Diamond Visionary logo

8/22()

2025

SHARE

    「結果の出る結婚相談所を作る」。タメニー社長が語る、仲間への想いと、事業と組織を成長させる「主観正義」の力

    「結果の出る結婚相談所を作る」。タメニー社長が語る、仲間への想いと、事業と組織を成長させる「主観正義」の力

    この記事で紹介された企業

    婚活サービスのパイオニアとして、婚活領域からカジュアルウェディング領域、地方創生/QOL領域にいたるまで、事業を多角的に展開するタメニー株式会社(本社:東京都品川区)。コロナ禍という未曾有の危機を乗り越え、来年には創業20周年を迎える同社を率いる代表取締役社長・佐藤茂氏に、事業にかける想い、困難を乗り越える原動力、そして未来のビジョンについて伺った。そこには、一貫して「結果」と「人」にこだわり続ける、熱い信念があった。

    業界の常識を覆す。「結果の出る結婚相談所」が原点

    晩婚化、未婚化、離婚の増加などの社会問題に対する手段の一つとして婚活サービスの必要性が増し、その選択肢も多様化しています。貴社が提供するサービスの軸、他社との差別化におけるポイントはどこにあるとお考えでしょうか。

    私がこの婚活業界に携わって、もう25年になります。当時から今まで、婚活を始める理由で最も多いのは 「出会いの機会がない」 ことです。これは20年以上変わらない、根深い社会構造の問題だと捉えています。

    昔は地域や職場といった「縁」がありましたが、現代ではそれらが希薄になっています。一方で、結婚相談所の認知度は90%と非常に高いのに、利用経験者はわずか1%程度。誰もがその必要性を感じながら、ほとんど使われていない。このギャップに、私は事業としての大きな可能性を感じました。

    しかし、業界の実態を知るうちに、新たな課題に直面します。それは「成婚率の低さ」です。当時、業界トップの会社でも成婚率は10%程度。私が在籍していた会社は5%で、これは自力で相手を見つけるのと変わらない確率です。お客様の目的を1割しか達成できないサービスを、胸を張って世の中に広めることはできませんでした。

    結局、良いサービスやプロダクトを提供している会社がシェアを取っていく。これはあらゆる業界に共通するシンプルな真理です。そこで私は、「もっとお客様の成婚率を上げていこう」と会社に提案しましたが、当時の経営方針とは合いませんでした。

    このような経験を通して考えた結果、私たちが掲げるコンセプトの軸、そして他社との最大の差別化ポイントは、 「結果の出る結婚相談所を作る」 という一点に尽きます。お客様の成果に徹底的にこだわる。このコアな価値を軸に、システム開発からサービスフローの構築、社員の評価制度まで、すべてを設計しています。この「結果へのこだわり」こそが、現在の自治体様や大手企業様との提携にも繋がる、私たちのDNAなのです。

    社員の発案から生まれた、新しい結婚式のカタチ「ラフスタ」

    貴社は昨年より、結婚式費用約100万円・ご祝儀1万円程度の会費で実現できる新スタイル結婚式「ラフスタ」を提供開始されました。いかにして立ち上げに至ったのか、着想や背景、実現にあたっての想いについて教えてください。

    昨年開始した「ラフスタ」というサービスは、まさに今の時代の価値観から生まれたものです。これは、複数のベンチャー企業が統合して生まれた当社において、初めて社員の起案からローンチ(開始)に至ったサービスかもしれません。

    コロナ禍で結婚式のあり方が大きく変わる中、ウェディング部門の社員たちが「もっと気楽にできる結婚式があってもいいのではないか」と考えたのがきっかけです。従来の結婚式は新郎新婦が中心で、ご祝儀や自己負担額などを考えて設計されていました。しかしラフスタは、 「ゲスト視点」 に立っているのが特徴です。

    「もし自分たちが参加するなら、会費は1万円くらいが参加しやすいのではないか」。そんな発想から、会費制で、新郎新婦の自己負担もゲストの負担も少ない、ビュッフェスタイルのカジュアルなパーティープランが生まれました。

    経営陣にとっても新しい発想でしたが、リスク管理まで含めて理路整然とプレゼンする彼らの姿を見て、「この事業は世の中に必要とされるだろう」と直感しましたね。承認までは2、3ヶ月というスピーディーな展開でした。形式通りの披露宴だけでなく、多様な価値観に寄り添う。これもまた、お客様の求める「結果」に応える一つの形です。

    コロナ禍の死線と、社員という「家族」への想い

    コロナ禍では結婚式のキャンセルが90%に至るなど壊滅的な状況を経験しながらも、新たな生活様式に適した新サービスを次々にリリースしてきています。どのような心持ちで立て直されたのでしょうか。

    コロナ禍は、間違いなく創業以来最大の危機でした。売上の5割を占めていた結婚式や二次会がほとんどキャンセルや延期になり、会社の存続自体が危ぶまれました。正直、初動での判断が遅れたことも、2021年度に23億円もの赤字を出した大きな原因です。

    経営的なショックはもちろんですが、何より辛かったのは、自分たちのサービスを提供できなくなった社員たちのことでした。自宅待機を命じられ、お客様に必要とされているはずの大好きな仕事ができない。特に、入社直後だった新卒社員は、東京で一人暮らしを始め、友人もいない中での自宅待機となり、本当に辛い思いをさせたと感じています。

    社員の前では「大丈夫だ」と言い続けましたが、もちろん事業の縮小や撤退は常に脳裏にありました。それでも会社を存続させなければならないと思ったのは、 私たちのサービスがなくなれば、困るお客様がいるから です。そして、私にとって会社や社員は「家族」であり「子ども」です。その家族を守りたいという一心でした。

    経営者仲間と話すと、会社を「お金を稼ぐ手段」と捉えるタイプと、「家族」と捉えるタイプがいますが、私は明確に後者です。だからこそ、危機に瀕した時に「自分のリスクを減らすために会社を売却しよう」という発想にはなりませんでした。この会社や仲間に対して、強い主体性を持っているからこそ、エネルギーが湧いてくるのです。

    原動力は「主観正義」と「人を喜ばせる」こと

    佐藤社長の仕事にかける想いや原動力はどこにあるのでしょうか。

    私の仕事への原動力は、大きく2つあります。

    1つは、高校時代のイタリア料理店でのアルバイト経験です。そこで、 「人が嫌がることや、誰もやらないことを率先して行うと、相手に喜ばれ、自分にも対価として返ってくる」 という労働の本質を学びました。娘たちにも「たくさんの人の笑顔を作ったら、たくさんお金が入ってくるんだよ」と話していますが、この原体験が全ての根底にあります。

    もう1つは、自分の中にある 「主観正義」 です。「このサービスは、本当に世の中に必要なんだ」と心の底から信じられるかどうか。この自分自身の正義感を、何よりも大切にしています。だからこそ、広告営業をしていた時代も、「お客様の利益を最大化する」もしくは「お客様の価値を高める」ことに全力を注ぎ、心から「この会社を成長させたい」と思える相手とだけ仕事をしてきました。年収や役職には、昔から全く興味がありませんでした。自分が本当に好きで、必要だと信じるサービスに情熱を注げるか。そのエネルギーが、私の原動力です。

    能力よりも「風土」が人を育てる。求めるのは「心がきれいな人」

    これから貴社に必要な人材として、社員の方々、これから入ってこられるメンバーに、どのようなマインドをもってほしいとお考えでしょうか。また、大切な考え方を普段どのように伝えられていますか。

    人が働く上で、何よりも大切なのは 「組織風土」 だと考えています。どんなに能力の高い人を集めても、足を引っ張り合うような組織では力を発揮できません。逆に、助け合い、褒め合う風土があれば、人は必ず成長します。

    だからこそ、私たちは「心がきれいな人」と共に働きたいと考えています。これは、タメニーという1つの会社に統合する際に明文化した人事ポリシーの根幹です。「仕事ができるかどうか」と「心がきれいかどうか」という2つの軸で考えた時、私たちは「心がきれいで、これから成長していく人」を大切にしたい。仕事のスキルは後からでも身につきますが、人としての信頼関係は、能力だけでは築けないからです。

    この考えは、社内のフラットなコミュニケーションにも表れています。社員は私のことを「社長」とは呼ばず、「佐藤さん」とか、ニックネームで呼びます。役職はあくまで役割。人と人との信頼関係を軸にすれば、仕事がうまくいく時もいかない時も、縁が切れることはありません。おかげさまで、うちの社員は本当に性格の良い人ばかりだと自負しています。

    再び、成長へ。2035年度、売上300億円企業を目指す

    貴社は来年、事業開始から20年を迎えます。これからのタメニーをどうリードされていくのか、今後のビジョンについて教えてください。

    この数年間は、資金繰りをはじめとした「守り」のフェーズでした。社員も保守的になり、エネルギー量が落ちていたかもしれません。しかし、ようやく財務も事業も立て直しの目処が立ちました。

    私はもともと、停滞していると死んでしまうタイプです。だからこそ、ここからは再び攻めに転じます。私たちが存在する意義は、 世の中の課題を解決し、人々の生活を豊かにし、笑顔を作っていくこと にあります。もう一度、新しい事業やサービス作りに挑戦し、成長軌道に戻します。

    具体的な目標として、 「2035年度に売上300億円を達成し、サービス業の上場企業でトップ100に入る」 ことを掲げました。今はまだ「何を言っているんだ」と思う社員もいるかもしれません。しかし、まずは私が率先してこのビジョンを繰り返し伝え、実際の行動で示していく。その姿を見て、近くの人間から「いけるかもしれない」という雰囲気が伝播していけば、会社全体のエネルギーは必ず変わっていきます。

    失われた数年間で社員が失ってしまったかもしれない自信を、もう一度みんなで取り戻したい。自分たちのサービスが必要とされ、会社が安定し、成長していく。その喜びを、再び社員全員で分かち合いたいと、心から願っています。

    #タメニー#パートナーエージェント#結婚相談所#トップインタビュー#婚活#ラフスタ

    この記事で紹介された企業

    あわせて読みたい

    記事サムネイル

    世界で戦える“ビジネスの総合格闘家”を育成してい...

    記事サムネイル

    「『正気の沙汰ではない』と言われた」赤字下の拠点...

    記事サムネイル

    「マイル」は貯めやすく、使いやすく。「旅」を軸に...

    記事サムネイル

    「マイル」は貯めやすく、使いやすく。「旅」を軸に...

    Diamond AI trial

    ピックアップ

    Diamond AI