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    「ダウンスパイラル」を断ち切れ! 大宝工業が20年間貫く、家電プラスチック「水平リサイクル」の衝撃

    「ダウンスパイラル」を断ち切れ! 大宝工業が20年間貫く、家電プラスチック「水平リサイクル」の衝撃

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    大宝工業が拓いた、家電エコリサイクルシステムの真価

     大宝工業は約20年にわたり、家電リサイクル法に基づいて回収されたポリプロピレン(PP)材料の選別・洗浄を行い、成形品を生産し続けている。最大の特色は、家電由来の手解体品を機械粉砕した「フレーク」のまま成形するという、他社には見られない独自の生産工程を持つ点にある。

     一般的なリサイクル材はペレット化を前提としているが、同社の工程ではそのプロセスを経ない。これにより、熱履歴をかけない=CO₂の排出を削減したうえで使用できる という、環境負荷を大幅に低減したリサイクル材の供給を可能にした。さらに、その材料を用いた独自の成形・金型ノウハウにより、製品としての安定成形を実現させている。

     その歩みは、1998年の家電リサイクル法制定に端を発する。当時、回収されたプラスチックは、家電メーカーごとに指定材料が異なり物性にばらつきが出やすいことや、異物の付着といった課題から、家電部品への再利用は困難とされていた。結果として、製品グレードの低いパレットや小物といった用途に回されるのが一般的だった。

     ダウングレードした製品へのリサイクルは、いずれ廃棄に至る「ダウンスパイラル」に過ぎず、真の循環とは言いがたい。当時、社会全体のリサイクル意識はまだ低かったものの、一部では真の循環を目指す取り組みが始まっていた。

     家電回収品をいかにして再び家電部品として甦らせるか――パナソニックをはじめとするメーカー各社も研究開発を進めていたが、異物を除去する「洗浄」の工程で壁にぶつかっていた。2002年、そこに開発段階から名乗りを上げたのが大宝工業だった。当時、冷蔵庫部品のシェア拡大を狙っていた同社は、顧客の課題解決と自社のビジネスチャンス拡大という双方のメリットを提示し、画期的なリサイクルシステムへの挑戦をスタートさせた。

    難題を乗り越えて実現した「水平リサイクル」

     大宝工業が実現したのは、家電のプラスチックを再び家電製品として再生する「水平リサイクル」である。この高度な循環を成立させている背景には、主に3つの要因があるという。

    ① PP(ポリプロピレン)の採用(熱履歴による劣化が少ない)

     現在、同社のリサイクル対象はPPに特化している。その理由は、比重差を利用して水に浮上させる洗浄方式を採用しているためである。ポリスチレン(PS)やABS樹脂など比重が1.0を超える素材には対応できないものの、その分、比重を利用した高度な選別能力を発揮できる点が、同社の洗浄システムの大きな強みとなっている。

    ② 手解体品による色調やグレードの安定

     家電リサイクルの解体には、一括して破砕する「機械解体」と、特定材質の部品のみを丁寧に取り出す「手解体」がある。同社は顧客と連携し、手解体により材料を調達するスキームを構築した。これにより、一般的なリサイクル材料に比べて安定した品質の原料確保を実現している。

    ③ 食品衛生法に適合する高度な選別・洗浄工程と、脱臭・防菌効果

     食品衛生法の基準をクリアするためには厳格な独自試験が求められるが、大宝工業のリサイクル工程は、洗浄液の性能を含め、顧客の試験によって安全性が担保されている。

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     特に、この③に挙げた洗浄工程には、大宝工業ならではの独創的なアイデアが凝縮されている。

    1. 洗浄液の完全循環
      排水を出さない完全循環型の洗浄設備を構築したことで、琵琶湖条例による厳しい排水規制が敷かれている滋賀県内でも洗浄液を用いたプラント運用を可能にしている。このような完全循環型の洗浄工程は見たことがない。

    2. 自然由来成分の洗浄液
      化学薬品に頼らず、すべて自然由来の成分で構成された洗浄液を採用。メンテナンス等で万が一排水が必要となった際にも規制基準に抵触しない、極めてクリーンな洗浄環境を整えている。

     2002年の開発着手から本格的な量産稼働に至るまでには、実に2年におよぶ開発期間を要した。その道のりは試行錯誤と失敗、そして泥臭い改善の連続だった。

     最大の難関は、食品衛生法に適合するレベルの洗浄能力をいかに確保するかであった。求められる清浄度を達成するため、どのくらいの時間、どの程度の強さで攪拌(かくはん)洗浄すべきか、現場での試行錯誤を繰り返すしかなかった。当時の技術者と設備業者が3日3晩にわたり洗浄槽の中で寝泊まりしながら開発に没頭したというエピソードは、今なお同社内で語り継がれている。

     さらに、洗浄後の乾燥工程でも、水分を含んでダマになってしまうフレークをいかに効率よく乾かすかが大きな壁となった。同社はこの課題に対し、下部から熱風を噴き上げる独自の乾燥方式を開発してブレークスルーを果たした。

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    サーキュラーエコノミーの未来へつなぐ挑戦

     大宝工業の根底には、 「かけがえのない地球環境を将来の世代に遺そう」 という確固たる理念がある。同社は現在、PPの手解体品に特化している既存のシステムをさらに発展させ、対象範囲を広げるための研究開発を精力的に推し進めている。

     人手とコストがかかる手解体品に対し、昨今は効率的な機械解体品が主流になりつつある。この市場変化を見据え、選別機能をさらに高度化させることで、機械解体のPP材であっても現在の高いリサイクル品質を維持・適用できないか、実用化に向けた検討が進められている。

     比重分離が容易なPPを出発点として確立された同社のシステムだが、今後は洗浄技術や単独樹脂の選別技術を一段と磨き上げることで、他素材への展開も視野に入れている。循環型社会の実現を真にリードするためには、対象素材の拡充が不可欠であるとの判断からだ。

     また、今後はリサイクル材を活用するうえで、高度な物性コントロールが決定的な競争力となる。CO₂排出量を抑えた独自の洗浄工程に最適化させ、リサイクル材ならではの成形技術を進化させることで、同社はリサイクルから成形に至る独自の競争優位性を確立しようとしている。

     目指すのは、同社が掲げる 「他社に負けない発想」の新しい成形スキーム の具現化だ。未来へ引き継ぐべき貴重な資源を浪費することなく次世代へとつなぎ、地球環境と共生する経営を貫くことこそ企業の使命であると捉え、大宝工業は今日もリサイクル材の生産と技術革新に挑み続けている。

    #SDGs#サーキュラーエコノミー#リサイクル#脱炭素#製造業#プラスチック#サステナビリティ#イノベーション#大宝工業#環境問題

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