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7/26(土)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/06/23
2025年8月に創業120周年を迎える、環境技術メーカー・月島ホールディングス株式会社(以下、月島HD)。同社は「環境技術で世界に貢献し未来を創る」の理念のもと、技術革新を通じて産業発展と環境問題の両立に長年取り組んできた。2023年にはJFEエンジニアリング株式会社の国内における水エンジニアリング事業を統合し、上下水道分野における存在感をより一層高めている。水環境事業の拡大路線を歩みつつ、業界の“リーディングカンパニー”を目指し、さらなる挑戦を続けている。
月島HDが上下水道分野に本格参入したのは1960年代。当時、日本国内で水道・下水道の普及が進み始めた裏で、課題となったのが水処理過程で発生する汚泥の処理だったという。当時はまだ汚泥は埋立処分が主流だった。しかし、次第に環境負荷や埋立地確保の問題が表面化し始めていった。こうした事態を受け、同社グループは産業分野で培ってきたろ過・乾燥・焼却などの技術を汚泥処理に応用し、他社に先駆けて市場を開拓してきた。 現在では、長年の技術とノウハウを生かし、上下水処理施設の設計から建設、維持管理まで、トータルサービスを提供する企業へと成長し、「安全な水と資源の循環」を支える社会インフラの一翼を担っている。
浄水場は水源の水を安心・安全な水質へと浄化する、生活に欠かせない重要な施設だが、月島HDはこうした施設の設計においても、規模や求められる水質に合わせた設備提案を行い、地域社会のライフラインを支えている。取水から前処理、ろ過、消毒、さらには監視・制御システムに至るまで創意工夫を重ねたトータルなエンジニアリングとサービスが強みだ。 さらには、水づくりの過程で生じる浄水汚泥を、園芸用土やセメント原料として有効活用し、資源循環の仕組みづくりにも貢献している。そこには、同社の単なるインフラ提供にとどまらない“水の循環”へのこだわりが見て取れる。
下水処理場は、家庭や地域から排出される下水やし尿を浄化することで、水循環を支えている。月島HDは、この処理工程で発生する汚泥や地域由来のバイオマス、し尿などの廃棄物を適正に処理し、資源やエネルギーへと転換する技術開発にも注力してきた。
同社グループは、省エネルギー型の機器や効率的に汚泥・バイオマスを処理するプラントを開発し、資源を有効活用する循環型社会の構築に貢献している。2023年度には、下水から植物の生育に必要なリンを回収するシステムが、国土交通省の実施する下水道革新的技術実証事業「B-DASHプロジェクト」に採択された。このシステムで回収されたリンは農業肥料に有効利用され、資源の安定的な確保や自給率向上への寄与が期待されている。 また脱炭素社会に向けた取り組みとして、下水汚泥をメタン発酵させて生じるバイオガスを活用した発電事業では、一般家庭約3万2,500世帯分の発電能力を実現。さらに、下水汚泥の固形燃料化による再生可能エネルギー化も進めており、発電施設やボイラーなどに活用することで、年間およそ2万8,000世帯分のCO₂削減に寄与しているという。こうした技術を生かした創エネルギー事業を通じて、月島HDは脱炭素社会の実現を推進している。
上下水道設備のエキスパートとして、月島HDは持続可能な社会の実現を見据えた事業展開を加速させている。環境技術の革新と事業の拡大を軸に、水資源の循環や脱炭素社会の実現に向けて、次世代へとつながる新たな社会像を描こうとしている姿が印象的だ。
より豊かで安心できる社会の構築へ、未来に向けた月島HDの挑戦は続く。