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摂取カロリーを自動測定するウェアラブル端末。シャープが挑んだ“執念のデバイス”
シャープ株式会社 2026/10/26
家電メーカー大手のシャープが、満を持してウェアラブル市場へと参入した。同社初となるスマートウォッチ「からだメイト Watch」とスマートリング「からだメイト Ring」、そしてこれらと連携するヘルスケアアプリ「からだメイト」を同時リリース。熾烈なシェア争いが繰り広げられるこのカテゴリーにおいて、シャープはいかにして独自性を打ち出そうとしているのか。企画開発チームの3名に、その戦略と開発の裏側を聞いた。
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■プロジェクトのキーマンたち
左から
<ヘルスケアアプリ担当>
通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 片野氏
<スマートリング担当>
同部 岡田氏
<スマートウォッチ担当 兼 ウェアラブル全体管理>
同部 課長 田中氏
「食」の可視化こそが、ウェアラブルの新たな価値になる
後発としての参入にあたり、シャープが打ち出した最大の特徴は「摂取カロリーの自動測定」だ。スマートウォッチ「からだメイト Watch」は、食事による摂取カロリーと日々の活動での消費カロリーのバランスを可視化。時計を見る動作でバイタルデータや各種情報を確認できる独自UI「サーキットビュー」を搭載している。さらに、睡眠状態、体内の水分バランス、心拍数、血中酸素レベル、ストレスレベル、歩数やエクササイズなどの活動量をはじめとしたさまざまなデータを測定できる。
特筆すべきは、国内メーカーでシャープだけ(※)が持つ摂取カロリーの自動測定機能だ。重さ約33g、薄さ9.4mmという軽量設計で、ハンドソープでの洗浄も可能な実用性を兼ね備えている。
※2026年10月現在、生産および販売をしているスマートウォッチとして

一方の「からだメイト Ring」は、加速度、心拍、血中酸素レベル、皮膚温度を測定する4つの高精度センサーを搭載。睡眠状態やバイタルデータを多角的に把握できる。こちらもハンドソープに加え、シャンプーやアルコール消毒にも耐えうる仕様となっており、日常生活に溶け込む設計だ。

これらのデバイスを統合するのが、アプリ「からだメイト」である。計測したデータは無料プランですべて確認できる。さらに有料プランでは、管理栄養士監修のアドバイスなどを通じ、個々の目標に合わせた健康づくりをサポートするという。

プロジェクトの始まりは3年半前。田中氏が事業部長らに「リングをやりたい」と直談判したことがきっかけだった。スマートフォン事業の技術を活かせる新領域としてウェアラブルに着目した田中氏は、図らずもリングとウォッチの両方を統括することになり、わずか4名の最小編成でプロジェクトをスタートさせた。
面倒なカロリー入力を自動化する「食ウォッチ」へのこだわり
なぜ「食」に着目したのか。田中氏は「後発で勝負するなら、他社と同じことをやっても意味がない」と断言する。健康の三大要素である「食事・運動・睡眠」のうち、運動や睡眠を測るデバイスはすでに多い。しかし、食事管理は手入力が主流で、その「面倒くささ」が挫折の大きな要因となっていた。
そこに勝機を見出したチームは、開発当初、製品を 「食ウォッチ」 と呼んでいたという。このコンセプトを支えたのが、HEALBE Corporationが持つカロリーセンシング技術との出会いだ。田中氏はこの技術の発表資料を見るや否や「これだ!」と直感し、すぐさま交渉に及んだ。
銀色の部分が生体インピーダンスセンサー。緑の光は光学式心拍センサー
身体の「水分の動き」から吸収量を推定するテクノロジー
では、どのようにしてカロリーを測るのか。その核心は「生体インピーダンスセンサー」にある。微弱な電流を流して電気抵抗の変化を捉え、細胞内の水分の移動や糖の変化を検知。これにより、体が実際に吸収したカロリー量を推定する仕組みだ。

また、同センサーは水分バランスの測定にも活用されている。30分以内の体内水分量を判定し、不足している場合に通知を送る機能も備える。この通知基準は個人差に合わせて調整可能だ。

精度については、カリフォルニア大学等での試験により、約89%の精度(※特定の研究条件下において)が確認されている。従来のデータベースに基づく“理論値”ではなく、個々の体が“実際に吸収した量”を推定する点が、従来の食事管理アプリ等との決定的な違いである。

独自OS開発という「壮絶な振り出し」を乗り越えて
開発の道のりは決して平坦ではなかった。シャープにとって本格的なスマートウォッチ開発は初の試み。開発途中でOSの選定に難航し、最終的には独自OSを自社開発する決断を下した。これによりチップセットも回路構成もゼロからのやり直しを余儀なくされ、製造パートナーの変更も重なるなど、プロジェクトは何度も窮地に立たされた。厳しい品質基準と革新的な機能の両立を、チームの執念で形にしたのが今回の製品なのだ。
ユーザーを「探しに行かせない」UIの追求
機能面で特に目を引くのが、特許申請中の独自UI「サーキットビュー」だ。「時計は最速で情報を見られるツール」という原点に立ち返り、腕を見るだけで「その時に必要な情報」が自動で表示される。
朝は睡眠データ、外出前は天気、昼は活動量、食後はカロリー情報。ユーザーが操作せずとも、データが更新されたタイミングや利用シーンに応じて最適な情報が“やってくる”設計だ。

田中氏は、「今日はもう少し歩こう」「食べ過ぎたな」といった自然な行動変容を無意識のうちに促すことこそが、シャープらしいアプローチだと語る。

情報を能動的に追うストレスをなくし、健康管理を日常の一部として溶け込ませる。シャープのウェアラブルは、テクノロジーで「ズボラな人でも続けられる」世界の実現を目指している。

<後編へつづく・・・>
次回はスマートリングとヘルスケアアプリの細部について迫る。
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【シャープブログ】
・<ウォッチ編>めんどくさい「食事」の記録とサヨナラ。
・<リング・アプリ編>「測る」だけでは終わらない、その先へ!
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【関連リンク】
■製品サイト
・からだメイト Watch MH-W01:シャープ
・からだメイト Ring MH-R01:シャープ
・からだメイトアプリ:シャープ
■リリース
・スマートウォッチ「からだメイト Watch」を発売
・スマートリング「からだメイト Ring」を発売
・ヘルスケアアプリ「からだメイト」を刷新
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