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2026

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    「溺れたくなかったら泳げ」――「ほっかほっか亭」創業から50年、食のインフラを創り続ける青木社長が語る“生涯現役”の経営哲学(後編)

    「溺れたくなかったら泳げ」――「ほっかほっか亭」創業から50年、食のインフラを創り続ける青木社長が語る“生涯現役”の経営哲学(後編)

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    「溺れたくなかったら泳げ」――「ほっかほっか亭」創業から50年、食のインフラを創り続ける青木社長が語る“生涯現役”の経営哲学(前編)

    国境を越えるZ世代へ。万博で挑む「ワンハンドBENTO」という未来

    大阪・関西万博への出店など、未来の顧客へのアプローチにはどのような投資価値を見出していますか。

     我々は非日常の「ハレの食事」ではなく日常食、すなわち「ケの食事」にこだわってきました。そもそも「ハレの食事」は技術を伴うため価値を評価していただきやすいですが、日常食はその点で難しい部分があります。今回の万博でも日常食がテーマということで、自分たちが提案できる新しい価値は何だろう と、試行錯誤してまいりました。特にこれからの食を担うZ世代には、食の国境がありません。中華、タイ料理、韓国料理、イスラム料理など、美味しければ何でも受け入れる柔軟性を持っています。そこで彼らのライフスタイルに合わせた新しい日常食の形として提案したのが、万博での「ワンハンドBENTO」です。

     モバイル端末を見ながら、あるいはイベントを楽しみながら食べる「ながら食」のニーズに応えるため、箸を使わずに食べられるスタイルを開発しました。海苔弁当の構造を裏返し、海苔でご飯とおかずを包み込むことで、ハンバーガーのように片手で食べられるようにしたのです。結果として、約23万食を売り上げる大きな反響を呼びました。

     新しいものを生み出そうとするなら、古いものを壊さなければなりません。利益が約束された安全な道ばかり選んでいては、本当に新しい価値は生まれません。いつの時代にも、責任を果たそうと思えば、覚悟が必要です。リスクを負ってでも、社会のニーズに合わせて試行錯誤を続けること が、次の世代への最大のメッセージになると信じています。そして、勝負に勝つためには、相手の立場に立ち、相手の望んでいることを遡って考えること。相手の優先順位は何なのかを確認しながら、納得いただけて初めて、相手の我々に何を期待しているのかが見えてくると思います。一生懸命やろうとする姿は見られていて、お客さんもわかってくれます。

    グループ経営の極意は「自主独立」。強みを伸ばし、弱みを補い合う

    多くの企業をグループに迎える中で、現場に主体性を持たせる組織づくりをどのように行っていますか。

     どの会社にも、必ず強みと弱みがあります。私は、強みは誰の指図も受けず、大いに伸ばせばいい と考えています。一方で、弱みは自分たちだけでは解決できないから弱いわけです。だからこそ、グループ全体でそれぞれの弱みをカバーし合う のが、我々のM&Aの最大の良さです。

     ですから、どういう企業と提携していけばよいのか、常にアンテナを張って考えていますし、新たな仲間集めをし続ける努力、自然と仲間ができるような環境づくりには日々心を砕いているつもりです。営業が強い会社、商品開発が強い会社、それぞれが自主独立して動く。そして、例えば外国人スタッフの育成ノウハウがない会社があれば、成功している別のグループ会社からその仕組みを共有する。私はあくまでサポーターです。困って相談に来れば全力で支援しますが、こちらから出しゃばって口出しすることはしません。「自主独立」を重んじ、互いにカバーし合えるチーム こそが、社会の変化に強く、生き残っていける組織なのです。我々は常に社会からの支持を得られるような事業を行っていける組織でありたい。社会から必要とされていれば、決して捨てられることはないと信じています。

    「溺れたくなかったら泳げ」。生涯現役を貫くリーダーの覚悟

    激変するビジネス環境の中で、逆境を乗り越え続けるための思考法と次世代へのメッセージをお願いします。

     私が若い社員によく言うのは、 「溺れたくなかったら泳げ」 ということです。泳ぎが上手いか下手かは関係ありません。もがいて泳いでいるうちに、必ず上手になります。それはつまり、自らが自分自身の器を大きくする努力を忘れないでほしい、というメッセージです。例えば、器の小さな経営者が大きな会社にすることはできません。社員一人一人も、自身の器を大きくしていく必要があり、様々な要素、要因によって器が大きくなっていくものです。

     自分で自分の成長や限界を決める必要なんてないのです。

     そしてもう一つ、 「心臓が止まるまで動け」 ということ。何歳で引退するとか、バトンタッチするとか、私に言わせればそれは逃げの口実です。たった一度しか与えられていない命のチャンスを、途中で放棄するのはもったいない。もちろん、年齢や環境に応じてギアチェンジや役割分担を変えることは必要ですが、心臓が動いているうちは社会の中で活動し続けるべきです。

     社会から支持される仕事をし続けること。時代が変われば、それに合わせて自分たちも変化していくこと。ビジネスの世界は厳しいですが、必死にもがいて社会のニーズに応えようとする限り、必ず道は開けます。 私はこれからも、生涯現役で走り続けます。

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