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8/29(金)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/08/25
婚活支援事業を展開するタメニー株式会社に、ユニークな福利厚生があると聞きつけた。その名も「パートナーバースデー休暇」。2009年4月に制度化されたこの休暇は、当初、パートナー(交際相手または配偶者)の誕生月に1日、休暇を取得できるというものだったという。
背景には、交際相手や配偶者、家族との時間を大切にしてほしいという会社の想いがあった。婚活支援を手がける同社ならではの、独自性の高い制度として注目されてきた。
▲撮影場所:ハウステンボス
制度開始から15年以上が経過し、「パートナーバースデー休暇」は大きな変化を遂げる。きっかけは、社員からあがった「パートナー」の対象範囲を広げるべきでは、という声だったという。
特に注目すべきは2022年の制度改定だ。ある社員が「シングルマザー、シングルファザーのご家庭なども『パートナーバースデー休暇』の対象になったらいいな」と考え、提案したことを受け、対象範囲が拡大された。
この改定により、従来の恋人・配偶者に加え、2親等以内の親族も対象に含まれることになった。子どもや親の誕生日にも休暇を取れるようになり、多様な家族形態に配慮した制度へと生まれ変わったのだ。
制度の進化は、現場の社員からも歓迎されている。「みんなが平等に取れる休暇になったことをとてもうれしく思っています」といった声が寄せられているという。 その効果は、数字にも明確に表れている。2022年度の取得率は、なんと2021年度比で21.8ポイントもの大幅な増加を記録した。
この劇的な改善の背景には、対象範囲の拡大に加え、制度への理解や活用意識の高まりがあるようだ。特に、人事・経営陣によるスピーディーな制度改定が、社員の信頼感を高め、制度の浸透を後押しした点は見逃せない。
「提案したのが1カ月ほど前のことでしたので、こんなに早く対応いただけたのは、社員や関係者の人生を真剣に考えている会社ならではだと感じました」という社員の声からも、意見を即座に反映する企業姿勢が、制度の積極的な活用につながっていることがうかがえる。
このパートナーバースデー休暇の対象範囲拡大は、現代社会の多様な家族形態や価値観に対する、同社の深い理解を示すものと言えるだろう。従来の「恋人・配偶者」という枠組みを超え、「大切な人」という、より広い概念でパートナーを捉え直したことで、多くの社員が制度を利用しやすくなった。
例えば、シングルマザー、シングルファザーの家庭では子どもが、またある社員にとっては親が大切なパートナーだ。そうした多様なニーズに応える制度設計は、インクルーシブな働き方を推進する企業の姿勢そのものである。
婚活支援という、様々なライフステージの顧客と向き合う事業で培った視点が、自社の制度設計にも活かされているのではないか。社員一人ひとりの「よりよい人生」を支援する取り組みは、巡り巡って顧客サービスの質の向上にもつながっていくのかもしれない。
タメニーのパートナーバースデー休暇は、単なる福利厚生という枠を超え、「人を大切にする企業文化」そのものを体現しているようだ。
制度が形骸化することなく、社員の声を取り入れながら柔軟に進化を続けている背景には、企業と社員が「人生を共につくる」という強固な関係性を築いていることがあるのだろう。
その根底に流れているのは、「よりよい人生をつくる。」という企業理念だ。この理念が、社員一人ひとりの安心と満足、ひいては企業の持続的な成長を支える土台となっている。
人を中心に据えた制度設計は、これからの働き方を考える上で、多くの企業にとってのヒントになるに違いない。