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2026

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    「食品成分へのこだわり」が最大の壁だった。伊勢半のヒットブランド「キスミー マミー」誕生15年、開発者が語る執念の試作劇

    「食品成分へのこだわり」が最大の壁だった。伊勢半のヒットブランド「キスミー マミー」誕生15年、開発者が語る執念の試作劇

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     株式会社伊勢半が展開するスキンケアブランド「キスミー マミー」が、大きな存在感を放っている。こども用UV市場において販売実績6年連続No.1(※1)を誇るUVシリーズを筆頭に、親子で使えるスキンケアアイテムを展開。2026年にはブランド誕生15周年という節目を迎える。

     2023年には、子育て層の投票によって選出される「マザーズセレクション大賞」を受賞するなど、ユーザーからの信頼は極めて厚い。食品成分(※2)への徹底したこだわりや、愛らしいクマ型ボトルの誕生秘話、そして激戦区の市場で選ばれ続ける理由について、同ブランドの立ち上げに携わった金子裕美氏にその軌跡を伺った。

    ※1 出典:True Data こども用UVケア・サンタン ドラッグストア全国 2019年8月~2025年7月 個数実績(マミーUVシリーズ/UVジェル、UVアクアミルク)
    ※2 食べ物ではありません。

    記事内画像 ▲株式会社伊勢半 開発本部 商品開発部 金子裕美氏

    長期化する夏と意識の変化で急拡大する「こどもUV市場」

     近年の猛暑やUV対策への意識向上により、こどもの紫外線対策は今や年間を通じた課題となっている。UV市場全体を見ても、外出機会の増加に伴い2019年比で128%(※3)と伸長。その中でも「キスミー マミー」UVシリーズの勢いは凄まじく、コロナ前と比較して207%(※3)と、市場平均を大きく上回る2倍以上の成長を記録しているという。

     市場の特性について金子氏は、こども用UVには「低刺激」を求める強い傾向があると分析する。市場全体ではSPF50以上の商品が95%(※4)を占めるのに対し、こども用UVに限れば、SPF50未満のアイテムも36%(※4)のシェアを維持。日常使いの低数値からレジャー用の高数値まで、シーンに応じた幅広い需要があるのがこの市場の特徴である。

    ※3 出典:インテージSRI+ チャネル:DgS,SM,HC 対象商品:セルフ商品 期間:2019年3月~2025年8月 販売金額前年比
    ※4 出典:インテージSRI+ チャネル:DgS,SM,HC 対象商品:セルフ商品 期間:2025年3月~2025年8月 SPF値別 販売金額構成比

    記事内画像 ▲「キスミー マミー」UVシリーズ
    左から:UVピュアクリーム、UVマイルドジェルN、UVアクアミルク

    「親子で使える」を当たり前に。開発に込めた食品成分への執念

     ブランド誕生当時、日本では「親子で同じものを使える」というコンセプトの商品はまだ一般的ではなかった。海外での普及状況に着目した金子氏は、手軽に買える親子共有スキンケアの潜在ニーズを確信し、ブランドを提案したという。

     「赤ちゃんや小さなこどもはママ・パパと触れ合ったり、指やおもちゃをよく舐めたりすることに注目し、食品成分(※2)だけでスキンケア商品を作りたいという想いでコンセプトを考えました」と、金子氏は振り返る。

     同ブランドの代名詞ともいえる食品成分(※2)へのこだわり 。しかし、その実現には高い壁があった。一般的な化粧品よりも成分の制限が厳しく、多くのテストを要するため、理想の品質にたどり着くまでには研究所のメンバーとの粘り強い試行錯誤が不可欠だったと語る。

     さらに、ブランドの象徴である「クマ型ボトル」にも戦略的な意図が込められている。幅広い世代に愛されるクマをアイコンに採用し、「UVマイルドジェルN」では丸みのある優しい手触りを追求。こどもでも適量が出せるポンプ式を採用するなど、家族全員での使いやすさを徹底的に考慮した設計となっている。

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    6年連続No.1を支えた、地道な「現場主義」と営業戦略

     「キスミー マミー」が不動の地位を築いた背景には、単なる商品力だけでなく、伊勢半らしい「ものづくりへのこだわり」と地道な営業努力があった。

     立ち上げ当初、大きな広告予算をかけられなかった同ブランドが取った戦略は、商品そのものを「コミュニケーションツール」にすることだった。「店頭で一目で気に留めていただけるよう、目立つパッケージを意識した」という金子氏。そのヒントは、学生時代に目にした「赤ちゃんが着ぐるみを着たポストカード」にあったという。

    記事内画像 ▲金子氏がデザインした「マミー リップクリーム」(2011年発売当時のもの)

     また、販路拡大においては「クロス展開」という営業アイデアが功を奏した。通常の日やけ止め売り場だけでなく、潜在ニーズの高い「ベビー用品売り場」にも商品を並べることで、新規顧客との接点を創出。これが潜在的な需要の掘り起こしにつながった。

     さらに、ママ友間の口コミやSNSの影響力を重視し、おむつへのサンプル貼付やイベントでのサンプリングなど、実際に商品を試す「体験の場」を積極的に提供。こうした地道な積み重ねが、強力な競合がひしめく中でブランドを成長させる原動力となったのだ。

    【動画】マミーUVシリーズ「マミーちゃんは家族みんなのヒーロー」編
    ▲営業社員が自ら企画・出演した動画を店頭販促にも活用

    「思い出」に寄り添う、スペック以上の価値提供を目指して

     2023年の「マザーズセレクション大賞」受賞は、これまでの歩みが多くのユーザーに認められた証といえる。自身も子育て中である金子氏は、この受賞に格別の思いがあると言う。

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     「子育てを支えてくれる数々の商品があるなかで選んでいただけたことは、素直にうれしかったです。私自身も育児中、多くの商品に助けられ、それらが当時の思い出と結びついています。思い出と一緒に商品価値以上の価値を感じてもらえるのは、子育てを支える商品ならではの喜びです」と、金子氏は語る。

     育児の大変さだけでなく、その先にある喜びや楽しい瞬間を支えたい。「キスミー マミー」は、これからも時代や環境の変化に合わせた商品づくりを通じて、世界中のママ・パパに寄り添い続けることだろう。

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