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10/14(水)

2026年

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    私たちは「お客様によって生かされている」 ——中層定置網の革命と世界へ届ける自立の哲学

    私たちは「お客様によって生かされている」 ——中層定置網の革命と世界へ届ける自立の哲学

     「持続可能な水産資源の保護」や「地球環境の保全」といった言葉が外食産業やニュースで叫ばれるずっと前から、私は現場で自ら考え、行動し続けてきました。どうすれば魚を根絶やしにすることなく、最高の活魚としてお客様に届けられるのか。その答えは、海の生態系に寄り添う「持続可能な漁法」を自ら考案し、世界へ広めていくことにありました。

     従来の底引き網やトロール漁法は、海の底を這うように網を引くため、海底の生態系を根こそぎ破壊し、不要な魚まで全滅させて死なせてしまう大きな問題を抱えています。また、通常の定置網も網に入ったあらゆる魚を逃さず捕獲してしまうため、調整がきかず乱獲につながりかねません。

     そこで私たちが着目し、世界へ指導しているのが「中層定置(ちゅうそうていち)」という画期的な漁法です。

     海を平面的に捉えるのではなく、50メートルある水深を立体的に「3次元」として活用します。海底から10~20メートルの「中間層」だけに網を設置することで、その特定の水深を回遊してくる狙いの魚だけが網に入り、上層を泳ぐカジキやイカ、下層の生き物たちは傷つくことなく自由に逃げていくことができる仕組みです。

     アナゴを捕る際も同様です。底引きで全滅させるのではなく、50メートル、150メートルと層を分けて捕獲すれば、永続的に資源を守りながら捕り続けることができます。特定の層ばかり捕り続けると、その水深で産卵する魚がいなくなってしまうため、環境と魚の生態系に合わせた管理が不可欠なのです。

     さらに、この網に入った魚は生きたまま安全に保持されます。生簀(いけす)へ移して1週間から1カ月ほど根気強く餌を与えて活かすことで、死んだ状態で水揚げされた魚に比べ、市場での価値は3倍、5倍、ときには10倍にも跳ね上がります。死んだ魚を投げるのではなく、活魚として付加価値を高めて届ける。現在、インド政府や大使館からの要請を受け、現地の大臣や関係者とともに、この中層定置の技術や農業・漁業の双方にわたる物流の仕組みを根本から伝授しています。

     しかし、どれほど素晴らしい技術やイノベーションであっても、その根底に「何のためにそれを行うのか」という人間の精神がなければ意味を成しません。

     以前も述べましたが、私が面接や店舗の現場でスタッフに「君は何のためにうちで働くのか」と問うと、多くの若者は「生活費を稼ぐため」「老後のため」「舞台に出るため」と答えます。そこで私は「じゃあ、君は何のために学校へ行き、絵や演劇を勉強しているんだい? 人に認められ、必要とされたいからだろう?」と問いを重ねていきます。

     あの画家の山下清だって、自由に旅をして放浪しながらも、描いた絵が人に認められ、評価されることが本当は嬉しかったはずです。人から必要とされ、認められることこそが、人間が生きる本質的な喜びなのです。

     それなのに、「始業から終業まで店にいさえすれば給料がもらえる」「もらえなかったら労働基準監督署へ行く」というような、表面的な権利ばかりを主張する冷めた労働観では、本当の幸せなど得られるはずがありません。厚生労働省や行政も、地に足のついた指導を怠り、形ばかりの枠組みにとらわれているからこそ、日本の働く現場や若い世代が迷走してしまうのです。

     「お客様のために」と無理に格好をつける必要はありません。私自身、毎朝早く起きて市場に行き、極上のネタを仕入れるのは、行列を作って「美味しい!」と笑顔で食べてくださるお客様の姿を見るのが何より嬉しいからです。お客様が喜んでくださるからもっと早く店を開けたくなり、それが高じて「日本初の24時間営業」へと繋がっていきました。

     お客様の喜びが私たちの活力となり、エネルギーとなって命を吹き込んでくれる。つまり、私たちは「お客様によって生かされている」のであり、誰かを喜ばせる努力を重ねることは、巡り巡って「自分自身が幸せになるため」にほかなりません。

     自分が幸せになるために目の前の人を全力で喜ばせ、感謝されて生きる喜びを実感する——。このシンプルな原理と労働の喜びを、日本の若い世代や世界の人々が共有できたなら、不必要な対立や争いは消え去り、自ずと世界平和が作られていくはずです。食を通じて命の尊さを教え、技術を分かち合い、働く喜びを循環させていく。これからも私は、世界中の海と人々に向き合いながら、希望に満ちた未来への挑戦を続けてまいります。

    #木村清#すしざんまい#水産業#持続可能な漁業#水産資源#中層定置#環境保全#サステナビリティ#イノベーション#経営哲学

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