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キッチンカーからM&Aまで――飲食業界を広げるシンクロ・フードの新サービス戦略
ビジョナリー編集部 2025/11/11
シンクロ・フードは2003年の創業以来、飲食店のライフサイクルを一気通貫で支援するプラットフォーム「飲食店ドットコム」を運営し、東証プライム市場に上場するまでに成長した。「モビマル」「居抜きプラス」など新規事業・新サービスを次々とリリース、軌道に乗せている。創業者であり事業領域の拡大を進めてこられた藤代真一社長に、その強みと今後の成長戦略について伺った。
サブスクで“出店し放題”。キッチンカー市場に新風「モビ放題」
貴社はコロナ禍をきっかけに、キッチンカーの需要の高まりに合わせて、業界初のサブスクリプションサービスを始められたことが話題になりました。サービスの内容と現状について教えてください。
キッチンカーや移動販売の市場拡大を受けて強化しているのが、キッチンカーのマッチングプラットフォーム「モビマル」です。地域の過疎化・高齢化により「買い物難民」が増える中、場所を選ばず出店できる移動販売車を使って生活の利便性を図りたいという想いから、2019年にサービスを開始。
2024年7月には新たに定額制サービス「モビ放題」をリリースしました。キッチンカーと場所のマッチングにおいては、事業者側が出店ごとに出店料を負担する形態が一般的でしたが、場所や天候によって見込める売上が大きく変わるため、新しい場所への出店に二の足を踏む事業者も多く存在しました。出店ハードルを下げ、より多くの街の活性化に貢献できるよう、移動販売業界初の「サブスク」サービスを考案しました。
月額4,800円(ライトプラン)、9,800円(ベーシックプラン)で常設場所での“出店し放題”を実現し、開始からわずか1年弱で1,000件を超える事業者に登録をいただいています。今後はマッチングの自動化や電子決済導入によって、データ活用を進め、プラットフォームの利便性をさらに高めていきます。
売り手・買い手に新たなメリット。飲食店承継の新モデル「居抜きプラス」
飲食店に関するM&Aの仲介サービスを運営される中で、より小規模な事業者にも利用しやすいサービスを打ち出されたと伺いました。その背景を教えてください。
M&A事業も、新サービス開発で成長しています。子会社ウィットでは、飲食業界に特化したM&A仲介事業を手掛けていますが、他社にはないサービスとして「居抜きプラスプラン」を開発し、推進してきました。飲食店が退店する際に、店舗の造作や設備だけではなく、ブランド価値やレシピ、人材といった無形資産も引き継げるサービスです。
買い手にとっては事業をスムーズに開始することができ、売り手にとっては、通常の居抜きよりも有利な価格で売却可能。双方にメリットがあることから、取扱件数を伸ばしています。
DX・AIで、飲食業界に「低価格」「シンプル」なサービスを提供
貴社は飲食店のニーズを掴み、新しい事業を次々展開されてきています。サービスを開発する上で、大切にしていることを教えてください。
当社が創業以来サービス提供してきた飲食店は、起業・廃業も多く、個人事業主や小規模法人が数多く活躍する業界です。
多様な考え・バックボーンを持つ多数のお客様に、安定的にサービス提供していく上では、「低価格」で「シンプル」であることが重要。創業から20年以上経つ今も、継続して大切にしている、当社サービス開発のポリシーです。
「モビ放題」「居抜きプラス」においても、その考えが生きています。どんなお客様にも同じように安心してサービスをご利用いただけるよう、ITを用いた徹底的なしくみ化・改善を重ねています。
直近では全社を挙げてAIの活用も進めています。サービス提供スピードを速めることはもちろん、サービス価値を向上させ、お客様の事業成功に貢献していきたいと考えています。


