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2026

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    「新しい行田へ」——歴史との対話から紐解く、教育による地方創生と“稼ぐ”観光の未来

    「新しい行田へ」——歴史との対話から紐解く、教育による地方創生と“稼ぐ”観光の未来

     埼玉県行田(ぎょうだ)市。1500年以上の歴史を持ち、古墳や忍城(おしじょう)、足袋(たび)産業などで栄えてきたこのまちが今、大きな転換期を迎えている。会社員や国会議員など多様なキャリアを経てトップに就任した行田邦子(こうだ・くにこ)市長は、「過去・現在・未来との対話」を市政の柱に据え、次世代を見据えた大胆な施策を打ち出している。観光をシビアに産業として捉え直す視点や、全国でも類を見ない規模での学校再編、そして「変革」という言葉を使わずに市民と共創する「新しい行田」への想い。歴史あるまちを未来へ繋ぐ、独自のリーダーシップと戦略を紐解く。

    過去、現在、そして50年後の未来。市政を貫く「3つの対話」

    行田市長がリーダーとして、市政運営において大切にされている哲学や軸はどのようなものでしょうか。

     私は、市政運営に携わる中で、常に3つのことを心に留めています。

     1つ目は、政治家として当たり前のことですが、現在共にこの地域で生きている市民のお声をよく聞くこと です。2つ目は、過去の歴史との対話 です。行田市は古墳時代から1500年以上の長い歴史があり、良い時もあればそうでない時もありました。その長い歴史の延長線上に現在の行田市があるという捉え方をしています。物事を近視眼的に捉えるのではなく、歴史との対話を常に心がけています。 そして3つ目は、50年後の未来の市民との対話 です。50年後の未来を生きる人たちをイメージしながら、その人たちにとって今私がやることがどう影響するのかを常に問いかけています。自分が鬼籍に入った後、未来の市民に「あの時の市長はなぜこんなことをやったんだ」と言われないよう、この3つの対話を基盤に市政運営に当たっています。

    人が来るだけでは意味がない。「稼ぐ」ことにシビアな観光産業への転換

    行田市には忍城や足袋蔵など豊かな歴史資産がありますが、それをどのように活用し、地域の経済を回していこうとお考えですか。

     地方都市はどこも歴史遺産などを観光資源にして人を呼び込もうとしますが、人が来ればいいというわけではありません。「関係人口」や「交流人口」といった慰めのような言葉に満足するのではなく、それが地域にとって何のメリットになるのかを冷静に考える必要があります

     観光は産業ですから、シビアにお金を落としてもらわなければ意味がありません。例えば、無料で花や景色を見て、持ち込んだ飲み物を飲んで帰るだけでは、地域に一銭も落ちません。それでは車で道が傷むだけです。

     本当に経済効果がある取り組みの例として、コロナ禍から始まった「花手水」と「忍城のライトアップ」を組み合わせたイベントがあります。近隣の飲食店が混雑し、駐車場や運転代行がいっぱいになるほどの人が訪れました。このように、民間にやってもらっていかに経済効果を生み出し、行政は行政にしかできないことをやるのか が理想だと考えています。そのためにも、市役所や市民の意識を、もっとシビアな視点へと変えていかなければなりません。

    教育で地方創生を。全国初の「市全体の学校再編」と「まちなかリノベーション」

    現在、行田市として最も注力されている取り組みについて教えてください。

     長期にわたる大きな事業として、2つの事業を一体的に進めています。

     1つ目は、教育で地方創生を目指す「学校再編」 です。行田市は過去30年で児童生徒数が半減しており、この傾向が続けばさらに減ってしまいます。そこで、現在の小学校12校、中学校8校の計20校を、適正規模である9年制の義務教育学校3校に再編 します。人口が減っている地域だけを部分的に統廃合するのではなく、市全体の義務教育学校を再編するというアプローチは全国的にも類がなく、文部科学省からも注目されています。意欲のある先生方が集まり、地域の人たちが誇りに思えるような教育環境を10年かけて整えていきます。

     2つ目は、 「まちなかリノベーション」 です。学校再編によって空く中心市街地の土地と、市役所や文化会館、公園などの公共施設を再編し、民間の都市機能を誘致して、かつてのまちなかを蘇らせる計画です。行政がまずきっかけを作り、メッセージを発信することで民間投資を呼び込み、足踏みしている現状を前に進めていきます。

    根回しと「言葉」の力。市民と共に歩む合意形成のプロセス

    学校再編など、大きな変化には反対の声も上がるかと思います。困難な意思決定や合意形成において、意識されていることはありますか。

     何かを決める前には、必ず信頼できる人に相談し、味方を増やすプロセスを踏んでいます 。一人で悩んで決めてから説得するのではなく、相談しながら決めることで、決断した時にはすでに賛成してくれる仲間がいる状態をつくります。そうすることで、自信を持って進めることができます。

     また、言葉の選び方も重要です。かつての城下町であり古い土地柄の行田市では、変わることを嫌がる傾向があるため、私は 「変える」や「改革」という言葉は使わず、「新しい行田へ、皆さんと一緒に」と伝える ようにしています。時代が変わる以上、変化は避けられません。しかし、前向きな言葉を使うことで、市民の皆様によりポジティブに受け取ってもらえると感じています。

    「聞いていないだろう」成人式で伝えた本音。未来を担う若者たちへ

    最後に、行田市の未来を担う若い世代の皆様へメッセージをお願いします。

     今年の成人式で祝辞を述べた時のことです。会場がざわざわしていたので「あまり聞いていないかな」と思いながらも、私が普段から思っている本音をそのまま伝えました。「変わるのが嫌だというのはよくない。歴史あるまちの良いところを守るためにも、変化に合わせて変えるべきところは変えていかなければならない」と、学校再編やまちなかリノベーションの話をしたのです。

     すると後日、ある新成人の女性から「市長は若い人たちのことを真剣に考えてくれていると分かった。自分たちも頑張らなきゃいけないと友達と話した」とお礼を言われました。

     今の行田市は、未来を担う若い人たちのことを真剣に考えています 。若い人たちが魅力を感じるまちにするためにも、行政がしっかりと土台を作り、一緒に新しい行田を作っていきたい。市民の皆様とともに、まちをより良くしていく力になってほしいと強く願っています。

    #埼玉県#行田市#地方創生#まちづくり#教育#学校再編#行政#忍城

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