Diamond Visionary logo

1/23()

2026

SHARE

    クラフトボス誕生秘話 ホンネとタテマエを見極める商品開発

    クラフトボス誕生秘話 ホンネとタテマエを見極める商品開発

    この記事で紹介された企業

    働く人の相棒「BOSS」の誕生

    記事内画像

     サントリーの「BOSS」は、1992年に缶コーヒー界の新たな存在として登場した。

     「BOSS」の開発にあたっては、自動販売機の存在が大きかったという。

     当時、サントリーの自販機は業界2位。しかし、認知度は他メーカーに比べると遥かに下回っていた。

     そこで同社は、「缶コーヒーでブランドを作ろう」と戦略を立てた。 缶コーヒーは自販機の中で最も売上構成が高い。そこで強いブランドを持つことが、自販機ビジネスを左右すると考えたのだ。

     新ブランドの開発が始動。まず、ターゲットを「身体を使って働く人」の一点に絞った。缶コーヒーのヘビーユーザーである。まず、彼らから缶コーヒーの飲用実態や心象を徹底的に深堀りするため、アンケートを実施した。 トラックの運転手には助手席でインタビュー、タクシー運転手には休憩所で試飲調査を行うといった具合である。

     そこで分かったことは、彼らは会社を出ると一人であり、ある意味自由に自身の裁量で仕事ができる、ということだ。

     それは同時に、孤独でもある。

     そんな彼らを励ましてくれる、また頼りになる存在を生み出したいと考えた。

     そうして生まれたのが、缶コーヒー「BOSS」である。

     「働く人の理想の自分像」 「缶コーヒーのボスになる」

     という2つの意味を込め「BOSS」というネーミングに決定した。

     加えて、相棒として人格化しやすいよう、おじさんのロゴマークを開発。

     このように、ターゲットの気持ちを深堀りすることで、BOSSブランドは誕生したのである。

    「クラフトボス」新規顧客の心を掴んだ3つの着眼点

    記事内画像

     2017年、コーヒー飲料界に激震が走る。

     ペットボトルコーヒー「クラフトボス」の誕生だ。

     サントリーはなぜ、ペットボトル容器のコーヒーを発売したのか。

     「クラフトボス」が誕生する2017年前後は、コンビニコーヒーやサードウェーブコーヒーが流行する一方、缶コーヒーの売上は横ばいが続いていた。 若い世代が、缶コーヒーを飲まなくなってきたのである。

     そこで目を付けたのが、当時急速な増加傾向にあったITワーカーだ。 新しい働き方である「プログラマー」「システムエンジニア」といった人たちをターゲットとし、ここでも深堀りをした。

     そこで、3つの気づきを得た。

    1.休憩スタイルの多様化

     缶コーヒーのヘビーユーザーは、仕事に区切りをつけ、休憩中に飲料を飲むことが多い。一方で、ITワーカーは休憩のような区切りがなく、作業をしながらゆっくり飲料を飲むというスタイルを持っていた。 そのスタイルに、容量の少ない缶コーヒーはマッチしていなかったのである。

    2.コーヒーに求める価値の変化

     彼らはコーヒー自体は好きで、以前は仕事中に飲んでいたが、缶コーヒーのイメージを聞くと

     「長期保存ができる缶詰めのイメージ」 「中味が見えなくてデザインも似ている」

     と、あまりポジティブな印象が得られなかった。

     一方、缶コーヒーを飲まない人たちも、当時急速に広がっていたコンビニコーヒーは好んで飲むという。

     「爽快な気持ちになる」 「氷が少し溶けたころに、すーっと飲むと気持ちがいい」

     こうした声から、“100円で飲める本格コーヒー”というタテマエの裏に、“爽快な気持ちになる”というホンネの価値があることを発見した。

    3.缶コーヒーを飲まない世代特有のこだわり

     缶コーヒーを飲まない世代にお気に入りのモノは何かと聞いたところ

     「おじいさんが使っていた万年筆」 「友人の革職人が作ってくれたベルト」

     といった声があがった。

     そのほかにも「あえて、手書きで日記をつけている」という人もいた。 ITという職業とは対極にあるこだわりである。仕事中は膨大なデジタル情報を扱っているため、その反動として「人」や「手」のぬくもりを感じる「アナログなもの」を好むのではないかと考えた。

     このような3つの気づきから生まれたのが、「クラフトボス」だ。

     仕事をしながらデスクの傍らでゆっくり飲めるよう容量を増やし、爽快な気持ちになれるよう、淹れたてのようなクリアな味わいに仕立て、さらに「人」や「手」のぬくもりを感じるように、ガラス瓶のようなデザインのペットボトルを採用した。

     結果、「クラフトボス」は発売後すぐに爆発的なヒットを記録し、コーヒー飲料に新たな市場を創造することに成功したのである。

    働く人の変化に寄り添い挑戦を続ける

    記事内画像

     発売以来、好調をキープしている「クラフトボス」だが、今ではコーヒーだけでなく、「TEA」や「抹茶オレ」などコーヒー以外にも裾野を広げている。

     その背景には、働く人の多様化がある。

     「BOSS」は「働く人の相棒」というコンセプトのもと、挑戦を続けてきた。「働く人」とはつまり生活者であり、「相棒」とはその生活者との関係性である。生活者の働き方やメンタリティの変化に応じて、相棒としての関係性も変化していかなければならない。

     時代時代の環境や価値観に合わせ、相棒として寄り添うべく、コーヒーだけにこだわらず変化してきた結果が、現在のラインアップになっているのだ。

     今後も「働く人の相棒」を軸に、BOSSの挑戦は続く。

    #BOSS#ボス#クラフトボス#コーヒー#開発秘話

    あわせて読みたい

    記事サムネイル

    なぜ「エンタメの聖地」が開発者に? 東京ドームが...

    記事サムネイル

    単なるペット可ではない。東急リバブルが「共生目線...

    記事サムネイル

    就活からオフィスまでこれ1着。遊び心と実用性を両...

    記事サムネイル

    年間44万件の激務を「40%」効率化。ミロク情報...

    記事サムネイル

    子どもの頭の怪我にどう備える? サッカー界の「新...

    Diamond AI trial

    ピックアップ

    Diamond AI
    Diamond AI