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飴の袋や薬のシートが「高級家具」に? 早稲田大学27号館、什器の正体は“企業のゴミ”だった
ビジョナリー編集部 2026/03/13
捨てられるはずの「廃プラ」が大学のシンボルに
早稲田キャンパス27号館にある共創空間「GCC Common Room」。ここに設置されたベンチやテーブル、カウンターといった什器には、ある「秘密」が隠されている。実はこれらすべて、企業活動から発生した「廃棄プラスチック」を原料として作られたものなのだ。
この取り組みは、株式会社REMARE(以下、REMARE社)と複数の企業、そして早稲田大学が連携して進める産学連携のアップサイクルプロジェクト。設計を IOII architects / トイアーキテクツ が担当し、これまで再利用が難しいとされてきた素材に、新たな命を吹き込んでいる。
リサイクル困難とされてきた廃棄プラスチックに「使われ続ける出口」を
企業活動の中で発生する廃棄プラスチックの多くは、素材が複雑に混ざり合っていたり、品質にばらつきがあったりすることから、これまでは焼却や埋立処理に頼らざるを得ないのが実情だった。こうした廃棄に伴う温室効果ガスの排出(Scope3カテゴリ5)の削減は、今や多くの企業にとって避けては通れない共通課題となっている。
特に医薬品や食品の包材、電子基板、製造工程で出る樹脂残渣などは、マテリアルリサイクルの選択肢が極めて限られてきた。そこで立ち上がったのが、REMARE社である。同社は、こうした再資源化が困難な廃プラを「使われる素材」へと再定義し、空間やプロダクトとして社会に実装する独自のマテリアルリサイクル技術を開発した。
今回のプロジェクトでは、以下の企業等から提供された「行き場のない」廃材が、空間を彩る什器へと姿を変えている。
- お薬の包材(第一三共ヘルスケア株式会社)
- スマートフォン用カバー(Hamee株式会社)
- オフィス家具製造時に発生する樹脂団子(株式会社イトーキ/コクヨ株式会社)
- 飴の包材(カンロ株式会社)
- 電子基板端材(株式会社FUJI)
- 家電リサイクル工程で発生する残渣(三菱電機株式会社、株式会社グリーンサイクルシステムズ)
- 早稲田大学内で回収されたペットボトルキャップ
- 九州沿岸部で回収された海洋漂着プラ(敬称略、順不同)

▲左上から樹脂団子(イトーキ)、飴の包材(カンロ)、樹脂団子(コクヨ)、家電リサイクル残渣(三菱電機・GCS)、スマートフォン用カバー(Hamee)、お薬の包材(第一三共ヘルスケア)、電子基板端材(FUJI)、ペットボトルキャップ
企業の廃材が、大学と社会をつなぐ
什器が設置された「GCC Common Room」は、単なる休憩スペースではなく、「貢献の早稲田」を象徴する場として、「社会との接点」を設計思想に掲げた共創空間だという。
南門通りに面した開放的なデザインが特徴で、巨大なホワイトボードウォールや、ガラスとベンチを組み合わせた構成により、学生や教職員だけでなく、地域住民や来訪者も自然と集まる仕掛けとなっている。
この場所に廃棄プラスチックを起点とした什器が置かれたことで、企業の事業活動、大学の研究・教育、そして社会の接点が重なり合い、まさに、循環型社会の具体例が目の前に現れたといえる。

▲ベンチとガラスで構成された、外との境界線。開かれた場として、社会について考える場となることを意図している。
教育・研究と結びつく、循環型社会の実現
本取り組みの意義は、単なる廃棄物の削減にとどまらない。注目すべきは、「廃材がどのように社会の中で使い続けられるのか」を可視化し、大学という教育の場で日常的に触れられるようにした点にある。
早稲田大学では今後も、こうした専門家や企業との連携を強化していく方針だ。同校では、キャンパスを社会課題解決の実証フィールドとして活用することで、持続可能な社会に貢献する人材の育成や研究をさらに加速させていく。
Global Citizenship Center(GCC)について
気候変動や格差拡大といった地球規模の課題に対し、早稲田大学の知見と教育資源を結集して社会貢献を目指す拠点。創立150周年記念事業の中核として、研究(GRC)や教育(GEC)と有機的に連携しながら、社会実装やアントレプレナーシップ教育、実践型学習を推進している。世界人類に貢献できる人材育成を着実に進めるための「ハブ」となる組織である。
※写真提供元:株式会社REMARE


