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「2025年問題」とは何か?日本の少子高齢化の真実と、深刻化する“地域格差”の現実
ビジョナリー編集部 2025/09/09
日本の高齢化率はついに29.3%に達しました。これは、国民の約3人に1人が65歳以上という、世界でも類を見ない超高齢社会を意味しています。
なぜ日本はここまで急速に高齢化が進み、少子化も深刻化しているのでしょうか?
“2025年問題”の本質と、地域ごとの現実まで、分かりやすく解説します。
少子高齢化のはじまり
戦後日本の人口爆発とその後
話は1947年、終戦直後の第1次ベビーブームに遡ります。この時期、毎年約270万人もの赤ちゃんが誕生し、「団塊の世代」と呼ばれる人口の山が形成されました。
やがて彼らが大人になった1971〜74年、第2次ベビーブームが到来。日本の人口は増え続け、2004年には約1億2,800万人でピークを迎えます(※1)。
少子化の加速──未婚化・晩婚化の波
1970年代に入り、経済の停滞や価値観の多様化、非婚化・晩婚化が進行。出生率が低下し、ついに1990年には「1.57ショック」と呼ばれる最低出生率を記録します。
「結婚したいけれど経済的な不安が大きい」「仕事と育児の両立が難しい」
そんな声が増え、若者の就職氷河期や非正規雇用の増加も追い打ちをかけました。
なぜ日本の高齢化は“異常なスピード”なのか?
■ 世界と比べても「超特急」
日本の高齢化率は、1970年に7%(高齢化社会の基準)を突破(※2)。
そこからわずか24年で14%(高齢社会)、さらに21%(超高齢社会)を2010年代に突破しました。これは欧米諸国の2〜5倍のスピードです。
なぜこれほどまでに急激だったのでしょうか?
- 医療技術の進歩・平均寿命の延伸(男性81.6歳、女性87.7歳:2020年時点で世界トップクラス)
- 団塊世代の人口ボリュームが一斉に高齢化
- 若年層の人口減少(少子化)の加速
こうした複合要因が、“世界一の高齢化社会”を現実のものにしました。
2025年問題──「団塊世代が75歳を超える」社会の衝撃
2025年、日本社会に何が起きるのか?
2025年、団塊の世代(1947〜49年生まれ)が全員75歳以上の「後期高齢者」となります。
その数、およそ800万人。この年、日本の高齢者は3,500万人(国民の3人に1人)、うち後期高齢者は5人に1人と言われています。
この大転換が「2025年問題」です。
【2025年問題のインパクト】
- 医療・介護費用が急増(社会保障費は約140兆円規模へ)
- 介護・医療現場の人手不足が深刻化(介護人材は約37.7万人不足予測)
- 現役世代の負担増大(少ない働き手で多くの高齢者を支える“肩車型社会”に)
- 事業継承・中小企業の廃業リスク(後継者難で650万人の雇用危機も)
社会のあらゆる分野に影響が波及
「年金は大丈夫?」「病院や介護施設は足りるの?」
「地方の町が消えてしまうのでは?」
そんな不安が現実味を帯びてきます。
都道府県別で見る「高齢化」と「少子化」の深刻地帯
高齢化が最も進む県はどこか?
【高齢化率ランキング(2024年時点)】
1位:秋田県 39.5%
2位:高知県 36.6%
3位:青森県・徳島県 35.7%
(全国平均:29.3%)
秋田県では2.5人に1人が高齢者という状況。しかも、2050年には49.9%(2人に1人)が高齢者になるという衝撃的な予測も出ています。
特に東北地方(秋田、青森、岩手、山形、福島)は今後、深刻な高齢化と地域衰退に直面する可能性が高いです。
なぜ地方ほど高齢化が深刻なのか?
- 若い世代の都市部流出(特に女性)
- 地元での雇用機会・子育て環境不足
- 残された地域に高齢者が集中
逆に、東京都(22.7%)など大都市圏は相対的に高齢化率が低くなっていますが、これらも2050年には大きく上昇する見込みです。
少子化が最も進んでいる県はどこか?
【2013〜2023年 出生数減少率ランキング(10年間)】
全国平均:29.4%(10年で3割減)
ワースト上位:秋田県、岩手県、福島県、青森県、静岡県、山形県、栃木県、新潟県、北海道、高知県、愛媛県(これらの県は10年で35%以上減少という驚異的なスピード)
東北地方の構造的問題
東北では「若年女性の東京圏流出」が顕著です。地元の若い女性が進学・就職で都市部に移動→地元での婚姻・出産が減少→ますます出生数が減り、少子化が加速する“負のスパイラル”に陥っています。
中部・四国も要警戒
静岡・高知・愛媛など中部・四国地方でも、若年層の都市流出が深刻化。2027年開通予定のリニア中央新幹線で、さらなる東京一極集中が懸念されています。
少子高齢化が社会にもたらす「7つの現実」
- 医療・介護の人手不足
介護職の有効求人倍率は3.7倍(全職種平均の3倍以上)
2025年には約38万人分の介護人材が不足すると予測されています。 - 社会保障費の急増
医療・介護・年金の給付負担が増え、現役世代への“重圧”が拡大。 - 経済成長の低迷
労働者減少→生産力低下→消費・投資の鈍化→さらなる景気停滞という悪循環。 - 地方経済・自治体の存続危機
人口減少と高齢化のダブルパンチで、自治体運営やインフラ維持が困難に。 - 事業継承と雇用の不安定化
中小企業の廃業増加、雇用喪失も深刻な課題。 - 家族機能の変化と介護離職リスク
「介護のために仕事を辞める」人が増加必至。企業の人手不足にも直結。 - 都市部の高齢化進行
今後は東京都・大阪府など大都市圏でも高齢化が本格化し、社会のあらゆる場面で“高齢化の波”が押し寄せます。
解決に向けて、いま国と地域が取り組むこと
少子化対策:「子どもを産み育てやすい社会」へ
- 保育サービス・保育園の充実
- 育児休業・時短勤務など多様な働き方の推進
- 出産・育児の経済的支援(手当・医療費助成・奨学金など)
- 不妊治療の保険適用拡大・支援強化
- 地域ぐるみの子育て支援体制づくり
高齢化対策:「元気な高齢者が活躍できる社会」へ
- 高齢者の雇用継続・再就職支援
- 地域包括ケアシステム(医療・介護・生活支援の一体化)
- ICTやロボットなど省力化技術の導入
- 健康寿命の延伸政策(予防医療・フレイル対策・認知症対策)
働き方改革・担い手増加
- 非正規雇用から正社員化推進
- 最低賃金引き上げ
- 就職氷河期世代の支援
- 介護離職ゼロを目指す企業と社会の両輪の取り組み
まとめ──「未来の日本」をどう守るか?
「このままでは国そのものが立ち行かなくなる」
それが、少子高齢化と2025年問題の本質です。秋田や青森など“高齢化・少子化ダブルパンチ”の県は、消滅集落の危機にも直面しています。
一方、都市部も例外ではなく、東京・大阪も今後は急速な高齢化時代に突入します。「自分には関係ない」と思っている方も、
- 親の介護
- 企業の人手不足によるサービス低下
- 年金や医療の将来不安
など、すでにこの問題の“当事者”です。
いま求められるのは、「一人一人が社会の変化に向き合い、行動を起こすこと」ではないでしょうか。
- 地域で支え合う仕組みに参加する
- 多様な働き方・生き方を受け入れる
- 次世代育成のための投資や環境づくりに協力する
未来の日本を守るのは、私たち一人ひとりの意識と行動にかかっています。

