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「この家はどうなる?」空き家問題を放置しないための具体的なステップ
ビジョナリー編集部 2025/09/11
「自分がいなくなった後、この家はどうなるのだろう?」
日本全国で深刻化しているのが「空き家問題」です。実は、誰にとっても他人事ではありません。
この記事では、空き家を「自分ごと」として捉え、後悔しないために今からできる“備え”について、具体的な手続きや押さえておきたいポイントを解説します。
空き家問題の現状
総務省の調査によれば、2018年の全国空き家率は過去最高の13.6%。日本中で848万戸以上もの家が空き家になっています。
なぜ、これほどまでに空き家が増えているのでしょうか。その理由は様々です。
- 人口減少・高齢化による家余り
- 都市部への人口集中で地方の住宅需要が低下
- 新築志向による中古住宅の敬遠
- 管理や修繕が困難な老朽化物件の増加
- 相続後の手続き放置や権利関係の複雑化
こうした複合的な要因が絡み合い、「空き家の増加→地域の衰退→資産価値の低下→さらに空き家が増加」という負のスパイラルが生まれています。
空き家を放置するリスク
「今は何も困っていないから大丈夫」と思いがちですが、空き家を放置することで生じるリスクは、想像以上に深刻です。
主なデメリット・リスク
- 固定資産税などの税負担が続く
- 老朽化による倒壊・損害賠償リスク
- 不法侵入や火災などの防犯・防災リスク
- 近隣トラブルや地域イメージの悪化
特に、行政が「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定した場合、税制上の優遇が解除され、固定資産税が数倍に跳ね上がることもあります。
空き家を防ぐために「今」できる5つのステップ
実家や自宅を空き家にしないためには、どんな手続きや準備が必要なのでしょうか。ポイントを5つに整理してご紹介します。
1. 所有者・名義の現状把握
相続した家の登記が親名義のままというのは、よくある話です。2024年から相続登記は義務化され、放置すると過料の対象にもなります。今のうちに、登記簿謄本で「誰名義か」「土地と建物の名義は一致しているか」を確認しましょう。
POINT:名義人が複数の場合は、全員の合意が必要。早めに話し合いをしましょう。
2. 現地調査と物件の状態確認
「実家は遠方で一度も見ていない」「中がどうなっているか分からない」という方も多いはず。しかし、現状把握は売却や活用の第一歩。写真や動画で確認したり、信頼できる管理サービスを利用しても良いでしょう。
POINT:リフォームや修繕履歴もチェック。記録があれば価値向上につながることもあります。
3. 相続人間の合意形成
兄弟姉妹での意見対立や、遺産分割協議の長期化は空き家放置の大きな原因です。「誰が相続するのか」「売却するのか」「どう分けるか」を、事前にしっかり話し合いましょう。遺言書の作成も有効な手段となります。
POINT:共有名義は後々トラブルの元。できれば単独名義か、早めの現金化を。
4. 手続きの流れと必要書類の準備
空き家を売却・譲渡する際には、以下のステップが一般的です。
- 不動産会社や自治体に相談
- 物件の査定・調査
- 売買や譲渡の合意、契約
- 登記の名義変更
- 引き渡し・決済
特に、売買契約書や登記関連書類、相続関係説明図などの準備が欠かせません。
POINT:売却時は譲渡所得税、登録免許税、印紙税などの税負担も発生。控除や特例制度も要チェックです。
5. 早めの相談&専門家の活用
「どこに相談したらいいか分からない」「売れるか不安」という方も多いですが、早めの相談が解決の近道です。地元に強い不動産会社や、相続手続きに詳しい司法書士・税理士のサポートを活用しましょう。
POINT:空き家バンクや自治体の補助金制度も積極的に活用を。
空き家を「活かす」ための選択肢
「空き家にしないため」の具体策として、どのような選択肢があるのでしょうか。代表的な方法をまとめました。
1. 売却(そのまま/リフォーム・解体後)
- そのまま売却:最も手間が少なく、現状渡しで迅速に売りたい場合に有効。ただし、古い家は価格が下がる傾向に。
- リフォームして売却:費用はかかるものの、第一印象アップで売れやすくなります。行政の補助金も活用可能。
- 解体して更地売却:建物に価値がない場合、土地として売却。解体費用や固定資産税の増額には注意。
2. 不動産会社による「買取」依頼
- スピーディーに現金化したい場合や、古家・再建築不可物件でも対応してくれる場合が多いです。
- 価格は仲介売却より低くなりがちですが、「確実に手放したい」方へおすすめ。
3. 空き家バンクへの登録
- 各自治体が運営する「空き家バンク」は、地元への移住希望者や活用希望者とのマッチングに有効です。
- 登録・閲覧無料ですが、買手がつくまで時間がかかる場合も。
4. 寄付・無償譲渡
- 不動産価値が低い場合、地域のNPO法人や自治体に寄付できる場合もあります。
- 事前に受け入れ可否や条件の確認が必要です。
5. 相続放棄
- 相続財産よりも負債や管理負担が大きい場合、家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う選択肢も。ただし、他の財産も相続できなくなる点には注意してください。
空き家を“売れやすく”するためのコツ
「なかなか売れない」「値段がつかない」と諦めてしまう前に、次の3つのポイントを見直してみてください。
- 価格を現実的に設定
自分の思い入れや希望価格ではなく、周辺相場や現実的な査定を参考にしましょう。 - 荷物整理・清掃で印象アップ
雑草やゴミを片付けるだけでも印象が大きく変わります。最低限の整備だけでも十分効果的です。 - 地元密着型の不動産会社を活用
大手よりも地元の事情に詳しい会社のほうが、積極的に動いてくれるケースが多いです。
空き家問題への行政支援・法制度も活用
空き家問題への対策は、個人では限界もあります。近年は国や自治体も様々な支援策を打ち出しています。
代表的な支援策
- 補助金制度の充実:解体・リフォーム費用や家財処分費用への補助
- 空き家バンクの全国的展開:移住希望者とのマッチング支援
こうした制度やサポートを賢く活用することも、空き家を防ぐ有効な手段です。
まとめ
空き家問題は、「いつかやろう」では遅すぎます。大切なのは、「早めの行動」と「正しい手続き」です。
- 登記・名義をきちんと確認し、必要な変更手続きを済ませる
- 現地の状況を定期的に把握し、管理や修繕の必要性を見極める
- 家族や相続人間で将来の方針を合意しておく
- 売却・活用・寄付など、自分たちに合った方法を検討する
- 専門家や自治体に早めに相談し、支援策をフル活用する
空き家問題を「自分ごと」として捉え、一歩踏み出すこと。それが、あなたの大切な資産と家族、そして地域の未来を守る最善の方法です。


