでおり、近日中にも発表予定だ。単純に「届ける」だけで終わらせず、「栄養状態がどのように改善したのか」という支援の成果を定量的に把握することで、さらに効果的な栄養支援の設計につながることが期待されている。支援の「量」だけでなく「質」にも目を向け、より持続可能な支援モデルの構築を模索している姿勢がうかがえる。

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    世界とのつながりを日常に——10年続く支援の歩みと可能性

    今年で10周年を迎えたユーグレナGENKIプログラムは、遠く離れた国の子どもたちと日本の“日常”をつなぐ活動として、数多くのステークホルダーが関わり、今も支援の輪を広げつつある。

    プログラム対象製品を選ぶこと、法人として支援に参加すること、日々の買い物で使うカードを選ぶこと——どんな小さな行動も、バングラデシュの子どもたちの健康に確かにつながっていく。

    社会課題の解決は、日々の小さな選択から。
    ユーグレナ社の挑戦は、これからも続いていく。

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